むかし・あけぼの 上 小説 枕草子 (角川文庫)

  • KADOKAWA (1986年6月11日発売)
3.88
  • (43)
  • (34)
  • (48)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 467
感想 : 29
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784041314166

作品紹介・あらすじ

美しいばかりでなく、朗らかで才能も豊か。希な女主人の定子中宮に仕えての宮中暮らしは、家にひきこもっていた清少納言の心を潤した。平成の才女の綴った随想『枕草子』を、現代語で物語る大長編小説。

みんなの感想まとめ

美しい宮中生活と清少納言の心の葛藤を描いた物語は、華麗さと重厚さを兼ね備えています。清少納言が定子中宮に仕える中で、彼女の才能や魅力が引き立てられ、周囲との交流が生き生きと描かれています。作品は、藤原...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • もう40年も前、田辺聖子先生の脂の乗り切った筆が描いた、清少納言の物語、久しぶりに読み返しました。『枕草子』のエピソードが、無数の宝石のようにキラキラとちりばめられた華麗な物語ですが、その枠は、一条天皇の御世の史実を踏まえた重い音色を響かせています。藤原家の熾烈な権力争い、疫病が蔓延する都の有り様も見逃しはしません。その中で、清少納言は、美しい、輝かしい、心ときめくことだけを「草子」に書き留めようとするのです。
    上巻は、道隆の死後、道長が関白に任ぜられた頃までが語られます。

  • 清少納言の生涯を描いた傑作。
    なめらかで自然な文章で、すっかり引き込まれました。

    歌人として評価されていた家系で、清原元輔の娘。
    本名は不明だけど、この作品では海松子(みるこ)。
    父親っ子で当時の女性としてはレベルの高い教育を受けていた。

    橘則光と結婚。
    この作品では、他の妻が産んだ子供を育てることになっています。
    (当時は複数の女性との関係は普通で、正妻は一番身分の高い女性になる)
    なさぬ仲の子を育てるのは史実ではなく、作者自身の経験に引き寄せたもののよう。
    ただ当時のことは正確な資料が残っていないので、絶対になかったとも言いきれないですね。

    10年則光に捧げたから、この後の10年は自分のために使いたいと宣言し、則光がそれを受け入れることに。
    田辺聖子さん自身は結婚前から作家だから、そんなにきっぱり分かれる人生ではなかったろうと思いますが、清少納言の場合は‥と思い巡らせたのでしょうか。

    武骨で風流を解さない夫とは合わない部分があったが、宮中に上がっても意外に縁は続くことになる。
    則光は何かと心にかけ、清少納言がほめられると嬉しかったと伝えに来るのだ。
    離婚したのではないのかとからかう周囲に、則光は兄妹のようなものなのだと答え、それが通るように。古い表現では妹背というと夫婦になるから、微妙なところ?

    宮中で中宮定子に女房として仕えることとなり、美しい盛りで教養があり朗らかな定子に魅了され、自身もお気に入りとなって楽しい生活を送ります。
    定子の実母は藤原家の正妻になるにしては身分は普通な受領階級の出だが、個人的に教養が名高かったため、気さくで知的なのは育ち方だったようだと。
    定子の一家を見守る描写、いわば敵方である道長の人物を冷静に認めるあたりも。
    とっさに機転が利く性格の清少納言は、貴族の男性とも丁々発止とやり取りがあり、恋愛もいくらかはあったよう。
    時には誤解されつつも、水を得た魚のようにいきいきと宮廷生活を泳いでいきます。

    はたして、後半は。
    定子の実家が没落し、道長の世になっていくので、辛そうですが‥?
    「枕草子」はそんな状況の定子を慰めたい気持ちもあって書き続けられたもの。
    主従のつながり、一途な思いは感動的でしょう。

  • 平安にハマるきっかけを作ってくれた本。”人間って、なんて愛おしいんだろう!生きることって、なんて面白いんだろう!”というのは田辺女史の人生観でもあるらしく、文章が生き生きしている。

  • 清少納言がすごく現代的で、とてもなじみやすい。紫式部日記にある人物像から高慢な人、というイメージが先行したけど、清少納言のおかれた状況をみると、とても革新的な人ではあったと考えられる。
    和歌のやりとりや、白楽天の詩の引用など、どうしても注釈無しでは難しいところを、さらっと地の文で清少納言に説明させるその書き方が鮮やか。

  • 今まで生きてきた中で感じてきたことがあるであろう、言葉にならない感情をうまく言葉に表し、読み手であるわたしに感動を与えてくれました。

    まるで目の前で起こっているかのような宮中の出来事の描写が本当に素晴らしいです。
    清少納言や彼女を取り巻く周りの存在がますます大好きになります。
    下巻も楽しみ。

  • 千年も昔の平安時代。
    上層階級の人々の豪奢な生活がありありと目の裏に浮かびます。
    機知に富み、繊細さもあわせ持つ清少納言の(というよりも田辺聖子さんの)豊かな感性。
    「ここに わたし います 生きて います
     はかなくも なつかしい 秋にのこる 汗の香
     ・・・・・・あなたは どこに おわしますか」
    一番心に残った言葉です。

  • 清少納言は殆ど知らなかったのだけれど、この小説によって大好きな古典人になった。なんと生き生きと描かれていることか!そして主人と女房との強い信頼関係も深く知ることが出来た。

