日本以外全部沈没 パニック短篇集 (角川文庫 つ 2-16)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041305225

作品紹介・あらすじ

地球規模の地殻変動で、日本を除くほとんどの陸地が海没してしまった。各国の大物政治家はあの手この手で領土をねだり、邦画出演を狙うハリウッドスターは必死で日本語を学ぶ。生き残りをかけた世界のセレブに媚びを売られ、すっかり舞い上がってしまった日本と日本人だが…。痛烈なアイロニーが我々の国家観を吹き飛ばす笑撃の表題作(登場人物解説付)ほか、新発掘短篇「黄金の家」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    小松左京『日本沈没』のパロディで、日本列島以外の文明を持った人類が住む陸地ほぼすべてが沈没してしまった世界を舞台に、唯一残った日本へ殺到する、世界の著名人の悲惨な境遇と世界で一番偉い人種となる日本人と三等市民である外国人の軋轢を描いた小説。第5回(1974年度)星雲賞短篇賞受賞作品(ちなみに長編賞は『日本沈没』)。
    2011年、原因不明の天変地異でアメリカ大陸が1週間で海に沈む。大統領はじめ国外脱出しようとする人々で大混乱に。をの後、中国大陸、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸が沈没。田所博士は日本列島だけが無事だった理由を解明していた。避難民で人口の増えた日本社会はどうなるのか。食料問題、移民問題、独裁者によるテロ行為……。そして田所博士は日本も沈むと予言する。作品の完成度の高さに小松左京を嫉妬させた、世界が舞台の未曽有のパニック小説。2006年、映画化。

    ⚫︎感想
    日本沈没は重いテーマですが、こちらはとっても軽い短編です。人口密度めっちゃ高くなったり、ハリウッドスターが居酒屋にいたり、いろいろ笑えます。

  • 「筒井康隆」のパニック短篇集『日本以外全部沈没』を読みました。

    1960年代から1970年代にかけて発表された作品の中からパニックモノの短篇やショートショート作品を再録した作品なので、むかーし、読んだことのある作品も含まれていましたが、ほとんど内容は忘れてしまっているので、新たな作品として楽しめました。

    -----story-------------
    地球規模の地殻変動で、日本を除くほとんどの陸地が海没してしまった。
    各国の大物政治家はあの手この手で領土をねだり、邦画出演を狙うハリウッドスターは必死で日本語を学ぶ。
    生き残りをかけた世界のセレブに媚びを売られ、すっかり舞い上がってしまった日本と日本人だが…。
    痛烈なアイロニーが我々の国家観を吹き飛ばす笑撃の表題作(登場人物解説付)ほか、新発掘短篇「黄金の家」も収録。
    -----------------------

    先日、「河崎実」監督が映像化した映画『日本以外全部沈没』を観ましたが、その原作も含め以下の十一篇が収録されています。

    ■日本以外全部沈没
    ■あるいは酒でいっぱいの海
    ■ヒノマル酒場
    ■パチンコ必勝原理
    ■日本列島七曲り
    ■新宿祭
    ■農協月へ行く
    ■人類の大不調和
    ■アフリカの爆弾
    ■黄金の家
    ■ワイド仇討

    パニックモノが集められていることもあり、なんじゃこりゃ!と思うような理解不能な作品も含まれていましたが、、、
    「日本以外全部沈没」、「ヒノマル酒場」、「農協月へ行く」、「人類の大不調和」、「アフリカの爆弾」、「ワイド仇討」は面白かったですね。

    ユーモア(相当黒いですけど… )な文章の中に、社会風刺やナショナリズムへの批判精神がこめられていて、面白いけど考えさせられる… って感じでしょうか。

    発表された当時の社会情勢や世相を肌で感じていれば、もっと愉しく読めるのかもしれませんね。

  • 「日本以外全部沈没」★★
     タイトル通り。
     登場人物紹介はあるものの、やはりわからないから面白みに欠ける。
    「あるいは酒でいっぱいの海」★★★★
     短いがかなり面白い。
    「ヒノマル酒場」★★
     テレビで放映されている宇宙人は本物!?
     大阪人とマスコミに対する皮肉か。
    「パチンコ必勝原理」★★★★
     これまた短い。そしてオチが読みやすい。
     それでいて様々な手法が面白い。
    「日本列島七曲り」★★
     時代を感じる。わからない。
    「新宿祭」★★
     これまた時代を感じる。
    「農協月へ行く」★★
     きっと農協の評判が悪い時代だったんだろうなということぐらい。
    「人類の大不調和」★★★
     万博の話。痛烈な皮肉。
    「アフリカの爆弾」★★
     すごい旅路。オチは・・・?
    「黄金の家」★★★★
     タイムパラドックス的な。とても面白い。
    「ワイド仇討」 ★★★
     何を言いたかったのかわからなかった。
     読み物としては面白かった。

