霧が晴れた時 自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041308639

作品紹介・あらすじ

太平洋戦争末期、阪神間大空襲で焼け出された少年が、世話になったお屋敷で見た恐怖の真相とは…。名作中の名作「くだんのはは」をはじめ、日本恐怖小説界に今なお絶大なる影響を与えつづけているホラー短編の金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • どの話もべらぼうに面白い短編集(≧∇≦)!!



    小松左京天才や…⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝♡
    めちゃめちゃおもしろい話ばかり!
    SFとホラーが私のツボだからかな。
    なんだこの安心感は…。
    もうひとつの短編集『牛の首』と共に、超お勧めです!!


    【すぐそこ】

    男が山の脇道を行き、県道への道を通りすがりの人に訪ねて行く。
    皆口を揃えて「もうすぐそこ」だと言うが……。

    怖い…。
    これぞ怪談話って感じ。


    【まめつま】

    夜中に赤ん坊が激しく泣き続ける日々が続いた。
    祖母に聞くと、それは「まめつま」だと言う。
    子供や赤ん坊にだけ見える、小さな魔物らしい。
    枕元にお米をひとつかみ投げるといなくなるらしいのだが——。

    先が読める展開であったが、場面がハッキリと目に浮かぶ描写がさすが。素晴らしい。


    【くだんのはは】

    戦時中、家が空襲で焼けてしまった。
    運良くお手伝いの仕事先のお邸に居候させてもらえる事に。
    その邸はとても広いが、住んでいるのは住み込みの家政婦と、おかみさんと、病人の3人だけだった。

    だいたい予想はついたものの、こうきたか。
    たしかに、これは怖い。
    戦争中の人々の様子も、つらい。
    中山市朗の『新耳袋シリーズ』で紹介されたらしい。


    【秘密(タプ)】

    ある休日、なんの変哲もない仲の良い夫婦と兄の妹がのんびり掃除などして過ごしていた。
    主人が仕事で買い集めた南太平洋の土産の置物のひとつに、真っ黒な木彫りの神像がある。
    妻は日頃からこの神像が薄気味悪く、奥の方へ追いやっていたのだが…。

    シュールだわ〜。
    一体どうなっていくのか気になる展開。
    面白い!


    【影が重なる時】

    朝方、友人からの電話で起こされた。
    彼は部屋の中にもうひとりの「自分」がいると言う。
    渋々彼の部屋へ向かうと、誰もいなかった。
    どうやら本人にしか視えないらしい。
    すると、もう1人の友人からの電話がくる。
    彼女の部屋にも、もうひとりの彼女が現れたらしい——。

    これ、めちゃめちゃおもしろい⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝
    結末が意外な方向へ進み、予測不可能!
    ラストすごくいい。
    2003年『世にも奇妙な物語』で映像化されたらしい。


    【召集令状】

    ある日会社の若い部下の元に「召集令状」が届いた。
    召集令状とは、戦時中の軍隊の呼び出し状。
    当時のものと全く同じものが、次々と若者の元に届くようになる。

    この発想すごい。
    思いつかんて。
    小松左京の短編の良いところは、曖昧に終わらない所だと思う。
    そしてラストも非常に良い♡


    【悪霊】

    友人から電話があり、高等学校時代によく歌っていた歌の歌詞が知りたいという。
    彼は、古事記とその歌の関連を独自に調べていると言う。

    壮大すぎて、難しい…笑
    古典の知識がないので、ある人はハマるのかも。
    古事記も大まかにしか知らぬ私には、ラストを読んでホラーだなと思うくらいにしか理解できなかった…すまぬ。


    【消された女】

    由緒あるホテルの533号室に女がいた。
    空室であるはずの部屋に行ってみると、鍵が掛かっていた部屋の中で、女は消えていた。
    すぐ後に、男から電話があり、その女を探していると言う——。

    面白い!すごい!
    男の能力が羨まし過ぎる。
    この話好き!!


