霧が晴れた時 自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 410
レビュー : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041308639

作品紹介・あらすじ

太平洋戦争末期、阪神間大空襲で焼け出された少年が、世話になったお屋敷で見た恐怖の真相とは…。名作中の名作「くだんのはは」をはじめ、日本恐怖小説界に今なお絶大なる影響を与えつづけているホラー短編の金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • 小松左京先生の自薦恐怖小説集「霧が晴れた時」。
    「そこまで」と「召集令状」が好きで買ってしまいました。

    無限ループって怖くね?っ思いたい方にオススメ。
    ※カニバリズム系表現苦手な方は避けて下さい

  • バリエーション豊かなホラー短編集。古典ホラーや神話、伝承、妖怪を題材にしつつ、現代的な視点やSF的な解釈を持ち込んでいる(筆者あとがきでも述べられているが上手く成功していると思う)。SF的な解釈が怖さや怪しさを打ち消さず融合しているのは見事。
    一番好きなのは「すぐそこ」。
    一番怖さを感じたのは「招集令状」。

  • 1993年に刊行された作者自身のセレクトによる怪奇、SF奇談の15話から成る短編集。
    日本古来から伝わる伝説から怪談や妖怪の怪奇譚のみならず、時空の歪み、超能力といったSFテイストのストーリー、過去の経験から戦争に対する日本人の深層心理に根付く不安などバラエティーに富んだ小松左京の手腕がさえる『恐怖』のショートショート。昔から伝承される怪談も、科学に裏打ちされたSFも、人が感じる恐怖には“時代”は意味を持たないという「日本民族研究家」であり日本を代表するSF作家の小松左京独特の視点が光る。
    中でも『件の母』は主に関西方面で語られた都市伝説の一つ。敗戦の色が濃くなった戦争末期の混沌とした社会不安をテーマとしており、古くは文政の頃から語り継がれた牛の体と人間の顔の怪物『件』(「人牛」の文字が『件』となった)にまつわるスリラー。
    『件』は生まれて数日で死ぬが、その間に作物の豊凶や疫病、旱魃、戦争など村人や庶民の生活に関して重大な様々な予言をしてそれは「間違いなく起こる」とされている。大東亜戦争末期ごろから人間の体と牛の頭部を持つ女性「牛女」とする話が兵庫県を中心に多く聞かれた「都市伝説」を取材して『件』と『牛女』の話をかけ合わせ、戦前の流行歌である「九段の母」に引っ掛けた洒落を題名にしたシニカルな側面もある秀作。
    その他、南洋の呪いにまつわる話の『秘密≪タブ≫』、日本の封印された墓を暴いたことで起こる『悪霊』、妖怪の生贄に計られる男の『保護鳥』など土着信仰や妖怪など古典ともいえるラヴクラフト系ストーリは短編ながらなかなか読みごたえがある。
    ここで語られるエピソードの数々は、どれもが40年以上前に書かれた作品とは思えないほどリアリティーあるストーリーに感じるのは日本の風俗文化研究者ともいえる小松左京という作家の先見性と文学性故であろう。

  • 普段の生活の中で起こりそうな怪奇現象。
    パラレルワールドな感じが地味に怖い。
    ひょいと別世界に紛れ込んでそうな…

  • SF作家で有名ですが、恐怖小説を書かせても一級。

    名作『くだんのはは』はもちろん最初から最後まで色んな角度から怖がらせてくれる。
    読む手が止まらなかった。
    特に『骨』がお気に入り。

  • すぐそこ
    まめつま
    くだんのはは
    秘密(タブ)
    影が重なる時
    召集令状
    悪霊
    消された女
    黄色い泉
    逃ける
    蟻の園

    保護鳥
    霧が晴れる時
    さとるの化物

  • 怪異の人形焼詰め合わせ。

    怪異が起こる、
    訳知り顔の男が語り出す、
    オチ。

    毎回この型で焼かれており
    中身だけが違うのだが、
    それでも美味しい。
    ぱくぱく口に運び、
    ごくまれに中身が薀蓄しかなくて
    飲み込んだものを二度見する。

  • 絶品の短編怪奇小説が詰まった一冊。個人的には「まめつま」「くだんのはは」「悪霊」辺りが好みでした。

    それにしても、小松左京の博識と言ったら!「日本沈没」や「復活の日」では科学方面の見識に唸ったけど、「悪霊」ではその歴史知識に感心しました。古代史ファンにお勧めの一篇です。

  • 「くだんのはは」が代表作なのだろうか?
    あまりグロテスクな表現が好きではないので、
    読んでいて途中から気分が悪くなってきた。
    読み進める中でやたらと戦争に関する記載が多いなぁと思い、
    出版年を見たらだいぶ前の作品だった。

    これをホラーというジャンルで括るのはなんか違う気がする。
    ただじわじわと迫る薄気味悪さは何とも言えず怖い。

  • 妖怪や都市伝説で語られる「くだん」のことが描かれた作品『くだんのはは』が収録されていると知って、数年前に購入。
    今回で、二度目の読了。

    「くだん」にしてもそうなのだが、いわゆる民間伝承や怪談をモダンホラーとして構築している手腕にただ脱帽する。
    この系統で挙げると、『さとるの化物』と『まめつま』も楽しめるだろう。
    「さとる」とは、「さとり」と呼ばれる妖怪のこと。
    この作品は、特に描かれた視点が良い。

    収録された幾つかの作品では、戦争の匂いを感じる。
    あとがきを読んで、なるほどと思った。
    体験した者でなければ醸し出せない、ニュアンスなのだろう。

    勿論SF作家なので、空想科学も幾つか恐怖な作品が収録されている。
    『影が重なる時』なんかは、もはやSFに対し自虐的。
    また発展途上国の土着信仰や、欧米の絶滅危惧種に絡めた作品も味わい深い恐怖を体験できる。
    狂気と妄執とアイロニー。
    かなりバラエティに富んだ、ボリューミーな一冊。
    面白い短編を読みたい方にも、書きたい方にもお勧めです。

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