悪霊島(下) 金田一耕助ファイル19 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304686

作品紹介・あらすじ

あの島には悪霊がとりついている――額から血膿の吹き出した凄まじい形相の男は、そう呟いて息絶えた。尋ね人の仕事で岡山へ来た金田一耕助。絶海の孤島を舞台に妖美な世界を構築!

感想・レビュー・書評

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  • 最後の盛り上がりを詳しく書いて欲しかったけど、全体的に最後を集中して読めたのはよかったと思う。

  • 出た!!!ショッキングな出来事が起こったと同時に気が狂ってのちにさつじんを犯す女だ!!!
    数年後の磯川警部と三津木くんがどうなってるか見てみたい。幸せであって欲しい。

  • 面白かった。登場人物も個性豊かで特徴的で、言動が劇調で頭にみんなが動いている様子が浮かんでくる。本当に想像を刺激して、思い浮かばせるのがさすがと思う。その書き方が楽しい。

  • 一時期一気にシリーズを通して読んだが、唯一この悪霊島の上巻が手に入らず、下巻だけしばらく棚に積まれていた。
    やっと上巻が再販されて、久々に横溝正史を読んだ。

    やはり面白い。
    金田一耕助シリーズは常に一定の面白さがあるが、長編ということもあり続きが気になる展開だった。
    犯人はお決まりのパターンなので意外ではないが、蒸発した男たちの行方や誰の息子なのかとか色々な予想もできて面白かった。

    せっかくなら犯人と竜平が話すシーンが欲しかった。裏で決着つけるのではなく。

    それにしても磯川警部というか奥さんが悲しすぎる…

  • 悪霊島
     第16章 人と犬
     第17章 噫無残
     第18章 蓑と笠
     第19章 もしも烏が騒がなかったら
     第20章 鵼のなく夜に気をつけろ
     第21章 弾劾
     第22章 隠された二枚の手紙
     第23章 シャム双生児の秘密
     第24章 墓を暴く
     第25章 紅蓮洞
     第26章 女郎蜘蛛
     第27章 地底の対決
     第28章 雲隠れ
     エピローグ
    野性時代 1979年1月~80年5月

  • ミステリって読んでるうちに「こいつが怪しいな!」って目星をつけるじゃないですか。で、それがひっくり返されるのが楽しかったりするじゃないですか。でもこの話はそういうのがないのでそこは拍子抜けするかもしれないですね。ただ孤島のおどろおどろしい雰囲気はめちゃくちゃ好きです。

  • 「横溝正史」の最後の長篇推理小説『悪霊島』を読みました。

    「横溝正史」作品は2008年9月に読んだ『本陣殺人事件』以来ですね。

    -----story-------------
    昭和42年。
    「金田一耕助」は、瀬戸内海に浮かぶ刑部(おさかべ)島に再開発計画を持ち込んでいる島出身の億万長者「越智竜平」の依頼により人捜しをするため、島がある岡山県にやって来ていた。
    しかし捜していた男は、海で瀕死の状態となって発見される。
    「金田一」は友人である岡山県警の「磯川警部」から、男の最期の言葉を録音したテープを聴かされる。
    そこには「あの島には恐ろしい悪霊が取り憑いている…腰と腰がくっついた双子…?の鳴く夜は気をつけろ……」という不気味なダイイング・メッセージが録音されていた……
    -----------------------

    舞台となっている刑部(おさかべ)島は、岡山の水島沖にある島で、水島の他、倉敷や玉島、児島、井原、下津井、鷲羽山等も舞台となるし、登場人物が岡山弁を話しているので、場所が容易に想像でき、入り易い作品でした。

    それにも関わらず、読んでいて、なんだか疲労感を感じる作品だったのも事実。


    閉鎖された空間(本作品は島)での濃密な人間関係、

    快楽を求めるが故のドロドロとした愛憎関係、

    猟奇的な殺人事件、

    戦中戦後のどさくさによる混乱、

    等々、「横溝正史」作品の定番テーマが盛りだくさんというほど盛り込んである作品なのに、、、

    なんでかなぁ… 推理要素が稀有だったことや、島の自然(洞穴や崖、谷等)や事件の背景が作り物っぽくてリアリティがないこと、それにドロドロした愛憎関係が濃すぎて、ちょっと嫌悪感を感じたのが原因かな。


    映画では、シナリオが端折ってあったせいか、そこまでイヤな感じはしなかったんですけどね。


    ということで、上下巻で700ページ近い作品でしたが、読後の充実感がなかったなぁ。残念。

    「金田一耕助」シリーズの最後を飾る作品としては、ちょっと淋しかったですね。

  • 金田一シリーズによくある家同士の対立だと思っていたら、どんどん雲行きが怪しくなる。テープレコーダーや市子殺しの話が繋がり、悍ましい全体図が見えてくる。金田一の推理でも十分やばかったのに、実態がそれを上回る忌まわしさ。
    らしくない磯川警部の秘密にちょっとうるっとした。悪魔の手毬唄といい、何も磯川警部ばっかりそんな目に遭わなくても…。
    魔性の女、稀代の悪女的な描写だった御寮人を「驕慢であると同時に甘ったれ」「自我が強そうで自我がない」とバッサリ言っちゃう金田一先生、好き。


  • 晩年の作品と聞く。双生児と孤島、洞窟などシリーズの世界観に悉く魅了された。警部の身の上話に踏み込むなど、人間描写も氏の集大成だったのではないか...真犯人は誰であれ、残された者の純朴さと溌剌とした生命力が本シリーズの核心と次世代への望みではなかったか...

  • 事件が錯綜して混乱しそうだったけど、最後、ついに綺麗に回収・収束されていった!
    以下ネタバレ大有りです。

    横溝正史の小説はミステリーなのに、ホラー感が強いのは何故だろう、といつも思っていたのだけれど、悪霊島は特にその雰囲気や場面がそれにぴったりだった。
    終わり方も、大団円とか、全ての謎が詳らかになるのではなくて、もしかしてあなたは…という問いかけで終わったり、重要人物が全てを語る前に死亡したり、しかもなぜ死んだのかは不明だったり…そういう余韻というか、ある種の座りの悪さのようなものが世界観を不気味なままにしているのかも。
    ゾッとした場面…鵺野なく夜に気を付けろ…の本当の意味を知った時。簑笠が生乾きだったという証言を得た時。紅蓮堂の双子を祀ってある場面。巴御寮人の無邪気さと狂気が同じものであったと思った時。

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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