不機嫌な恋人 (角川文庫)

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感想 : 5
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041314210

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ面白かった。

    片思いが多すぎて切ない〜。
    相手を思う気持ちよりも自分を思う気持ちの方が大きくなりがちだから、本当に好きな人とは結ばれにくい。
    恋が終わったときに初めて本当に相手のことを想うことが出来るから、終わった恋を愛おしく感じるんだな〜って思う。
    恋をしているときはみんな利己的で、片思いの無い恋なんて無い。
    所在なさを恋で埋めることの寂しさ。
    論理で片付けられない恋愛を楽しんだり振り回されてイライラする登場人物たちの姿がおかしかった。

    身分の差によって、恋の報われなさにもしっかり差が出ているの苦しい。
    浅芽の決断痺れた。

    チャーミングな小侍従も、艶麗な七条夫人も素敵、登場人物の女性がもれなく全員魅力的だった。
    湿っぽい雰囲気が良い〜。
    清経と多猫が幸せなら( ᴖ ·̫ ᴖ )

  • 電子書籍にて再読。随分前に読んだはずなのに全く覚えていなかった不思議。読んでみてあーこうだったかと朧げながら記憶にあるという感じですが、やはり切ないお話でした。多分若い頃はもっとさらっと読んでいたと思う。切ないながらも主人公の二人はあるべき場所に落ち着きラストは軽やかに終わります。でも色々な想いを考えると尾をひくお話でした。

  • 少将、小待従、大納言夫人そして知兼の王朝恋愛劇。はじめは少将、小待従の恋愛がゆるゆると描かれ、小待従の愛はおしみなく少将にそそがれる。手練手管を使って相手を惚れさせていようと試み揺るぎがないが、その奥にはいつか終わりがくることを予知しながらで、切ない。不安は現実のものとなって少将は大納言夫人に心惹かれてしまう。しかし大納言夫人にはもう心に決めた人がいて、いくら口説いてもなびかない。そこには少将の側近、知兼の存在があった。それぞれの恋はすれ違い、終わりの予感を感じながら、そこに向かってのベクトルなので、叶わぬ恋となって悲しい。

  • 時代は架空の王朝。主役の小侍従は帝付きの女房で宮廷きっての美女。現在の恋人は二条の少将という年下のプレイボーイ。この少将がやがてなぞめいた未亡人に真実の恋をし、と現代ドラマの恋愛物めいた展開。人間の感情が様々に入り組んだ複雑で悲しい作品ですが、田辺聖子らしい文体がさわやかな印象を残します。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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