- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041310137
感想・レビュー・書評
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生き方の本です。いかに生きて、死んでいくべきか… それを見せつける本です。
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この政治的汚点とも呼べる事件は、現代の原子力政策の無能さに重なるものがある。
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明治天皇への直訴。鉱毒被害を軽視する担当大臣に「この水を飲め」と
汚染された水の入ったコップを差し出す。
大隈公の屋敷の庭に忍び込み、汚染された土壌を樹木の根元にまいて
立ち枯れさせる。
そんな華々しい議員時代の田中正造ではなく、家庭も省みずボロを
まとい、被害民とを率いて資本家・国・県と戦い続けた晩年を描いた
傑作である。
渡良瀬川遊水地とされた谷中村の残留民は、田中正造亡きあともその
意思を継いで戦いを続ける。
ある者は移住した元住民に懐柔され、ある者は生活の糧を得る為に、
隣接する村に転居する。文盲の村民は県の担当者に騙されて、土地
明け渡しの書類に印を押す。
田中正造の晩年を追いながら、なんの力もない庶民が大きな権力に
向かって行く哀しくも一途な思いが圧巻だ。
水俣病訴訟では東京都でも和解勧告が出た。当時のチッソの被害者
切り崩しには非情なものがあったという。
権力の犠牲になるのは、後ろ盾も何もない庶民であるのは、時代が
変わっても変わらぬのだな。 -
必読本。城山三郎の凄さがよく分かる。
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田中正造の話。高村薫ばりの小説。