くさり―ホラー短篇集 (角川文庫)

著者 : 筒井康隆
  • 角川書店 (2006年11月発売)
3.17
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041305270

くさり―ホラー短篇集 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  ホラー短篇集。といっても、筒井康隆のホラーなので、ニヤリと笑えたり、くすりと笑えたり、怖いのだけどどこか笑えてしまう面白さがある。だけど、だからといって油断していると、突然「怖い!」物語が入っていたりするのでご用心。…とはいえ、わたしはホラー系がかなり駄目で、「怖い!」と思う沸点がとても低目。他の方が読まれたら、こんなの全然怖くないやん。と思われるかもしれませんな…。

     この短編集には「新未発掘短篇」の「大怪獣ギョトス」が収録されているのもウリな模様。これはなかなかに強烈な皮肉が効いている作品だった。わたしは「星は生きている」が一番好き。これは他の短編アンソロジーで読んだことがあったのだけど、シュールでとても面白い。わずか4ページあまりの話なのだけど、面白くてついつい何度も読み返してしまうほど面白いのです。

     背筋を寒くするようなホラーを求める人には向かないと思うけれど、シニカルな面白味が好きな方にはおすすめなホラー短篇集です。

  •  今から10年以上前になるかもしれませんが、世にも奇妙な物語というテレビドラマで放送された「鍵」という江口洋介さんが主演した作品が印象的だったので、その原作が納められたこの本を手に取りました。購入した当初はいくつかの話を読んだら、あまり合わないのかな、と思ってそれきり読むのをやめましたが、つい先日部屋の掃除をしていた時に出てきたので読んでみたら、引き込まれて10年以上かかってようやく読破しました。
     
     この短編集はショートショートを含む全22篇からなるもの。ホラー短編集ということもありシリアスな物語で基本的には構成されています。
     その中でも印象的だったものについて感想を述べようとおもいます。

     「ふたりの印度人」について。
     私は帰りの電車の中でふたりの印度人を見かけた。彼らは電車を降り、家に帰ろうとする私を追いかけてきて、どうにか家に侵入しようとする。侵入されたもののどうにか追い出し、出刃包丁を握る私からそれを奪い取った片方の印度人。彼はその出刃包丁でもう片方の印度人を切断し、それを拾った後、駅の方へ向かって歩いていった。次の夜、印度人は三人になってやってきた。
     何とも言えず怖い話です。何故追いかけてくるのかわからず、コミュニケーションも取れず、片方の印度人は平気でもう片方を包丁で切断し、その切られた印度人には血が流れておらず、スポンジ状の割れた消しゴムの様な断片がのぞいている。
     生きていてもわけがわからないことはたくさんありますが、この作品はそんな正体不明の恐怖がよく描かれていると思います。7ページながらとても印象に残りました。
     
     「さなぎ」について。
     この世界にはさなぎセンターというものがあり、親に反抗した子どもはそこで反抗したことが失敗に終わる夢をひたすた見せられる。主人公には付き合っていた彼女がいたが、一年前にさなぎセンターに送られ、その日友人も送られることになる。その日の夜、主人公はちょっとしたことから父親の不満を買い、暴力を振るわれる。ここで反撃してはさなぎセンターに入れられると思い、父親が老いて動けなくなった頃に復讐をしてやると心に決める。5年経ち、10年経ち、20年が経った。父親が死に、自分だけが父親に痛めつけられたられたのは不公平だと、今度は復讐の矛先を自分の息子に向けることを決める。かつて父親がやったように、何かあればさなぎセンターに入れてやるということを盾にして。
     後味が良くない話です。自分が憎んでいた存在にいつの間にか自分もなろうとしている。よくあることなのかもしれませんが、やりきれない気分になります。親たちの都合で蝶になる前のさなぎに留められた子どもたちが、やがて親となった時に、自分の子供たちを同じようなやり方で反抗しない所有物のように扱う。悲しみが胸を覆った作品でした。

  •  『大怪獣ギョトス』が良い。中学時代から著者の文庫本に親しみ、当時を懐かしく思い出す。

  • 『生きている脳』すごい。無間地獄をSFの手法で現実世界に再現してしまった。いや小説なのだから虚構なのだが、この超現実が現実を侵食している感じは炭取りがくるくると回っているのではないだろうか。

    『肥満考』筒井氏らしい皮肉炸裂。現実と虚構の区別が曖昧になってくる、今敏監督みたいな手法は『パプリカ』のようで、『ダンシング・ヴァニティ』を思わせるところもあった。

    『ふたりの印度人』意味不明な理不尽さに対する恐怖。

  • 安心と安定の筒井節。
    ホラーと銘打ってありますが、所謂ホラー的な物は「くさり」「鍵」位かなと云う印象で、後はシュールだったりコミカルだったり。
    「くさり」は怖いです…盲目の少女の視点(と云うのもおかしいですが)で進むので、情景の暗さ、手探りのみの進行が非常にスリリングでした。
    個人的には「ふたりの印度人」が好きでした…相手の意図が全く分からないだけに恐怖感がある、と云えば殊勝な物ですが…絵的に面白いな~と。
    あと「亭主調理法」も。いいのかこれ(笑)
    手軽く読める一冊。
    町田久美さんの表紙絵も素晴らしいです。

  • 久しぶりな筒井作品。
    普通のホラーとは違いやはりちょっと筒井ティストの入った作品集。

    最後の鍵がホラーっぽいといえばぽいか。

  • 筒井康隆は色んな色を持っていてすごいなぁ。

  • 人は「鎖」に縛られ「腐り」ていくもの。それは社会とか世間とか政治とか呼ばれるものでもある。

  • ホラー短編集。

  • わたしには難しい表現もあったが、シュールな怖さも感じた

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