ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.45
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本棚登録 : 5126
感想 : 632
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041314180

作品紹介・あらすじ

足が悪いジョゼは車椅子がないと動けない。ほとんど外出したことのない、市松人形のようなジョゼと、大学を出たばかりの共棲みの管理人、恒夫。どこかあやうくて、不思議にエロティックな男女の関係を描く表題作「ジョゼと虎と魚たち」。他に、仕事をもったオトナの女を主人公にさまざまな愛と別れを描いて、素敵に胸おどる短篇、八篇を収録した珠玉の作品集。

感想・レビュー・書評

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  • R1.8.25 読了。

     以前どこかで見た同名映画のタイトルが気になっていて、ブックオフでこのタイトルを見つけて衝動買いしてしまった。
     表題作の「ジョゼと虎と魚たち」のジョゼは、生き方が不器用だが、可愛らしい女性だと思った。愛があれば障害も乗り越えていけるのかも。
     他の短編作品も離婚や不倫、元妻の家族と現在の妻との間を行き来する2重生活などのどちらかというと、人生の裏通りみたいな内容だったが、関西弁のせいか暗さやうしろめたさはあまり感じさせない印象だった。しかも短編の中には、熟女の艶めかしいエロチックな感じも漂っていて、尻がこそばゆくなるような場面も描かれていた。情事の直接的な描写は少なかったように思うのだが、書き手の素晴らしい文章力の賜物なのだろう。

    ・「1ばん怖いものを見たかったんや。好きな男の人が出来たときに。怖うてもすがれるから。」
    ・「いまの世の中は、人にバカにされまいという意識が、まるで社会という舟の竜骨のように、人々の心を硬張らせている。」

  • ジョゼという異国感、虎という猛獣、魚たちという幻想的な海の世界。タイトルにすごく引き付けられました。
    足の不自由なジョゼと恒夫の幻想的なラブストーリー。複雑で、重くなりそうな背景、こてこての関西弁、ジョゼの高飛車でとらえどころの難しい性格、それらが見事に調和してすいすいと読んでいけました。海のそこをたゆたうような不思議な読後感でした、

  •   映画を勧められたので、いつものようにまずは小説からと思い読んでみました。本書は短編集になっています。そしてその特徴としては、男女の恋愛がテーマになっている点です。
     その恋愛というのも、青春の甘酸っぱい恋というよりも、大人の少し生々しい乾きも混じった恋の形が主であったので、新鮮でした。
     特別な設定はなく、どの話も現実にありそう、もしくは自分も経験するのではないかというほどリアルな背景でした。それが故に登場人物が時折発言する名言には心が打たれました。

     総評として本書は大人のリアルで生々しい恋愛がテーマになっており、リアルな背景や登場人物の発言を楽しめる一冊になっています。

  • 表題作を含む9編を納めた短編集。
    どれも仕事を持つ自立した女性が主人公で、男たちは頼りないダメ男。
    ちょっと昭和っぽい、男女の日常が描かれている。でも古い感じはしないですよ。
    関西弁で綴られているのが、心地よい。

    直接的な描写がある訳ではないけど、どの作品も色気の漂う雰囲気で、オトナな感じ。
    自分は、こんな色気のある大人になれていない、と違う世界の話に感じつつ、でも心の中を見透かされてドキッとする。
    やはり私の中にも、この主人公たちは住んでいるのか?

    9編の中で「ジョゼと虎と魚たち」は、ちょっと異色かな、と思う。
    とても短い話だけどインパクトがあり、やっぱり一番好き。
    他は「うすうす知っていた」「それだけのこと」
    等が好みかな。

    • りまのさん
      aoi-soraさん、おはようございます!
      フォローにお返しいただいて、どうもありがとうございます♪aoi-soraさんのレビューを読んで、...
      aoi-soraさん、おはようございます!
      フォローにお返しいただいて、どうもありがとうございます♪aoi-soraさんのレビューを読んで、この本を、読みたくなりました(^^)
      aoi-soraさん、すごくかわいい アイコンですね!いいね いただいて、かわいいアイコンが付けられて、嬉しかったです ♡
      良い週末をお過ごしくださいね♪
      2022/02/26
    • aoi-soraさん
      りまのさん、はじめまして!
      こちらこそ、沢山のいいね&フォローをありがとうございます^_^
      本棚拝見しました。
      小説だけでなく、絵本や...
      りまのさん、はじめまして!
      こちらこそ、沢山のいいね&フォローをありがとうございます^_^
      本棚拝見しました。
      小説だけでなく、絵本や漫画、CDなど、守備範囲が広くて、楽しい本棚ですね。
      読んでみたい作品が沢山ありました。
      どうぞ宜しくお願いします♡
      2022/02/26
  • 男と女は面白い。
    別々でいるよりも、男と女の掛け合わせ方が絶妙で、一層可笑しくしてくれる。
    田辺聖子さんの手にかかれば、どんなに平凡な男女も俄然面白くなる。
    そして田辺さんの関西弁はふんわり優しくて好き。
    特に『恋の棺』『いけどられて』そして表題作が良かった。

