日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫)

著者 :
制作 : 山藤 章二 
  • 角川書店
3.21
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本棚登録 : 1337
レビュー : 138
  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041305225

作品紹介・あらすじ

地球規模の地殻変動で、日本を除くほとんどの陸地が海没してしまった。各国の大物政治家はあの手この手で領土をねだり、邦画出演を狙うハリウッドスターは必死で日本語を学ぶ。生き残りをかけた世界のセレブに媚びを売られ、すっかり舞い上がってしまった日本と日本人だが…。痛烈なアイロニーが我々の国家観を吹き飛ばす笑撃の表題作(登場人物解説付)ほか、新発掘短篇「黄金の家」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 「日本以外全部沈没」★★
     タイトル通り。
     登場人物紹介はあるものの、やはりわからないから面白みに欠ける。
    「あるいは酒でいっぱいの海」★★★★
     短いがかなり面白い。
    「ヒノマル酒場」★★
     テレビで放映されている宇宙人は本物!?
     大阪人とマスコミに対する皮肉か。
    「パチンコ必勝原理」★★★★
     これまた短い。そしてオチが読みやすい。
     それでいて様々な手法が面白い。
    「日本列島七曲り」★★
     時代を感じる。わからない。
    「新宿祭」★★
     これまた時代を感じる。
    「農協月へ行く」★★
     きっと農協の評判が悪い時代だったんだろうなということぐらい。
    「人類の大不調和」★★★
     万博の話。痛烈な皮肉。
    「アフリカの爆弾」★★
     すごい旅路。オチは・・・?
    「黄金の家」★★★★
     タイムパラドックス的な。とても面白い。
    「ワイド仇討」 ★★★
     何を言いたかったのかわからなかった。
     読み物としては面白かった。

  • タイトルに惹かれて買ったけれどちょっと期待外れでした。文体が好みじゃないみたいです…
    筒井康隆さんの書く文章全てが合わないわけじゃないことに期待して、いつか「時をかける少女」を読んでみたいです。

  • いやぁ、これは便利なサービスができたと早速Booklog試してみるのだ。
    この短編集、20年振りに読み返したが、相変わらず面白い。
    これが書かれたころはもう40年前だが、大して東アジアの政治状況など変わりっこないのだなぁと。中華圏の辺境国日本。というかそういう政治状況だってのに、全然外とは渡り合えなくなってしまった。なんか民主党政権もっと派手にスマートに外交渡り歩くのかと思いきや、自民党レベル以下のドメで都会・勝者を向いたどぶ板。しかもドメ統治もガタガタ、今や踏むどぶ板すらないからなぁ何も特技が無くなってしもうた。という具合になんだか、今の状況を照らし出すのに効果的な表題作他。やはり筒見御大は面白いなぁ。

  • 筒井康隆の短編集寄せ集め。 言葉等が古いのは発刊された時が古いからしょうがないとして、それ以上に中身が驚きだった。 とにかく狂気に満ちあふれてる、と言うのが僕の印象。 狂気は間違った書き方をすれば恐ろしいものだが、筒井康隆の文章にはエンターテイメントの要素しか無く、狂気を手玉に取る作家なのだと思った。 個人的には表題作の『日本以外全部沈没』より、『アフリカの爆弾』が近いうちにおこってもおかしくないな、と思ってしまう程のクオリティでオススメです。

  • 筒井氏の発想はいったいどこから来るんだろう……そんな、陳腐で考えても仕方ない疑問をずっと持っていますが、こういう短編集こそ、その発想力のすごさを感じます。

    本作品集は、そんな筒井氏の、比較的初期の作品を集めています。ちょうど「日本沈没」を読んだので、表題作を読んでみたかったわけですが、意外にあっさりした流れで驚きました。まぁ「日本沈没」のカウンター作品としては、これでも良いものなのかも知れません。ただ、これ単体だと、あまり面白みはないな、と。

    それ以外も、作品の善し悪しには結構差があるように感じます。まぁ、正確には善し悪しというか、ワシの好みの好悪に過ぎませんが。結構、オチの尻切れ感というか、まるでお笑い的な「オチ」を付けようとして失敗しているかのような、そんな作品もあります。

    ただ、やはりこの全体的な馬鹿馬鹿しさ、スラップスティックコメディとしての質の高さはすごいです。そして、各作品の風刺感。時代劇、SF、日本でないところでの物語、でもそれぞれに差し込まれた当時の社会に対する風刺が面白い。

