鍵―自選短編集 (角川ホラー文庫)

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  • 角川書店
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本棚登録 : 307
感想 : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041305201

感想・レビュー・書評

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  • 名前だけは聞いたことあったけど、初めて筒井康隆の小説を読みました。

    SFチックなものもあれば、和風ホラーなものもあり…どこか情景が思い浮かぶような半地下、地下を舞台にした短編(公共伏魔殿、怪段、未来都市)あたりの雰囲気がとても好きでした。
    起承転結がはっきりしてるものばかりではないので、これ結局どういうこと?の部分を求める人にとっては物足りないのかなぁと思いつつも、個人的にはホラーとか怪談って結の部分はよくわからない、煙に巻かれるの込みで楽しむものだと思ってるので、そこに至るまでの謎めいた感じ(特に「鍵」)、逆に理不尽な死が降りかかってくる感じ(「死に方」)がどの短編も面白かったです。

    にしても、94年が初版なんですね…何ていうか完成されてるというか全く今読んでも、作中の時代設定以外には古さを感じないなあ…他の作品も読んでみようと思いました。

  • 再読。全16篇。
    特に好きな作品。
    「佇むひと」は安部公房っぽいディストピアもの。バウキスとフィレーモンの話を彷彿とさせつつ、猫柱・犬柱可哀想だけど可愛いぞ。
    「都市盗掘団」の空爆でできたクレーターに埋まった家に暮らすみたいな物理的にあり得ない概念的な存在、好きです。
    「死にかた」はグロというかゴア。唐突に現れた鬼に無意味に金棒で殴り殺される、それだけの話だけど、なんだかむしろ爽快。
    「2人のインド人」はある瞬間から足元の床が無くなっていたことに気づいたみたいな不気味さ。
    「二度死んだ少年の話」は徹底的にグロと人間の悪意特盛で1番筒井康隆らしい。


  • 同著者の「ダンシングヴァニティ」のような反復を感じさせられる。行き着くところまで行き着いて、最後に主人公が目にしたものとは何だったのだろうか。瓶詰めで放置されたお玉杓子の描写が秀逸。目玉が

    佇むひと
    柱として犬や猫、そして人間が街中に植えられ、段々と植物になる話。主人公の妻が徐々に感情の起伏が無くなり、人でないものに成っていく儚さ。猫が可哀想で悲しくなった。

    無限効果
    何としてでも自社の薬品を他社より売らなければならない。社長のハラスメントの描写が生々しい。催眠にかかった町中の人々の貪欲な醜さのようなものが気持ち悪くて好きだった。主人公もいつのまにかサブリミナル効果を受けており、無限効果の着想に至ったのではないかと仄めかす描写が良い。

    公共伏魔殿
    「気がちがった」人たちの描写が惨い。テレビの受信料の集金にやってくる徴収係の男が印象的。
    平山夢明氏の短編を読んだ後と同じ気持ちになった。

    池猫
    たくさんの猫が泳いでいる。かわいいか、かわいくないかで言うと、多分後者。

    死にかた
    会社に突然オニがやって来て、課内全員が理不尽に金棒で殴り殺される話。最後に気のいい会話をするのがずるい。


    2020/06/08/TUE
    途中から感想書きながら読むことを忘れる。
    それくらい没頭して読みました。
    自伝的小説はこの前読んだ『一人称単数』で懲り懲りだと思ったけれど、筒井康隆なかなかおもしろい。おもわずクスリと笑ってしまうような自虐(?)ネタも。一番最後の話の「時をかける少女を書いた人!」のくだりで全部持っていかれた。

  • 105円購入2005-08-21

  • 怪談からSFまで様々集めた自選ホラー短編集。なんなんだこれはと、よくわからないながらも驚かされたり考えさせられたりするエネルギーのある作品多し。社会や人間性への皮肉や風刺が効いたものもあり。理不尽な怖さに対して、どこかであきらめたような冷めた態度で臨む視点が独特。
    『佇む人』『池猫』『母子像』が特にお気に入りかな。

