死化粧 (角川文庫)

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著者 : 渡辺淳一
  • 角川書店 (1971年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041307014

死化粧 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 著者の初期医療小説4作を収録しています。

    「死化粧」は、医者であるがゆえに、他の親戚たちのように母の死を見ることのできない主人公の内面を描いています。

    「訪れ」は、著者自身がモデルと思われる、医者であり小説家でもある主人公が受賞パーティに出席したときに、同じ北海道出身の高名な批評家であるK氏と会話をすることになります。彼が医者だと知っていたK氏は、文学の話でも宗教の話でもなく、自身の病について尋ねます。K氏がガンで、もはや長く持たないことを知った主人公は、一方でK氏の評論を愛読する元校長の胃ガン患者を診ていました。ともに死に直面しつつある2人を医師の眼ざしで見る主人公を通して、極めて散文的な「人の死」に対峙する力をいったいどこに求めればよいのかという疑問に読者を引きずり出します。なお、この作品に登場する批評家のK氏は亀井勝一郎をモデルにしています。

    「ダブル・ハート」は、和田心臓移植に想を得た短編小説です。「霙」は、障がいを持つ子どもたちを預かる「あすなろう学園」に赴任することになった医師の柏木圭介の物語です。

    渡辺淳一という小説家の文学的才能については懐疑的な読者も少なくないと思いますが、そのこととは別に、およそ文学が、医学の視点から見られた極めて散文的な人の死に直面したときに何か意味を持つのかという問いは、重要だと考えます。むろんこのような問いかけは、サルトルの「飢えている子供たちを前にして文学に何ができるのか」という問いと同じく、およそ比較不可能なものを比較しようとしているのではないかという批判を招きかねないのですが、少なくともこうした問いを投げかけうるという点に、文学の一つの可能性を見ようとすることは、それほど的外れであるようには思えません。

  • 本当にまじめな作品。
    医師という視点で真っ向勝負しています。

    と、言うか医師という職業は
    あこがれるものだけれども
    なってしまうとどこか冷めた
    視点になってしまうようです。

    表題作がその際たるものでしょう。
    彼はもう、肉親の死を悟っていたのです。
    だけれども、それを分かち合えるものはいない…

    そんな中、手術のときは
    どうしても情がわくのでしょうね。
    思わぬ行動をとるのですから。

    最後に出てくる「霙」も
    やるせなさを覚えます。
    どうしても、弱者に対する偏見
    蔑視はなくならないでしょうね。
    そう、人が持つ醜い感情「優越感」が
    邪魔をするのですから…

  • (1974.02.05読了)(1974.01.26購入)
    (「BOOK」データベースより)
    私だけが母の死を信じていた。脳腫瘍を患う母を前に、医師として生き続けられる確信を持つことは無理だった。だが冷徹な眼差しは、まもなく死ぬ母への愛を不確かなものにする。母の危篤にうろたえる親族から孤立していく青年医師の心理を描いた表題作、他3編を収録。
    「死化粧」「訪れ」「霙」「ダブルハート」

  • 渡辺淳一ってエロスの世界だけじゃないんだ。。。と見直した一冊。脳腫瘍摘出の描写が印象的。

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