感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ) (角川文庫 緑 314-1)

著者 : 田辺聖子
  • KADOKAWA (1972年1月発売)
3.19
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041314012

感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ) (角川文庫 緑 314-1)の感想・レビュー・書評

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  • 映画でありそう。共産党員の男を好きになるけど、フラれる話。最後が思い出せないー

  • 親父から譲り受けたシリーズ。1972年初版、労組闘争真っ盛りの作品の為、プロレタリアっぽさが色濃い。ダメ男ダメ女をこゆーい関西弁でドロドロ描いていて、しょっぱい煮物を食べてる感じ。何で親父はこれを読もうと思ったのか?親子の会話の話題になりそうだ。

  • 愛って―ほんとにあると思う?
     
    田辺聖子の文壇へのデビュー作ともいえる「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)」は、第五十回(一九六三年後半)の芥川賞作品である。第四十九回が河野多恵子の「蟹」であったから、大阪を代表する女流作家二人がこの年に芥川賞を受賞したことになる。
     この作品は田辺らが作った同人誌[航路」に発表された。素人っぽくて作品的にうまくないという人もいるが、私はこの青春小説が好きである。

    60年代のキャリアウーマンがヒロイン

     高度成長時代といわれた六十年代の前半、成長期の放送局が舞台である。二十二歳のぼく(ヒロシ)は、放送局が募集した懸賞ドラマに入選したのがキッカケで、同時入選した十五歳年上の森有以子と組んで仕事をする仲となる。
     さて物語は、数々の恋愛を経てきた有以子が、新しい恋人ができたとヒロシに電話をかけてくる所から始まる。仕事では男社会の中で結構うまく立ち回っている有以子だが恋愛となるとカラキシで、いつも男に捨てられている。今度の相手は「革命の鉄砲玉となって死ぬ」と自称する党員で、彼は世間で評判になっている外国映画でも、機関紙の[赤鳩」にけなしてあれば観ないという党に忠実な模範党員である。これは六十年の芥川賞作品である倉橋由美子の「パルタイ」の影響を受けたと思われ、六十年安保で指導性を問われた党員に対するパロディだろう。しかしこの作品のテーマは何といっても恋愛とそれに伴う結婚観だ。作者は三人の登場人物にそれぞれの結婚観を語らせている。
     まず、有以子の恋人ケイは党や組合やサークルの活動を通じ、反動勢力の欺瞞と圧政をはねかえし、社会を変革していけるような恋人(結婚相手)を選ぶべきだと考えている。有以子は仕事よりも恋が大切だと思っており、ケイが望めば手を汚して働く労働者になっても幸福だと感じる。
    ヒロシは、女房なんて持ち重りするから、できれば一生独身でいたいと強がりを言っているが、カギ付の日記をつけている根暗青年。その裏には肉体的ハンディがあるとほのめかしている。
     こんな二人の恋愛がうまくいくはずもなく、「今度こそホンモノ」と有以子が信じた朴訥なケイは、文化的な有以子を選ぶべきではないと、党員の恋人のところへ去ってゆく。
     「反動勢力のぎまんと圧政をはね返すためには、女をダマしてもいいの?」と、有以子は泣きながらヒロシに訴え、二人はともに一夜を過ごす。その翌日――。
    「有以子の道は東へ折れる。梅田新道でぼくは西へ曲がる。角のバスストップまでくると、彼女はふいに、あらたまった、という口調で僕の腕にそっと触れながらいった。「ねえ、ヒロシ・・・・愛ってなんなの? 愛ってほんとにある、と思う? あたしたち、人生のほんのささやかな部分、セクシャルな欲望や、美貌の嗜好や、共通の関心や、階級的利害や同類意識をもつこと、老後の打算なんかのことを、愛と錯覚していたのではないかしら あツ、それとも愛とはもともとそんなまもかしら? それとも、ほんとうの愛はそんなのじゃないけれど、現代ではそんなものが愛の王座をうばって取って代わったのかしら」

    いつか、愛の王国への出発を

     私はこの三人を通じて、田辺聖子の恋愛観が語られているように思う。当時、作者もまた三十五歳のキャリアウーマンであった。
    作品は次のような文章で終わっている。
     「ケイと有以子、有以子と僕の感傷的な旅行はそれぞれ終わったのであった。いつか、僕らがほんとうに旅に出ることがあるだろうか?ほんとうの旅は、なにかもっとケイの使う。“べき”のうえに、まだもっとうえに君臨しているものへの出発、そしてその愛の王国への旅程は、こんな風に空しく元の地点へ、ふたたび還ってくることはけっしてない

  • 表題作と,「とうちゃんと争議」だけ読んだ。前者は受賞作として有名だけど,今まで読んだことある田辺聖子と違う感じ。語り手が男だからかな。後者は題から分かるように語り手は女性で,読み慣れたおせいさんという感じ。どっちも"党"がでてきた。困ったものだが,感想とかは特に思い浮かばない。風邪を引くと,読書ができるなあ。解説は野坂昭如。

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