    『佇む人』既読。印象深い作品。言論が規制され、動物を植物化する技術が犬猫の処分や人への刑罰に使用される社会。街に立つ犬柱や人柱がシュール。冷めた視点で、でもどこか優しく、植物化された妻の変化を、そして社会を見つめる作家。
    『池猫』
    池に棄てた猫たちがとんでもないことに。たった二ページだけどこれは最高。
    『死にかた』
    鬼に次々と殺される社員たち。理不尽な死の間際にこそ人の性格や本性が露わになるということか。
    『衛星一号』
    ちょっとした神話。子が親の上に乗って長い年月積み重なってきた謎の生物。下が気になってしまったとある一匹の冒険。これは読んで楽しい作品。
    『二人の印度人』
    家を訪れる謎の印度人。リアルに怖いよ。
    『魚』
    中洲に取り残されそうな危機に対する家族のやりとりが笑える。そして理不尽さが怖いよ。
    『母子像』
    理不尽で幻想的なSFホラー。息子に買ったサルのおもちゃが引き起こす悪夢。読後に残る虚しさ、もどかしさ。
    『二度死んだ少年の記録』
    ノンフィクションじゃないよね。いじめで飛び降り自殺した少年がしばらくは動き続けて。クラスメートや先生たちが体験した恐怖とは。グロいエロい。

  • 最後の「二度死んだ少年の記録」 は大槻ケンヂが出てくるから新しい話っぽいけど、あとは多分70年代のものだよなー。つくづく大人って時代を先取り。

    ■無限効果
    ラリゲン錠!私も欲しい・・・かも ^^/

    ■公共伏魔殿
    NHKの地下って本当にこうなっているんだろうか・・・?

    ■池猫
    見開き2ページの話なのに、怖え~っ!
    猫町とかトバモリーとか牝猫とか黒猫とか・・・
    何故に猫の話は怖いのばっかなの??

    ■死にかた
    赤鬼がいきなり入室してきて、苗字に数字を含む人が
    順に撲殺されていきます。なんやねんっ!

    ■ながい話
    宗教を押し付ける老女。いるいる ^^;

    ■都市盗掘団
    中途半端に没落した家が沢山って情景が何より怖いの、この話は。

    ■衛星一号
    親の上に子・・・カエル?

    ■未来都市
    地下鉄工事がスグそこまで近づいているってのに、役所の担当はノラリクラリ。ああヤだねえ。

    ■怪段
    11時になると”出る”階段・・・オチはありがちだけど雰囲気は○。

    ■くさり
    マッド科学者に盲目娘。ありがちな設定なのに、描写の切り口がエッジ効いてます。
    自分の代々飼ってた猫の敷物って・・・^^;;
    更に髪の毛かい・・・

    ■ふたりの印度人
    切り口スポンって・・・インドの人に怒られそう。

    ■魚
    私、今後は、川を横切るのは、もう無理~ ><。。

  • 2014/8/3
    文章は読みやすく感じたけど、最後までいって?ってなるのが多かった。最後におもしろいオチがあればいいのになあ。

  • 僕にとってのホラー小説の原点。ミステリアスな主題作「鍵」を始め、少しのエロスとホラーをグチャグチャにしたような、筒井康隆作品の中では比較的「異端」よりの作品集。

  • 書かれた時代が古いものもあり、物語の設定・小道具が少し古い部分もありますが、ホラーというジャンルもあり気にせず読めました。
    後味が悪い・もやもやするなどホラーならではの結末もありますが、あっさりとした文体で読みやすかったです。
    初めてこの作者の作品を読みましたので、また違う作品を読んでみようと思う一冊でした。

  • 「池猫」「衛星一号」が良かった。

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著者プロフィール

1934年、大阪市生まれ。65年、第1作品集『東海道戦争』刊行。『虚人たち』で泉鏡花文学賞、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、『朝のガスパール』で日本SF大賞、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。

「2022年 『誰にもわかるハイデガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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