辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.67
  • (16)
  • (30)
  • (32)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 246
感想 : 33
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041310137

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 生き方の本です。いかに生きて、死んでいくべきか… それを見せつける本です。

  • この政治的汚点とも呼べる事件は、現代の原子力政策の無能さに重なるものがある。

  • 明治天皇への直訴。鉱毒被害を軽視する担当大臣に「この水を飲め」と
    汚染された水の入ったコップを差し出す。

    大隈公の屋敷の庭に忍び込み、汚染された土壌を樹木の根元にまいて
    立ち枯れさせる。

    そんな華々しい議員時代の田中正造ではなく、家庭も省みずボロを
    まとい、被害民とを率いて資本家・国・県と戦い続けた晩年を描いた
    傑作である。

    渡良瀬川遊水地とされた谷中村の残留民は、田中正造亡きあともその
    意思を継いで戦いを続ける。

    ある者は移住した元住民に懐柔され、ある者は生活の糧を得る為に、
    隣接する村に転居する。文盲の村民は県の担当者に騙されて、土地
    明け渡しの書類に印を押す。

    田中正造の晩年を追いながら、なんの力もない庶民が大きな権力に
    向かって行く哀しくも一途な思いが圧巻だ。

    水俣病訴訟では東京都でも和解勧告が出た。当時のチッソの被害者
    切り崩しには非情なものがあったという。

    権力の犠牲になるのは、後ろ盾も何もない庶民であるのは、時代が
    変わっても変わらぬのだな。

  • 必読本。城山三郎の凄さがよく分かる。

  • 田中正造の話。高村薫ばりの小説。

著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

城山三郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
司馬 遼太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×