    田辺さんがお亡くなりになられたので哀悼の意を表して。
    田辺さんと言えばこれ、という位有名な短編集。

    不機嫌というのは、男と女が共に棲んでいる場合、ひとつっきりしかない椅子なのよ…どっちか先にそこへ坐ってしまったら、あとは立っていなければならない椅子とり遊び。自分が坐っちゃいけないのよ。

    解説の山田詠美さんも仰っていたけれど、田辺さんの描く女性達は人生をいつくしむ才能に恵まれている。
    そして山田さんのように私も人生のいつくしみ方を田辺さんの小説を通して教えてもらいたいけれど、どうやら私はまだその域には達してはいないようだ。
    まだまだ人生の修行が足りないことを実感した。

    • yhyby940さん
      映画も、なかなかよかったですよ。妻夫木聡さん、池脇千鶴さんが素敵です。
      映画も、なかなかよかったですよ。妻夫木聡さん、池脇千鶴さんが素敵です。
      2020/07/19
    • mofuさん
      yhyby940さん、またまたありがとうございます。
      妻夫木さんと池脇さんなら素敵な映画になりそうですね。
      私もいつか観てみたいと思います。...
      yhyby940さん、またまたありがとうございます。
      妻夫木さんと池脇さんなら素敵な映画になりそうですね。
      私もいつか観てみたいと思います。
      本棚のフォローもありがとうございました(*^^*)
      2020/07/19
  • 初めての田辺聖子さん。
    こんなに読みやすい感じだったんだ。
    結婚や男女の仲や別れや…こだわる女性もいれば こだわらない女性もいる。それぞれの恋愛観や人生観を持った主人公の女性と、彼女たちにあった風景、空気感がまったりあっていて、これが田辺聖子さんの世界なのかなぁと思った。
    また読んでみよう。

  • 表題作がすき。
    それまで世間から隠されるように、ひとりで生きてきたジョゼ。当然現れた恒夫によって世界が広がったのだろう。ジョゼにはそのまま明るい場所で生きてほしい、幸せが奪われないでほしい…と読みながら願ってしまったが、ジョゼは「完全無欠な幸せは、死そのもの」という。口には出さないけれど、別れを予感しているのかもしれない。切ないけど、ジョゼの強さに心を打たれました。
    映画もまた別物としてよかった。

  • 「ジョゼと虎と魚たち/田辺聖子」
    ☆☆☆
    恋愛短編集。
    250頁程の中に9つの恋愛小説。
    表題の「ジョゼと〜」は映画にもなっているので、ご存じの方も多いと思います。

    ・昔の男が訪ねてきた理由…お茶が熱くて飲めません
    ・妹の婚約者が家に遊びに来るという…うすうす知ってた
    ・私によく懐いている異母姉の息子…恋の棺
    ・人妻である私とチキと堀さん…それだけのこと
    ・夫の実家には義母と3人と子どもたちと元嫁が住んでいる…荷造りはもうすませて
    ・浮気して離婚することになった夫が出て行く…いけどられて
    ・ジョゼは考える「幸福は死んだモン」…ジョゼと虎と魚たち
    ・別荘で来ない恋人を待ち続ける…男たちはマフィンが嫌い
    ・静かで薄暗い京都のお料理屋さんでの逢瀬…雪が降るまで

    女性視点の多種多様な恋の形。
    どれひとつとして身近に感じることがないというのは、つまらないのでははなく、ここではない場所に私の物語も存在すると言うこと。
    だから、ここには他人の恋をそっと覗き見しているような、エロティックさが潜んでいる。
    馴染みない関西弁がいっそうそう感じさせはるよかも知れまへんなぁ。

    今年の22冊目

  • 田辺聖子さんの恋愛短編はなんともいえぬ包容力があると思います。こんな優柔不断な男、こっちから願い下げでしょ?と読んでいてついイラッと来るような場面でも、そう簡単に割り切れない理由を「まぁ、まぁ」と取り成してそっと優しくかばってくれるような感じ。責めたりバカにしたりしない。上手くいかなかった恋や、不安定な恋の話なのに何故か温もりを感じてしまうのです。
    表題の「ジョゼと虎と魚たち」は今度アニメ映画になるということなので、ぜひ見たいと思いました。この本の中でも一番詩的で、余韻の残るお話しでした。

  • 男女間のやりとりが生々しい。
    終わることまで想定しているからこそ、一時の関係を楽しめるのかな。
    客観的に自分を見ているけれど、自分を変えようとしないのが、大人だなと思いました。
    恋愛のはじまりから終わりまで、きちんと見えてたら、男女間のやりとりも、技巧が効いたものになるんだろうか。
    恋愛の仕方が手馴れてるかんじで、わたしには遠い世界。でも、年を重ねてこの小説を読みなおして「わかるわー」って思うのかな。

    映画になった表題作は、映画とはほとんど別モノ。だけど、映画を補完できる描写も。

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著者プロフィール

田辺聖子

一九二八年、大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。六三年、『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で芥川賞を受賞、八八年、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』で女流文学賞、九三年、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、九四年、菊池寛賞を受賞。九八年、『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞と読売文学賞を受賞。二〇〇八年、文化勲章受章。大阪弁で軽妙に綴る現代小説の他に、古典文学の紹介、評伝小説など、著書多数。一九年六月死去。

「2020年 『大阪弁おもしろ草子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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