- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041310229
感想・レビュー・書評
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300万人もの人が無くなった戦争ではあるが、生き残った人もまた多数いる。その生死を分かつものは体力でも気力でもなく、単に偶然と呼ぶしかないような成り行きであったりする・・・。
多感な時期にこうした体験をして生き残った人が見た復興発展した現代とはどういうものなのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
死と向き合った多感な時期と戦後の余生との対比が鮮やかな短編集。
こうしてみると、良くも悪くも太平洋戦争が与えた影響の大きさを感じる。豊かになった生活も、そして豊かになったかどうか分からない精神も、戦争がなかったら今とはぜんぜん違うものになっていただろう。
戦争が体験から物語の中のものへ去りつつある今、戦争の後を襲う事件は東日本大震災と原発事故なのかもしれない。 -
先の戦争で心ならずも生還した飛行機乗りたち。彼らの戦中と戦後を淡々と描いた、城山三郎の傑作短編集である。
青春時代がそのまま戦争という時代、常に死が己の側に寄り添っていた時代、それでもじいさまたちが大空で感じた自由の濃密さ。だらだら生きている俺たちには、どうあがいたって経験不可能な境地を彼らは生き、あるいは死んでいったのである。
あの青春の続きに、いまのこのふやけきった、それでもまだ幸せな日々がある。そのことに思いの至らないバカの、なんと多いことであるか。俺にだってわかるというのに。なあ兄弟。 -
(2004/11/15(月))
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