  • 筒井氏の発想はいったいどこから来るんだろう……そんな、陳腐で考えても仕方ない疑問をずっと持っていますが、こういう短編集こそ、その発想力のすごさを感じます。

    本作品集は、そんな筒井氏の、比較的初期の作品を集めています。ちょうど「日本沈没」を読んだので、表題作を読んでみたかったわけですが、意外にあっさりした流れで驚きました。まぁ「日本沈没」のカウンター作品としては、これでも良いものなのかも知れません。ただ、これ単体だと、あまり面白みはないな、と。

    それ以外も、作品の善し悪しには結構差があるように感じます。まぁ、正確には善し悪しというか、ワシの好みの好悪に過ぎませんが。結構、オチの尻切れ感というか、まるでお笑い的な「オチ」を付けようとして失敗しているかのような、そんな作品もあります。

    ただ、やはりこの全体的な馬鹿馬鹿しさ、スラップスティックコメディとしての質の高さはすごいです。そして、各作品の風刺感。時代劇、SF、日本でないところでの物語、でもそれぞれに差し込まれた当時の社会に対する風刺が面白い。

    「ヒノマル酒場」での記者の描かれ方、「農協月へ行く」で描かれる醜悪なエコノミックアニマル、「アフリカの爆弾」のナンセンスな空気、このあたりが、特に気になった作品とポイントでした。「ワイド仇討」のシュールさも良いですね。

  • 「対話の時代とか何とかいって、やたらに他人の問題を知りたがる人間がふえたが、みんな他人の問題を軽く見て、それらすべてが自分の問題より小さいと感じて納得しているのだろう。それはかかわりあいではなく、逆に、かかわりあいを避けることだ。」

    お借りしました。
    さすが、というか、なんというか。。。
    非常に歴史は感じさせられるんだけれど、ブラックさは、今の世の中に十分通じるものがあるのだ、、、怖い・・・

    そして、元ネタが、凄いなぁ。。古いけれど、新しい。
    今じゃ、こういうことって誰もしようとしないと思う。
    いや、今も昔もこの人だけなんじゃないかって思えるぐらいの遊びっぷり。
    お見事としか言いようがないのです。

    まぁ、もちろん、物語のほうがすきなんだけれど、
    たまにはこういうのもいいかな、って気にちゃんとさせてくれるので、さすがなのでした。

    【10/11読了・初読・友人蔵書】

  • パニック短編集。

    パニック短編集と言いつつ、どれもシニカルな視点が効いており、中でもヒノマル酒場が共感出来た。

  • 《目次》
    ・「日本以外全部沈没」
    ・「あるいは酒でいっぱいの海」
    ・「ヒノマル酒場」
    ・「日本列島七曲り」
    ・「新宿祭」
    ・「農協月へ行く」
    ・「人類の大不調和」
    ・「アフリカの爆弾」
    ・「黄金の家」
    ・「ワイド仇討」

  • 小松左京の「日本沈没」を読んだあと、その流れで洒落で本書を読み始めた。表題作の「日本以外全部沈没」を含む11の短編を収める。
    それにしても「日本以外全部沈没」という表題のインパクト、完成度である。もはや表題だけで完結させて内容本文が不要なような気さえする。(実際本編の内容は小さなスナックだけで完結するドメスティックなもの。世界の歴史的な著名人がびっしり参集するのだが、それだけのお話ではある。)

    所収の短編の多くがスラップスティックなもの。加えて毒気が濃厚である。
    ・「人類の不調和」は、大阪万博を舞台にした短編「人類なのだが、『ソンミ村館』『ビアフラ館』ときたうえで『南京大虐殺館』である。猛毒である。

    ・「日本列島七曲り」は旅客機がハイジャックされ機内はてんやわんや、なるお話。実行犯は赤軍派。
    ・「新宿祭」は、過激派学生と機動隊の闘争を茶化しているのだが、当時の新宿騒乱がモチーフ。
    という次第で、60ー70年代ころの時代の空気を感じさせてその点味わい深い。同作の「新宿ソーラン節」は秀逸。(※69年の作)

    「日本以外全部沈没」にしろ、「新宿ソーラン節」にしろ、筆者筒井氏の言葉遊びのパロディ感性、その爆発力がすごい。

  • 久しぶりに筒井を読みましたが、相変わらずのインテリ毒舌でとても楽しい!

  • それぞれ違っていると思ってもみんな一緒

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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