忘れ得ぬ翼 (角川文庫)

著者 :
制作 : 生頼 範義 
  • 角川書店
3.23
  • (1)
  • (1)
  • (11)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 44
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041310229

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 300万人もの人が無くなった戦争ではあるが、生き残った人もまた多数いる。その生死を分かつものは体力でも気力でもなく、単に偶然と呼ぶしかないような成り行きであったりする・・・。
    多感な時期にこうした体験をして生き残った人が見た復興発展した現代とはどういうものなのだろう。

  • 死と向き合った多感な時期と戦後の余生との対比が鮮やかな短編集。
    こうしてみると、良くも悪くも太平洋戦争が与えた影響の大きさを感じる。豊かになった生活も、そして豊かになったかどうか分からない精神も、戦争がなかったら今とはぜんぜん違うものになっていただろう。

    戦争が体験から物語の中のものへ去りつつある今、戦争の後を襲う事件は東日本大震災と原発事故なのかもしれない。

  •  先の戦争で心ならずも生還した飛行機乗りたち。彼らの戦中と戦後を淡々と描いた、城山三郎の傑作短編集である。
     青春時代がそのまま戦争という時代、常に死が己の側に寄り添っていた時代、それでもじいさまたちが大空で感じた自由の濃密さ。だらだら生きている俺たちには、どうあがいたって経験不可能な境地を彼らは生き、あるいは死んでいったのである。
     あの青春の続きに、いまのこのふやけきった、それでもまだ幸せな日々がある。そのことに思いの至らないバカの、なんと多いことであるか。俺にだってわかるというのに。なあ兄弟。

  • (2004/11/15(月))

全4件中 1 - 4件を表示

プロフィール

城山三郎(しろやま さぶろう)
1927年8月18日 - 2007年3月22日
愛知県名古屋市中区生まれ。大日本帝国海軍に志願して入隊し、特攻隊の部隊に配属されたが、訓練中に終戦となった。東京産業大学(一橋大学の前身)を卒業後に1963年までは大学講師を務めながら作家活動を続けていた。経済小説を一ジャンルに格上げした先駆者のひとり。伝記小説、歴史小説も多い。
1957年に『輸出』で第4回文學界新人賞、1959年『総会屋錦城』で第40回直木賞、同年『落日燃ゆ』で吉川英治文学賞と毎日出版文化賞、1996年『もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界』で第44回菊池寛賞をそれぞれ受賞。2002年に朝日賞を授与される。
代表作としては上記作品に加え、二度テレビドラマ化された『官僚たちの夏』、妻との想い出を描いた遺稿のエッセイ『そうか、もう君はいないのか』、よくタイトルが人物評としても用いられる、『粗にして野だが卑ではない』が挙げられる。

忘れ得ぬ翼 (角川文庫)のその他の作品

忘れ得ぬ翼 (文春文庫) 文庫 忘れ得ぬ翼 (文春文庫) 城山三郎
忘れ得ぬ翼 (文春文庫) Kindle版 忘れ得ぬ翼 (文春文庫) 城山三郎

城山三郎の作品

ツイートする