    【黄色い泉】

    妊娠中の妻を連れ国道を走る。
    雪深いはずの地域で、今年は雪も積もらず快晴だった。
    突如睡魔に襲われ、方向音痴の妻に運転を任せる。
    目覚めると目的地とは違う場所につく。
    事前に『比婆山の雪男』の話を聞いていた2人は、不思議な体験をする—。

    いやだ…(-_-;)
    体調悪かったら遠出するの、やめとこうよ。
    やっぱラストがすごく好き♡


    【逃《ふ》ける】

    小路の暗がりで声をかけてくる客引きの男。
    それは、2年前に自分を騙して逃げた徳さんだった。

    めちゃめちゃ面白い。゚(゚ノ∀`゚)゚。
    これは笑った。
    すごく上手い!!


    【蟻の園】

    2人の刑事は、なぜか休日になると、ある団地に足を運ぶ。
    毎日変わらない平和な世の中で、その事だけが不可解だった。
    いつものように団地へ行き、13号館を眺めていると、団地の住人が駆け寄ってきて、団地に何が起きているか知るために、催眠術で記憶を取り戻してくれと言ってきた。
    住人たちの記録を聞くと、恐ろしい事が分かる——。

    これもまたホント面白い(°д° )!
    漠然と思いつくSF特有の設定ではあるものの、ここからこう切り込んでくるのか!とびっくり。


    【骨】

    男が庭に井戸を掘ろう思った。
    井戸掘り職人が、櫓をつくり、掘り始める。
    すると、1メートル程掘り進んだ穴から出てきたのは、人間の骨だった—。

    壮大…壮大すぎる…。
    すごい好き!!


    【保護鳥】

    英語圏のある村で「アルプ鳥」という絶滅寸前の鳥を保護する活動が行われている。
    日本はトキを保護しているので、その方法を村人達は聞きたがる。
    その珍しいアルプ鳥をひとめ見たいと思い、カメラを片手に密かに探索するが、村人の目は冷たかった。

    これは…ちょっとよく分からなかったのでググりますと、なるほど。
    この解釈で合っているのかな。
    そうだったら、ホラーや……。


    【霧が晴れた時】

    連休に、家族4人で低山へハイキングへ行くことに。
    ゆっくりと楽しみながら登山していると、やがて霧が濃くなってきた——。

    表題作。
    謎の事件が題材の、奇妙なはなし。


    【さとるの化物】

    バーのカウンターの隣に座った男が、さとるの化け物(山父)の話をしだす。
    酔うとカンが鋭くなるという男は、自分が頭に思い浮かべた話を次々に当てていく—。

    さとりという妖怪、聞いた事はあるが、詳しく知らなかった。
    徳島県で語られていた昔話らしいです。
    小さい頃憧れていた能力を持った妖怪とは…。
    会いたくない。こわい。

  • 小松左京ホラー短編集。「くだんのはは」最恐
    くだんのはは:凶事を予言する牛頭の怪物
    まめつま:赤ん坊の夜泣きの原因の妖怪。
    影が重なる時:ドッペルゲンガー。
    保護鳥:ハーピー。女面鳥身。
    霧が晴れた時:人が消えていく話。

  • 小松左京の自選恐怖小説集。
    小松と言えば昭和のSFを牽引した1人。ではSFと恐怖小説の接点とは何かというところだが、著者自身による「あとがき」に、「近代SFはそのスタートのときから、伝統的なホラーをモダンホラーに仕立て上げるというひとつの伝統を持って」いたとある。なるほど、そうした側面はあったのかもしれない。

    本書収録は全15編。
    そこここで、どことなくSF的な印象を受ける。特にSFを思わせるのは、「影が重なる時」「召集令状」「蟻の園」「骨」あたりだろうか。
    冒頭の「すぐそこ」は、<近くて遠きは田舎の道>といった話に、安部公房の「砂の女」を思い出させる不条理も滲ませている。
    古代史や神話・異文化に材を取った作品群では、著者の博学ぶりも窺わせる。「秘密(タブ)」はポリネシア民話。「悪霊」は日本古代史の中で非業の死を遂げた人々から土蜘蛛まで。「黄色い泉」は古事記を下敷きにしているがなかなか大胆な翻案。ただ、知識が先走りして、特に「黄色い泉」についてはちょっと説明がくどいように思う。
    表題作「霧が晴れた時」は、15ページほどだが、読み心地としてはショートショートのような切れ味。これを表題作に選んだのは、著者自身が気に入っていたということだろう。
    「伝統的ホラーをモダンホラーに」という路線に最も近いのは「まめつま」「くだんのはは」だろうか。ただし、ベースの話はどちらも、著者が例に挙げている小泉八雲の「むじな」ほど古くなく、どちらかというと都市伝説に近いようなものではないかと思う。

