鍵 (角川ホラー文庫)

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  • 本 ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041305201

感想・レビュー・書評

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  • うわぁ、怖かった。流石巨匠。筆致力、描写力が卓越している。どれもがとても面白すぎて言葉に尽くせない。特に表題作の『鍵』、それから『佇む人』『公共伏魔殿』『都市盗掘団』『死にかた』『二度死んだ少年の記録』あたりが良かったけど、とりわけ秀逸なのは『くさり』だった。久々に良質のホラー小説に触れられた。
    筒井康隆をこれからどんどん読んでいきたい。

  • 筒井康隆のホラー小説は好きだけど、本作はあまり好きではなかった。
    読んだことある作品もあった。
    情景描写がやけに丁寧で全然話が先に進まず、読んでいて疲れた。
    というよりはやけに長く感じた気がする。

    怖いというよりは不思議な世界観が強い話が大半で、怖いと思った話がない。
    60〜70年代の作品が多いからなのかもと思う。
    しかし当時これを読んでいたら衝撃の嵐だった気もする。
    最後の話で急に大槻ケンヂの名前が出てきたからえ?と思ったら最後のだけ90年代の作品だった。

    鬼が社員を殺して回る「死にかた」は面白かった。

  • 某ユーチューバーが紹介していて、気になっていた一冊。

    期待値が高すぎたのか、正直イマイチだった。
    無駄がなさすぎるというか、描写が淡々としすぎていて、恐怖というより、どういうこと?となるものが多かった。こう言っては元も子もないが、そもそも短編集があまり好みではないと気付いた。

    もちろん面白いと感じるは話もあったし、恐怖小説なだけあって背筋が凍るものもあった。

    以下面白かった作品
    『鍵』
    クトゥルフ神話の「窓に!窓に!」味を感じた。目の前に迫りくる恐怖がわかっていながら抗えない、身体が言うことを聞いてくれない焦燥感を文章からひしひしと感じてすごかった。
    『くさり』
    主人公が盲目がゆえにある意味で読者と同じ立場。視界の情報がないまま進んでいく恐怖は格別だった。できればもっと一人称視点で(心理描写などを入れて)書いてほしかった。

  • 名前だけは聞いたことあったけど、初めて筒井康隆の小説を読みました。

    SFチックなものもあれば、和風ホラーなものもあり…どこか情景が思い浮かぶような半地下、地下を舞台にした短編(公共伏魔殿、怪段、未来都市)あたりの雰囲気がとても好きでした。
    起承転結がはっきりしてるものばかりではないので、これ結局どういうこと?の部分を求める人にとっては物足りないのかなぁと思いつつも、個人的にはホラーとか怪談って結の部分はよくわからない、煙に巻かれるの込みで楽しむものだと思ってるので、そこに至るまでの謎めいた感じ(特に「鍵」)、逆に理不尽な死が降りかかってくる感じ(「死に方」)がどの短編も面白かったです。

    にしても、94年が初版なんですね…何ていうか完成されてるというか全く今読んでも、作中の時代設定以外には古さを感じないなあ…他の作品も読んでみようと思いました。

  • これを読んで寝たら
    島で熊を解き放ってしまう夢を見た。意味がわからん。
    言葉と筒井康隆の恐ろしさを感じた。

  • 傑作ばかりの短編集!ホラーが苦手なのでビビりながら読んでみたら怖いながらも面白く、夢中になって読み切った。どれもオチが素晴らしい。余韻の残るものばかり。怖さと切なさを同居させたものや、やり切れなさ、苦しさなど様々な感情を刺激される。特に響いたのはベタだけど「佇むひと」「死にかた」「衛星一号」「くさり」「魚」「母子像」「ふたりの印度人」「二度死んだ少年の記録」ほとんどだ笑。「怪段」なんて3ページでこの面白さ!ビックリしました。

  • 「鍵」
    開けないようにしていた過去の過ちの話。

    「死にかた」
    「二度死んだ少年の記録」
    筒井康隆っぽさ満開。

    「くさり」
    昔、友達に「題名忘れたけど、筒井康隆の短編でこういう怖い話があって。」とあらすじを聞いてたのをようやく発見。

  • 再読。全16篇。
    特に好きな作品。
    「佇むひと」は安部公房っぽいディストピアもの。バウキスとフィレーモンの話を彷彿とさせつつ、猫柱・犬柱可哀想だけど可愛いぞ。
    「都市盗掘団」の空爆でできたクレーターに埋まった家に暮らすみたいな物理的にあり得ない概念的な存在、好きです。
    「死にかた」はグロというかゴア。唐突に現れた鬼に無意味に金棒で殴り殺される、それだけの話だけど、なんだかむしろ爽快。
    「2人のインド人」はある瞬間から足元の床が無くなっていたことに気づいたみたいな不気味さ。
    「二度死んだ少年の話」は徹底的にグロと人間の悪意特盛で1番筒井康隆らしい。


  • 同著者の「ダンシングヴァニティ」のような反復を感じさせられる。行き着くところまで行き着いて、最後に主人公が目にしたものとは何だったのだろうか。瓶詰めで放置されたお玉杓子の描写が秀逸。目玉が

    佇むひと
    柱として犬や猫、そして人間が街中に植えられ、段々と植物になる話。主人公の妻が徐々に感情の起伏が無くなり、人でないものに成っていく儚さ。猫が可哀想で悲しくなった。

    無限効果
    何としてでも自社の薬品を他社より売らなければならない。社長のハラスメントの描写が生々しい。催眠にかかった町中の人々の貪欲な醜さのようなものが気持ち悪くて好きだった。主人公もいつのまにかサブリミナル効果を受けており、無限効果の着想に至ったのではないかと仄めかす描写が良い。

    公共伏魔殿
    「気がちがった」人たちの描写が惨い。テレビの受信料の集金にやってくる徴収係の男が印象的。
    平山夢明氏の短編を読んだ後と同じ気持ちになった。

    池猫
    たくさんの猫が泳いでいる。かわいいか、かわいくないかで言うと、多分後者。

    死にかた
    会社に突然オニがやって来て、課内全員が理不尽に金棒で殴り殺される話。最後に気のいい会話をするのがずるい。


    2020/06/08/TUE
    途中から感想書きながら読むことを忘れる。
    それくらい没頭して読みました。
    自伝的小説はこの前読んだ『一人称単数』で懲り懲りだと思ったけれど、筒井康隆なかなかおもしろい。おもわずクスリと笑ってしまうような自虐(?)ネタも。一番最後の話の「時をかける少女を書いた人!」のくだりで全部持っていかれた。

  • 105円購入2005-08-21

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著者プロフィール

筒井康隆……作家、俳優。1934(昭和9)年、大阪市生まれ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。

「2024年 『三丁目が戦争です』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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