- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041305218
作品紹介・あらすじ
放課後の誰もいない理科実験室でガラスの割れる音がした。壊れた試験管の液体からただようあまい香り。このにおいをわたしは知っている-そう感じたとき、芳山和子は不意に意識を失い床にたおれてしまった。そして目を覚ました和子の周囲では、時間と記憶をめぐる奇妙な事件が次々に起こり始めた。思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想い。わたしたちの胸をときめかせる永遠の物語もまた時をこえる。
感想・レビュー・書評
-
個人的筒井康隆強化週間。
中学生の少女が、学校の理科実験室で、ラベンダーの香りを嗅いで意識を失う。その後、テレポーテーションとタイムトラベルを経験してしまう。そして、彼女はその真相を追う。
映画化、アニメ化、ドラマ化多数。
私的には、原田知世さんの映画のイメージが強いかな。ふんわり清楚な少女の初恋がね、良いねと。
世代ごとに「時をかける少女」のイメージがありそうですが、原作はいたってシンプル。このシンプルさが次の作品に続くのかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いまさらなのだが、読んでよかった。私の事情、あんなに有名になったのに、作者が筒井康隆さんだとは知らなかったというのもあって。
「時をかける少女」「悪夢の真相」「果てしなき多元宇宙」の3篇。
「時をかける少女」
とても可愛らしくせつないお話だった。
TVで見た記憶があるのだが、私はあらすじを忘れてしまっていた。
少女期の「白馬に乗った王子さま」にあこがれる気持ちを見事に捉えている。
「悪夢の真相」
幼い時の心ならずの罪。トラウマ。多寡にかかわらずみなの胸にあるだろう。
「果てしなき多元宇宙」
少々教訓めいているが、夢やあこがれは成就しても期待はずれが多いということ。
唯一私が読了した「文学部唯野教授」を後にお書きになった同じ作家の作品とは思えない気がしてくるからおかしい。
レトロっぽいがなかなかいい、無理のない構築。さすがうまい。
良質の青春SF小説、否、児童書、そのうち孫に薦める(笑)。 -
時間をテーマにした作品が3篇。
1つ目と3つ目が多時間をテーマにしたSF。中の一つが時間と心理の関係を描く。
一つ目と2つ目が、少女の記憶に関して対照的な捉え方をしているところが面白い。どちらも深層心理を扱っているが、嬉しさと恐怖、反対の観点から少女の心を捉えている。 -
もっと早く、小中高生で読んでいればもっと楽しめただろうに20台も半ばになって初めて読んで後悔している。短編が3本入っているのも初めて知った。(時をかける少女だけで1冊使っているのかと勘違いしていた)
今読んでみると設定はかなりありきたりだが、タイムリープものの先駆けで昭和に書かれた本だと考えると筒井康隆の功績は大きいと言わざるを得ない。
言葉遣いなどに多少の昭和の香りはするものの、初出から50年経った今でも読まれる作品であることに読めば納得できる。
恥ずかしながら映画も未履修なので、近いうちに観ようと思う。
あーもっと早く読めば良かった!! -
アニメ映画を先に観ました。登場人物の名前が違うのとタイムリープの仕組みが少し違うだけで、アニメ映画はほぼ原作に近い。ただ、原作は恋愛よりもSFメインに感じられたかな〜。3人が仲良くしてる描写が少なく(まぁ3人で帰るのだから仲は良いのだろうけど)、そもそも男子2人の紹介の仕方がいかにも恋愛に発展しなそうで…(笑)
この作品に限らず、言葉遣いから時代を感じられるのはいいですね。本や映画は時代ごとの言葉遣いや洋服、髪型などの特徴を教えてくれるところが好きです。「まあ!〜なのかしら?」って話す人もういないかな(笑)もしかしたら令和に出版される作品には「草」「死ぬwww」とか書かれたりするのかな〜なんて思ったりしました。個人的にそれはそれでいいと思う!令和を生きる作家さんたちには令和語をふんだんに使った本を書いてほしいですね。
後半の2作は「時をかける少女」と関係のないただの短編小説かな?3作まとめての感想としては、どれも心理学的な話で、発想力と言語化能力(思いつきそうだけどなかなか言葉にできないような話を上手く書いているところ)が素晴らしいなと思いました!約600年後の未来(あくまで想像)の話や子供の想像力の豊かさを感じられる話、そして多元宇宙論の考え方を学べる話など、これ1冊でなんだか私の見つめる世界が広くなったような気がしました。未来や宇宙のことは、本当かどうかわからないからこそ考えれば考えるほど面白い!このただの妄想かもしれないギリギリの物語が読んでいてとても面白かったです^ - ^ -
毎年夏に「時かけ」のアニメ映画放送されると「ま、私この原作もちゃんと読んだもんね」的な優越感が。原作のヒロインが圧倒的に上品なことで。最後切なくてすきです。
-
なつかしい香りの記憶は、消された記憶。
ただ、それでも甘く切ない想いは消えることなく、
少女の心をやさしく包み込む。
いつか出会う運命の人を夢見て。。。 -
中学の時に観た映画版を思い出した。
当時、泣きそうになった。
時を行き来できる女の子の青春物語。
甘酸っぱい初恋の味です。
「切ないハッピーエンド」(映画バタフライ・イフェクトのコピー)に心を奪われます。
ああ、オイラもラベンダーの香りに包まれて、時空間を越えて、美少女に巡り会いたい! -
小説を映像化する場合、原作の長さはこのくらいの短さがいいのだろうな、ということを実感させられた。
40年以上も前に書かれた『時をかける少女』は「いいものはいい」ということを強く実感させられた物語だった。
時をかける少女に限らずほかの2編も、話の続きが気になり、エスカレーターに乗っている間も本を開いてしまった始末。推理・ホラー小説で失敗ばかりしていることだし、しばらく筒井康孝を読み漁ろうか。 -
売れてるものは間違いなく良いモノであると私は思っている。
そういえば、「売れているものが良い物であれば、世界で一番旨いラーメンはカップヌードルや」などと曰った人がいたが、
なんで勝手に旨いとかまずいとかの話になっとんねん、
と、私はツッコミを入れることと禁じ得ない。
とにかく、売れているものは良い物である。
※ただし、明らかに大衆が踊らされたものは除く。
(例:免罪符、マイナスイオン等)
そこで、いわゆる「ときかけ」を読んでみた。
私は1作品も観たことはないのだが、
この作品は何度となく映像化された名作だ。
「時をかける少女」は想像以上の話の単純さと短さだった。
タイムリープの内容もシンプルでひねったところも無く
読了後、読み終わったことを疑った程に短かった。
後味は非常にさっぱりして、
そうして、少しだけ心が洗われた。
もっと早く、少なくとも10代のうちに
この作品を読んでおけば良かったと思った。
そうすれば、この作品は屈折してすっかり邪気眼と化していた
14歳の私の心を癒す一服の清涼剤となっただろう。
そうして、すっかり更生した私の将来はもっと明るく清らかなもの(少なくともこんな深夜に小説の感想を書きながらほくそ笑むなんてことはなく)になっていただろう。
いや、もっと早く出会えなくて残念。
著者プロフィール
筒井康隆の作品






この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。