    著者自身、書きながら恐怖を感じた作品が3つ、あとがきに挙げられているが、見事に自分が怖いと思ったものとは、ずれていた。
    個人的には「まめつま」に一番ぎょっとした。怖さとしては、暗がりでわっと脅かされる怖さに近いような気がするが。

    全般として、SF寄りのものも、サイエンスが全面に出ているのではなく、情念で押してきている印象を受ける。ある種、荒唐無稽な設定もあるのだが、どこか「知性」を感じさせるのは著者の持ち味だろう。
    何事かの怪異が起こる。えてして、その背後にあるのは何者かの執念や怨念であり、詰まるところなぜそうなるのかの原因は「わからない」。そのことがもたらす恐怖が取り上げられている作品群のように思う。
    恐怖小説集であるので、著者のSFはまた違う傾向なのかもしれない。遠い昔に「日本沈没」を読んだきりなので、そのあたりは何とも言えない。

    ところで、個人的にはSFもホラーもあまり得意分野ではないのだが、なぜこれを手に取ったかと言えば、「くだんのはは」が収録されているためである。
    本作の初出は1968年。この時代、「くだんのはは」といえば、戦死兵士の母である「九段の母」を思い浮かべる人が多かっただろう(靖国神社が九段にあるため)。だがこの「くだん」はある種の妖怪である。19世紀中頃から各地で言い伝えられるようになったもので、小松の作品でさらによく知られるようになったようである。但し、著者がタイトルをわざわざ平仮名表記にしているのは、「九段の母」をダブルミーニングで重ねているのかもしれず、戦争批判の意図はおそらくあるのだろう(戦争批判という面では「召集令状」の方がその色が強いかもしれない)。
    「くだんのはは」は、著者のホラーの中では名作とされ、確かに美しい中に、噛み締めるとじわりと怖さが広がる。
    別の著者らの作品で「くだん」を扱ったものがあり、この妖怪に少々興味があった。「くだん」については機会があれば別の本で追ってみたいと思う。

  • はい!牛の首が面白すぎたので
    前作である本作『霧が晴れた時』!
    すかさず読んでみました!٩( 'ω' )وよいしょ〜
    今回も
    ホラー強めの奇妙で壮大な話で面白かったです!
    ٩(๑ᵒ̴̶̷͈̀ ᗜ ᵒ̴̶̷͈́)و ̑̑ ✧わぁ~ぃ

    『すぐそこ』
    山登りに慣れてるからって調子に乗ると
    こうなるぞ!!道に迷うどころか人生詰むぞ!
    初心忘るべからず!!

    『まめつま』
    夜泣きが治らない子供の枕元に向かって米つぶを
    ぶん投げる。ぶん投げたはいいが…うわぁ…おばあちゃん……

    『くだんのはは』
    く・だ・んッッッッッッ!!ひゃあー!!

    『秘密』
    あああ…こんな秘密は共有できるか!!

    『影が重なる時』
    スーパーなSF作品
    世にも奇妙な物語で映像化されているらしい
    観たい!!

    『召集令状』
    戦後日本高度経済成長にあの赤紙が届く…
    絶対に逃れる事はできない!!

    『悪霊』
    ちとムズい…笑笑

    『消された女』
    凄まじい鬼嫁物語
    このおっちゃんの能力欲しい…

    『黄色い泉』
    悍ましい…神々の話

    『逃げる』
    絶倫中年ジジとポン引きジジと時々イチオシ娘

    『蟻の園』
    我々はもしかすると蟻かもしれない…怖っ

    『骨』
    庭に何万年前の人骨とマンモスの骨が出てきた
    しかし掘れば掘るほど…骨!骨!骨!骨!骨!骨!
    骨!骨!骨!骨!骨!骨!骨!骨!骨!骨!
    こりゃまたすごい事になってきましたよ〜( ✧﹃✧)
    歴史的スペクタル物語…骨!!

