おちくぼ姫 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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感想 : 228
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041314234

作品紹介・あらすじ

貴族のお姫さまなのに意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられている、おちくぼ姫と青年貴公子のラブ・ストーリー。千年も昔の日本で書かれた、王朝版シンデレラ物語。

感想・レビュー・書評

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  • 1000年前に書かれた日本のシンデレラ・ストーリー。

    皇族の血をひく高貴な生まれの美しい姫でありながら、継母に虐げられ、畳のおちくぼんだ貧相な部屋で、裁縫をさせられており、落窪の姫と呼ばれている。父親の中納言は庇いもせず、むしろ北の方の味方をして暴言を吐くことも。
    唯一の味方は女房の阿漕。彼女から落窪の姫の境遇と美しさを聞いた夫の帯刀が、右近の少将に話をしたところ、興味を持った少将が帯刀と阿漕を通して姫に熱心に文を送るようになる。

    昔読んだとこがあったのだけど、『わたしの幸せな結婚』にはまった後、もう一度読み直してみたくて田辺聖子訳を。
    ただこちらは現代語訳というより、大まかなあらすじはそのままに、田辺さんがけっこう大胆にアレンジしている。
    平安時代の婚姻事情や文化や習俗なども文章の中で説明が加えられているので、背景を知らなくても読みやすい。
    中学生くらいから楽しく読めるのではないだろうか。

    学生時代に読んだときは、儚げで心優しい落窪の姫を継母のいじめから救い出す貴公子の少将がとってもかっこよく思えたもの。
    でも、改めて読むと、少将より誰より、かっこいいのは女房の阿漕だった!(田辺さんの書き方にも影響されてるのかな?笑)
    少将は基本、自分の地位と財力をたのみにしているのだけど、阿漕にあるのはその機転と行動力と一途な忠誠心と、己の才覚のみ。

    姫のことに常に心を配り、遊びじゃない一途な男を探そうとし、
    少将の通うようになった部屋を綺麗に整え、新婚の朝のお祝いを手配し、
    物置に閉じ込められてじいさんと結婚させられそうになった姫を何とか守ろうとし、
    そしてついには姫を中納言の屋敷から連れ出すところまで、
    落窪の姫の幸せのために奔走し、まさに八面六臂の活躍をするのです。
    少将は帯刀と阿漕に頼りまくりで、中盤まで阿漕なしにはストーリーは動かない。阿漕を主人公にした、姫の脱出ゲームとか作ったらたぶん面白いと思う(笑)

    落窪の姫はおっとりと心優しく、タダの裁縫女としてこき使っていた継母を恨むでもなく、少将の仕返しにも喜ばないようなこれぞ「ザ、姫」。
    他方、阿漕は、少将に初めて忍び込ませてしまったとき、知らないうちに勝手なことをと怒り、みずぼらしい姿を見られた姫の気持ちを慮って泣き、姫が少将に大切に想われていると知ってとても喜び、喜怒哀楽の感情の豊かな人。
    この二人の対比がまたいいのかな。

    そうそう、昔は少将の仕返しにスカッとしていたものだけど、ここも改めて読むと、ちょっとヤンチャが過ぎるというか、特にまだ恋も知らない初心な四の君に対する仕打ちはどうかと思うよね…。田辺さんも現代では受け入れられないと思ったのかだいぶ改変していたような。
    意地悪で陰険な北の方にはいくらでもすればいいと思うけども(←)

    最後は大円団、やっぱりハッピーエンドが一番!だからこそ長く長く読み継がれてきたのだろうなぁ。

    ★3.5

  • なんだかんだで読む機会がなかったのですが、やっと。

    本文は古典をものすごく読みやすく落とし込んであって、本当に寓話のように仕立ててあります。
    不遇の状態にあるお姫様「おちくぼ姫」に健気に仕える阿漕が本当にいいキャラクターで、こっちが主役かなと思えるくらい。

    右近の少将とおちくぼ姫、帯刀と阿漕、少将の従弟と四の姫。
    試練に遭いながらも愛を貫くカップルの姿を、どたばた劇を交えながらコミカルに・・というのが、シェイクスピア喜劇に似ているな、とふと思いました。
    『から騒ぎ』とか、似ているのでは。
    (脇役のほうがいいキャラなところも含めて笑)

    グリム童話のようにきれいにまとまっていて、わかりやすく、読みやすく、なのに世界観には広がりがあって。
    楽しい作品でした。

  • 王朝版シンデレラだそうで
    確かに継母にめっちゃイジメられる〜。

    遊び人の貴公子が不幸な境遇の姫君に惚れて
    一途になるのはド定番って感じですが
    姫君のお付き女房と貴公子の従者の青年が
    ふたりを結びつけるべく奮闘するのは
    なかなかおもしろかったです。
    この女房の阿漕が、私好みの娘で♪
    継母相手にも策を弄したりして大活躍。