  • 高校生の頃の愛読書の一つでした。清少納言がすごく生き生きと魅力的に描かれていて、1000年の時の隔たりがあっても、感性・感情が共通するものがあるんだということが驚きでした。源氏物語の恋愛の面倒くささのない、さっぱりしたところが、高校生の自分にフィットしていました。

  • これよく読みますね〜実になんども読む。細雪といい勝負

  • 一千年前のワーキングウーマン&エッセイスト・清少納言。彼女の生きていた王朝時代と現代は、感覚的にかなり近いのに驚きさえ感じます。コレを読めば、古文がもっともっと身近になること請け合い。

  • 古典「枕草子」を現代風な語り口に。どうやら田辺さんと清少納言は共通点が多くあるようで(よそ腹の子供を育てた事とか)田辺さんの一面も垣間見られる気がします。その感覚は、現代とちっとも違ってなくて、共感する部分が多くて驚きます。それから、藤原道隆(道長の兄)一家の栄華物語でもあります。同時に読みたい本→永井路子「この世をば」

  •  古典強化お薦め品その4。
     日本三大随筆に数えられる枕草子を、大胆にも小説として翻案。筆者である清少納言をこれほどまでに生き生きと魅力的に描ける作家もちょっといないのではないでしょうか。文字通りに1000年の時を越えて、
    「好きと嫌いをはっきり言える、自我の強いヤなおばさん。だけど自分の憧れであった定子中宮に対しては、純真に真心を捧げつくした」
     清少納言の生きざまが、欠点も長所も含めて鮮やかによみがえってきます。

  • 懐かしいです。
    何年ぶりに読んだのやら。
    清少納言が生き生きしています。
    こんな世界、いいなぁ~と思わせてくれる。

  • 『枕草子』を長編小説化したものだそう。
    『枕草子』自体を読んでいないので、
    どこまでが田辺聖子さんの解釈・創作なのかわからないけど、
    清少納言の考えていることは共感できたしとても面白かった。
    『枕草子』自体でも、清少納言がこのような考え方を
    述べているんだったら、こんなに時代を経ているのにすごいなって思う。

    小説の書き出しや、途中途中にわざわざおどけて口語で表現してみた、
    というような筆致が、好みではなかったけれども、
    それが気にならないほどに内容は充分読み応えがあった。

    清少納言は、自分の考えや好みなどに精神的な繋がりを、
    他人との間に見いだせた時、とても嬉しそうに輝いている。

  • (1998.05.20読了)(1998.04.02購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    美しいばかりでなく朗らかで怜悧、しかも文学的才能もゆたか、という類まれな女主人・定子中宮に仕えての宮中ぐらしは、今まで家にひきこもり、渇き喘いでいた清少納言の心をいっきに潤して余りあった。男も女も、粋も不粋も、典雅も俗悪も、そこにはすべてのものがあった。「心ときめきするもの」など、小さな身のまわりの品、事象を捉えて書きつけた『枕草子』。そこには、共に過ごし、話に興じた、細やかな情趣を解してくれた中宮への憧憬と敬慕、中宮をとりまく花やかな後宮の色と匂いと笑い声を、千年ののちまで伝えたいと願う清少納言の夢が息づいている―。平安の才女・清少納言の綴った随想を、千年を経て、今清少納言・田辺聖子が物語る、愛の大長編小説。

    ☆田辺聖子さんの本(既読)
    「甘い関係」田辺聖子著、文芸春秋、1975.02.
    ☆関連図書(既読)
    「桃尻語訳 枕草子(上)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1987.08.31
    「桃尻語訳 枕草子(中)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1988.12.20
    「桃尻語訳 枕草子(下)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1995.06.30

  • 久々に再読。やはり面白く、胸を打つ。
    細やかな感性を写しとると同時に、別れの物語でもある。実際の清少納言がどんな人物だったのか、そんなことは些細な問題で、作者の枕草子への愛が伝わってくる。
    (2013.2)

  • 1997年1月29日読了。

  • 巧みな文章で平安時代にトリップできました。

  • 枕草子は漫画版と桃尻語訳しか読んでない(我ながらどうかと思う)けどこれが一番性格悪い!政治、噂、性、見栄、意地、侮辱、虚栄、人間の嫌なところてんこ盛り!原作もこんななの?千年も前からこんなならうんざり。でもやはり田辺聖子は面白い!巧いですね〜。でももう落ちぶれてくだけなのは目に見えてるから下は読まないかな。

全24件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

昭和3年3月27日、大阪府に生まれる。昭和22年樟蔭女子専門学校国文科卒。小説家。直木賞選考委員。昭和39年「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)」で芥川賞を、62年「花衣ぬぐやまつわる…」で女流文学賞、平成5年「ひねくれ一茶」で吉川英治文学賞、6年菊池寛文学賞、7年紫綬褒章、10年「道頓堀の雨に別れて以来なり」で読売文学賞、14年キワニス大阪賞など、多数受賞。12年文化功労者となる。作風は巧みな大阪弁で夫婦あるいは男女の機微と生態を描くものが多い。近著に『武玉川・とくとく清水』(平14 岩波書店)『女のおっさん箴言集』(平15 PHP研究所)など。

「2004年 『久保田淳座談集 心あひの風 いま、古典を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田辺聖子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×