    『保護鳥』
    海外の山間の僻地ある閉ざされた僻村…行くもんじゃあ〜い!碌な事ない!!笑笑

    『霧が晴れた時』
    そして誰も……ねっ!!後は察して!笑笑

    小松左京先生の作品は怖いというよりは
    すごい!と思わせてくれるものばかりで
    とても良かった〜( * ॑˘ ॑* )
    SFとホラーの融合…素晴らしい⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝




  • 最初の方の短編は、霊的なおどろおどろしい怖さがあり、中盤からはSFよりなちょっと不思議な話と言う感じだった。
    どの短編も短編だけど世界観がとても作り込まれていて、短いと言うのを感じさせない程すんなりと話に引き込まれた。

  • すぐそこ…ライトなホラー。こわい
    まめつま…単なるホラー。
    くだんのはは…有名みたいだけど、うーん。なんか寂しい話。
    秘密(タプ)…一番印象的かも。おどろおどろしくて、想像すると震える。
    影が重なる時…実際に起こったらこわい。オチが途中からわかった。
    召集令状…お父さん、、やめて、、
    悪霊…のめり込みこわ。
    消された女…そっちか!おもしろかった。
    黄色い泉…そういう運命だったのかな?奥さんが道誤らなければ変わってたかな?
    逃ける…ホラー。不気味。
    蟻の園…こわいけどおもしろかった。
    骨…分かるような、分からないような。掘りすぎ、、
    保護鳥…こういうの好き、迫ってくる危機感がリアル。
    霧が晴れた時…これが一人きりだったら怖かったろうな。
    さとるの化物…テレパシー確かにこわい。

    キ印って言葉、恥ずかしながら初めて知りました。

  • すごく、すごく、面白かった。
    じっくり堪能しました。

    まさに自分にハマる作品でした。
    オチも秀逸でグッとくる話が多かったと思います。
    SF込みのブラックジョークがたまらない傑作短編集

  • ⚫︎感想
    やっぱり小松左京おもしろい!


    ⚫︎あらすじ(※ネタバレ注意!)


    「保護鳥」
    日本から遠く離れた異国で、ニッポニアニッポン(トキ)に異様なまでの興味を抱く村人たち。村でも貴重な鳥を飼っている。最後にその鳥がギリシャ神話にでてくる「ハーピー(半人半鳥)」だとわかる。食われる。

    「影が重なる時」
    本人にしか見えない自分の幽霊。それは自分が死ぬ時を予告している幽霊だった。ある地域の人にしか見えない。原爆のようなものが落ちる予告。影が重なる時、死ぬ。

    「骨」
    裏庭に井戸を掘ろうとする。すると矛盾して古い年代順に化石や骨、土器、武器、青銅器などが出てくる。掘れば掘るほど新しい年代のものが出土するのだ。取り憑かれたように掘り進む主人公。地層は夥しい死の蓄積なのだ。最後主人公は自分の墓を掘り当てる。浮かばれなかった霊の夢…だったのか。

    「すぐそこ」
    山道で迷い、どの村人に戻る道をきいても分からず、「すぐそこ」と言われる。やっと一軒の家に泊めてもらうことに。場面は変わり、若いグループと話す男。それまでの山で迷ってしまい、出られなかった話をするその男は、今は老人となってしまった、山から出られずそこにとどまり続けるその人であった。

  • やっぱり「くだんのはは」が一番の傑作。一番怖かったのは「秘密(タブ)」、「逃ける」(ふける)という作品に思う事たくさんあったが、ブログで書ければ書く。

  • 「日本沈没」で有名なSF作家による自薦ホラー短編集。SF畑出身ということもあって星新一のようなショートショート感が見られる作品も多いが、ホラーに舵を切った作品はどれも怖い。

    自分は何者なのか、自分が目で見ているものは何なのかということに自信が持てなくなった登場人物は阿部公房の作品の中に出てきそうだ。

    「くだんのはは」「召集令状」など戦時中・終戦直後を舞台にした話が特に面白い。

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著者プロフィール

昭和6年(1931年)大阪生まれ。旧制神戸一中、三校、京大イタリア文学卒業。経済誌『アトム』記者、ラジオ大阪「いとしこいしの新聞展望」台本書きなどをしながら、1961年〈SFマガジン〉主催の第一回空想科学小説コンテストで「地には平和」が選外努力賞受賞。以後SF作家となり、1973年発表の『日本沈没』は空前のベストセラーとなる。70年万博など幅広く活躍。

「2019年 『小松左京全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小松左京の作品

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