ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041314180

感想・レビュー・書評

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  • 先日逝去された田辺聖子さんの代
    表作といえば、この作品。愛の終
    わりを感じとりながらも今の幸福
    を最高のものとしている。儚くも
    潔く強さがある。その他、関西弁
    で描かれる世界は濃くも爽やかで
    、女性の強さを感じる短編集。

  • 著者がなくなったので10年ぶりくらいに再読。
    この人のべちゃっとした大阪弁がどうも苦手なんだけど、梅雨のべちゃっとした時期に読むには良いのかも。

  • 「うすうす知ってた」が私すぎて恥ずかしい。
    身悶えするほどに。

  • 僕はこのお話、映画が先でした。
    2003年の日本映画。池脇千鶴さんと妻夫木聡さん。特に池脇千鶴さんは一世一代の(というとまだまだ活躍中なのに失礼ですが)当たり役、ハマリ役、凄味まで感じる存在感でした。犬童一心さん監督作品。実はこの監督さんは、じ「ジョゼ」以外、不勉強で知りません…。
    映画が素敵なだな、と思ったら「原作 田辺聖子」。
    1984年に発表された短編だそうです。
    「ジョゼと虎と魚たち」
    正直に言うと、田辺聖子さんというと、やたらとエッセイ集ばかりが目についてしまって。
    オバサン~オバアサンご用達の雑文屋さん、「かつてちょこっと小説家だった」というタイプかな、と勝手に偏見を持っていました。
    その後、たまたまな「言い寄る」という小説を読んで。
    軽めの風俗小説なんだけど、実にオモシロイ。軽いと思わせてぞっとさせる。
    関西弁で、ちょこっと明るいけれど、向田邦子さん真っ青な味わいと切れ味。
    という訳で短編集「ジョゼと虎と魚たち」
    ・お茶が熱くてのめません
    ・うすうす知ってた
    ・恋の棺
    ・それだけのこと
    ・荷造りはもうすませて
    ・いけどられて
    ・ジョゼと虎と魚たち
    ・男たちはマフィンが嫌い
    ・雪の降るまで
    ほとんどが、1980年代なんだろうなあ、と思われます。
    景気は悪くない。女も仕事がある(一部の人だろうけど)。だいたいが、服飾関係の働く女性。だらしないけど憎めない年下の男性。離婚。
    なんというか…夫婦善哉、現代版、男の身勝手、女の感じ方。
    敢えて、一篇一篇備忘録を付けるのも野暮な気もしますので割愛しますが、どれもぞくっと面白い中で、
    ●40代で事務職で独身で地味だけど実は資産があって自立しててエロい女性のお話。
    なんていうのは、ちょっと変わり種でより印象に残りました。
    それから。
    何と言っても、「ジョゼ」ですね。
    この短編集の中でも、ひときわ、異彩。孤立しています。孤高です。
    映画も素晴らしいけど、やっぱり原作も凄かったですね。
    なんだかもう、「火垂るの墓」を読んでいるようなグサグサした突き刺され方と、関西弁のスピード感に包み込むどうしようもないユーモア。
    そして突き抜ける、ジョゼという女性のキャラクターの水が撥ねるような魅力。
    つまりは、生活レベル最底辺の障害者の女に、情夫が出来た。
    それだけのことなんです。
    それだけのことで、こんなに涙ナミダで笑えて痛くて、あっという間に読み終わる。
    でも誰がこれを笑えよう。誰がこれを哀れむ資格があるものか。
    たまりませんね。
    田辺聖子さん、実はモノスゴい金脈だなあ、と。
    楽しみです。
    (関西暮しを終えて、どうにも関西弁がなつかしい、というのもありますが)

  • これもプレミアムカバーで購入。田辺せんせい初めて読んだ!関西弁がなかなか馴染めなかったけど、表現が品良く豊か。今でいう江國さんとかに求める恋愛小説を、もうすこし前の女性読者は田辺せんせいに求めたのかなあ?文学的なことには明るくないので単なるイメージなのですが。
    表題作がすきです。あとは「雪の降るまで」かなあ。なんだかほんとにただ浮かんだだけなんだけど、どっちも谷崎潤一郎を思い出すんだけどたぶん関西だからだよなー。でもジョゼは現代版の、ちょっとマイルドになった春琴ぽいなあとか。

  • 言うなれば“オンナの短編集”
    とにかく文章が美しかった。
    最近読んだ小説のなかでは、気になる言葉&調べたい言葉の宝庫で。
    多用される関西弁、上品でエロティックなオンナたち。 内容は全然いやらしくないのに、そこはかとなく上品な色気が漂うのは、田辺さんが描くオンナたちの“ドライで男を解り尽くしてる感”のせいなのか。

    表題作は映画を何度か観てるけど、原作はこういうラストなんだ、と。映画とは少し違う。
    映画の残酷なラスト、現実なんてこんなものよね、って思えてすごく好きだけど、小説の終わり方もまた余韻があって良いと思った。

    読んだだけでなんとなく良い女になれたような気がする短編集。
    恋愛に大事なのは“間”ってことを教えてくれるような。

    (最近出たプレミアムカバーコレクションの装丁がとても素敵で、私はそれを購入しました)

  • 私がここにいる存在意義は理解しているし間違っていないと思う。
    でも時々苦しくなる 溺れそうな位に。
    けれどまだ溺れさせてもらえそうにない。
    まだ人生を泳ぎ続けろ、この本にまるでそう励まされているようだ。

  • 大好きな映画なので、原作を読んでみたいと前々から思っていたんだけど、原作はとても短い話だったのね。
    この短篇であの映画を作り上げてしまうとは。

    でもこの原作だけでも十分素敵。(表題作以外も)
    田辺聖子すごいな、って思う部分が多々ありました。
    例えば、
    「そしてジョゼは幸福を考えるとき、それは死と同義語に思える。完全無欠な幸福は、死そのものだった。」
    とかね。

  • 短編集の表題作になってるジョゼと虎の映画が何度見てもすごいので、原作をぱらぱら読んだことはあったのだけど、映画ほどの印象は残らなかった。
    が、先日一緒に映画を見た友人から、原作のほうが映画よりさわやかで何度も読み返したい、と言ってたのをきいて、記憶を確かめようと今度は丁寧に再読。
    意外にちゃんと頭に入ってなかった事がわかった。
    ここに出てくるジョゼもやっぱり映画のジョゼと同じく、強かった。
    他に収録されている作品も全部読んでみたけど、みんな自分の気持ちに芯のある、つよい主人公たちばかりで、ある種の突き抜けた感があるというか、確かに読後感は爽快や。

    なのに、全編に漂う雰囲気は、エロいっつーか、なんかやらしい。
    田辺聖子さんの作品、初めて読みましたが、爽やかなのにやらしいっていうところがすごいなあ。

  • 映画では☆2をつけたのですが、
    この原作の20ページ足らずの短編の方が感動した。

    そうゆうニュアンスだったのかと、この小説で知り、
    映画をもう1度観たくなるような内容だった。

    他の短編も女心の微妙なニュアンスが上手く表現されていた。
    つかみどころの無いのだが、ギュッと掴んでくるような不思議な読了感を味わえた。

    作中名言
    「完全無欠な幸福は死そのものだった。」

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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