    「ヒノマル酒場」での記者の描かれ方、「農協月へ行く」で描かれる醜悪なエコノミックアニマル、「アフリカの爆弾」のナンセンスな空気、このあたりが、特に気になった作品とポイントでした。「ワイド仇討」のシュールさも良いですね。

  • 「おい、シナトラが東海林太郎をうたっているぞ」
    世界各国が上昇した海水面の下に沈んだため、世界の著名人が避難してきた東京・銀座のバーで巻き起こるてんやわんやなど、破天荒な短編集。

    蒋介石と毛沢東が銀座で一触即発。
    ガンジーが間違えて牛肉を食べる。
    バーのバンドがビートルズ。
    等々、とてもありえないだけに笑える話だけど、
    世界史や世界情勢に興味を持つきっかけにもなるし、
    ぜひ中学生くらいに読んでおくべき。
    こういうネタを笑えるようになるためにも
    ある程度勉強しておいてよかったと思える本。

    新宿ソーラン(騒乱)節のカセット(CDでも可)
    どこかにないかな。

  • 「対話の時代とか何とかいって、やたらに他人の問題を知りたがる人間がふえたが、みんな他人の問題を軽く見て、それらすべてが自分の問題より小さいと感じて納得しているのだろう。それはかかわりあいではなく、逆に、かかわりあいを避けることだ。」

    お借りしました。
    さすが、というか、なんというか。。。
    非常に歴史は感じさせられるんだけれど、ブラックさは、今の世の中に十分通じるものがあるのだ、、、怖い・・・

    そして、元ネタが、凄いなぁ。。古いけれど、新しい。
    今じゃ、こういうことって誰もしようとしないと思う。
    いや、今も昔もこの人だけなんじゃないかって思えるぐらいの遊びっぷり。
    お見事としか言いようがないのです。

    まぁ、もちろん、物語のほうがすきなんだけれど、
    たまにはこういうのもいいかな、って気にちゃんとさせてくれるので、さすがなのでした。

    【10/11読了・初読・友人蔵書】

  • 2019/07/31-08/06

  • 筒井康隆の作品は、鹿爪らしく批評したりランク付けしたりするにはそぐわないでしょう。その視点、着想、想像力、エグさを堪能すればOK。

  • 筒井康隆お得意のスラップスティックなSF短篇集。「ヒノマル酒場」は土方のおっさんたちの下品さや関西系のマスコミに対する不信感などがとてもリアルで、そんな人間たちと異星人のファーストコンタクトという題材が非常に面白い。まさに狂騒的でこのドタバタ加減はこの作家にしか出せない味だろう。店じまいで話まで強引に畳んでしまうのも良い。個人的なお気に入りは「あるいは酒でいっぱいの海」で、海が酒になるという荒唐無稽なネタをストレートに描く度胸もさることながら、最後は酒そのものになってしまうという星新一のショートショートのような奇妙なオチも素晴らしい。あと「パチンコ必勝原理」のくだらなさも大好き。傑作は「農協月へ行く」だろう。まず農協団体の田舎丸出しの方言が鼻につくほどリアルで、描写がとにかくいやらしい。下衆い人間たちに接するサービス業の苦労や苛立ちもヒシヒシと伝わってくる。宇宙人とのファーストコンタクトをするのが田舎者というネタは面白いが、それ以上にそのネタを成立させるための細部へのこだわりが凄まじい一本である。核武装する未開の土人を描いた「アフリカの爆弾」も、白人を金づるにするため、あえて文明を隠して土人らしく振る舞うという強かさが描かれており、どの短篇もネタ周りの舞台設定に凝っている。筒井康隆らしい短篇集だといえよう。個人的にはファンタジーよりパニック・SF要素の強いこの短篇集のほうが好みである。

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著者プロフィール

筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年大阪市生まれ。日本を代表するSF作家の一人と目され、小松左京、星新一と並び「SF御三家」と称されることもある。
1981年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1993年に断筆宣言を行ったことは大きな話題になった。1996年断筆解除後には、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、2010年に第58回菊池寛賞、2017年毎日芸術賞をそれぞれ受賞。2002年には紫綬褒章も受章している。
代表作のひとつ『時をかける少女』は度々映画化、アニメ化され、多くの読者に愛される。ほか『日本以外全部沈没』、『文学部唯野教授』、『旅のラゴス』、『残像に口紅を』などは機会あるごとに話題となり、読み返されてきた。

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