阿寒に果つ (角川文庫 緑 307-2)

著者 :
  • KADOKAWA
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レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041307021

感想・レビュー・書評

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  •  渡辺淳一は「失楽園」以外、読んだことないんだけど、これはツイ友が読んでたのと、「真面目な医者が官能小説家になったきっかけ」になった実話、ということで、読んでみた。
     14歳でデビューした天才少女画家が作者本人を含めた5人の男を手玉に取って同時進行の恋愛(?)をした末に18歳で阿寒の雪原で凍死自殺するっていう話です。姉との同性愛に近いものもあったので、それがポイントかと思ったけど、そうでもない。
     ナルシシズムが嵩じて、本当は誰も好きになれなかった、死ぬ時も、「生きていた時よりも美しく、華麗に」と願った末の凍死、っていう話。うーん、そんなに「自己愛」に溺れる人ってホントにいるんだろうか?僕にはそれよりも、厳格な父親と繋がれなかったから寄りかかれる存在が得られなかった、っていう「人間(男性)不信」の結果のように思えます。だから、自殺したからという訳じゃなくて、読んでて「可哀想」と思ったりもしました。
     小説としての感想は、「うーん、微妙」かな。でも、やっぱり実話(もちろん脚色はあるだろうけど)に基づいてるだけに、この女性が何を考えてこういう行動を取ったのかってのを「推理」することには意味があります。
     多分読み手が男性か女性かによって全く感想が違う小説だと思います。そういう点ではやっぱり優れてるんだろうなとも思ったり。1970年代前半のベストセラーだったのもむべなるかな。

  • 著者自身をモデルにした田辺俊一という作家が、20年前に高校生だった頃に恋した時任純子という謎めいた女性の真実を知るため、彼女を知る5人の人びとから彼女について話を聞くという構成の作品です。

    本書を通してその素顔が明かされていく純子という女性は、男たちの視点からはその内面を描き尽くすことのできない、多面性を持つ一人の女性とは言い難いように思います。女性としての歓びであるはずの、男性との間に愛を育むことを知らず、周囲の男性たちにコケティッシュな態度を取り続けながら自分自身しか愛していなかった孤独な「天才少女画家」という純子像には、渡辺淳一の性愛観がはっきりと刻印されています。

    「解説」を担当している郷原宏は、本書を推理小説になぞらえていますが、「真実は一つ」であることが前提されているという意味では、言い得て妙だと感じました。

  • 渡辺淳一さんのこの頃の作品は瑞々しいですね。後年~晩年の作品より初期~中期の作品が好きです。

  • 【未来の浮気男の美しきトラウマ体験】
    有吉佐和子「悪女について」みたい。純子さん、どんなボインの美少女かとググったら、なんだかぽっちゃりな女子でしたね。たしかに派手顔ではあった。
    色々脚色されてるだろうけど、彼女の魔性っぷり、イカレっぷりはすごいなあ。真冬の札幌であのフットワークの軽さは超人的。
    あと、男達の愚かさもすごい。
    また、初期の作品だからか、著者が理系脳だからか、エピローグが実験の考察・検証みたいで、少々うけました。あと、このトラウマ体験を浮気症の免罪符に使うなよって感じ…
    北海道の風景、季節の描き方は素敵でした。

  • 今から30年以上前に一度読んだ、高校生だった当時、ドキドキしながら読んだものだったが、今読んでみると、それほどでもないし、時代の古さを感じる。関係する男性の目から1人の女性の多面性を描くという手法に新鮮な衝撃を受けたものだったが、当時より自由な表現で、女性を描く小説が増えたせいか、平凡に見えてくる。渡辺先生のご冥福を祈ります。

  • 青年期よりもう10回は読み返しているかな。

  • 8月22日(木)読了。
    6/2(日)の真知子ショックに影響されて、思い出して読み出す。

    感想は、また、改めて。

  • 恋愛、不倫、性を描写することに作家は普通でないものを持っていると感じる。純子は結局自分自身を一番愛していたのだと言うところは、作家自身を純子に結び付けているような気がする。純子同様、作家はナルシシストであると感じた。

  • 再読了。

  • 天才少女 時任純子 を六つの視点 
    氷の結晶のごとく見る。

    アンチョロ が見向きもしなかった 14歳の少女が
    男への復讐を計るというもの。
    画を導きをした 蒲部 
    どうも 結婚 という因習にとらわれすぎなような気がする。
    芸術家の炎をともすことのできないような気がする。
    芸術家の炎 苦悩・情熱 骨のある太い人格のデッサン
    みたいなもの がない。
    自然に 春がきたら 解けてしまうような 人間
    最終的に 自殺とした 結末しか描きえない。

    終章は蛇足。

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