    あとがきによると、おせいさん
    かなり脚色したらしいですが
    古典を手に取りやすくしてくれて
    ありがたいことです。

  • すごく読みやすい本。
    田辺聖子の翻訳で読むと古典も身近に感じる。
    千年昔の人々の暮らしぶりも興味が持てる。

  • 素直におもしろかった!
    1000年前の物語とはいえ、人間なんてのは早々変わらないのだなあ。

    変に外連味などなく、ハラハラドキドキの展開もありつつ、ご都合主義のように救いの手が現れる。
    勧善懲悪というほど悪を懲らしめすぎないところも、良き。

    ひどいことをされても恨むことなく、おっとりと善意だけで生きてきた姫君。
    そりゃあ辛いことも心細いこともたくさんある。
    何しろ継母にいじめられ、実の父の興味は薄すぎて見えないのだから。

    だからこそ、乳兄弟の阿漕(あこぎ)の八面六臂の活躍が頼もしい。
    長靴をはいた猫のように先を見据え、姫のために奔走する。
    これも、阿漕自身が日ごろから気働きがよくできるため、周りの人たちが協力してくれるからだ。

    姫を救い出し、重婚当たり前のその時代に、ただ一人の妻として姫を愛する少将が、結婚後継母にいろいろ仕返しする様が面白い。
    姫は全然恨んでいないのに、夫の方は恨みを忘れていないのだ。
    そして継母の方は身に覚えのない嫌がらせを少々から受け、怒りのあまりやり返そうとしてはもっとひどい目に遭う。

    ごてごてしくない簡潔な描写で、ポンポンとテンポよく進むさまは、さながら1000年前のライトノベルでしょうか。
    グリム童話みたいに残酷でないところも読みやすくていい。

  • 原文で通しで読んだことはまだないですが、ところどころ読んだ記憶のあるところがあって、答え合わせをしている感覚でした。

    田辺さんの作品はまだ読んだことなく、これが初めてですが、源氏物語の方の描き方もこんな感じなのかなあ、だとしたら親しみやすくて読みやすそうです。

    古典的な常識部分はすごくわかりやすく解説されながら進んでいくので、古典が苦手な方でもその世界を堪能できる描き方だったと思います。

    1000年以上前は一夫多妻多妾でしたが、女性たち
    が皆それを心底容認していたわけではないのがわかります。ただ1人に愛し愛されたい、そんな女性の夢が詰まった古典作品を、軽く読みやすくまとめてくださいました。しかも美味しいとこどり!

    源氏物語とかを読んでみたい、けど読むのに骨を折そうでなかなか手を出せないという人には良いのではないかと思います。

  • ベタな恋愛のお話。昔も今も恋愛は同じですね。
    やられたらやり返してたら相手と同レベルになり自分の価値を下げる。一切愚痴を言わず、最後には過去のことを水に流して受け入れる心の広さを見習いたい。

  • 平安時代に書かれた古典文学「落窪物語」の、田辺聖子さんによる現代語訳版。原作のシンプルな話の展開と田辺さんの軽い語り口で、カラッと明るく、読んでいて面白い。「日本にもシンデレラ物語がありました、それが落窪物語です」とシンデレラと比較されているが、粗筋はまさにそんな感じ。つまり、継子虐めとそこからの脱出、復讐。
    結末では継母がなんとなく憎めない人物として描かれ、落窪姫が過去に受けた仕打ちを許したこともあり結局は和解するのだが、自分にはやや唐突に感じた。右近の少将による嫌がらせはあったが、これでおあいこという感じで最後は丸く収めてしまうのが、日本らしい?(グリム童話のシンデレラなら、継母は鳥に眼を潰されてしまうところなので)

  • 日本版シンデレラストーリー。昔の結婚の作法が分かりやすく解説してあり、非常に読みやすい。

  • 眠れないので読んだ。少女漫画的な快感。
    全4巻のうち、三巻のはじめまでしか訳(?)されていないとのこと。まぁここで終わりでいいよねぇ。味付けがしてあるということなので、原文で読むとまた、まったく違う印象を受けるのかもしれない。
    私の好きなエピソードは「資親の純情」なんだけど、資親の性格は改変版オリジナルなのかぁ。残念!。今付き合っている彼氏とちょっと重なって(失礼かもしれない)、ドキドキしてしまいました。

    主人公のおちくぼ姫は、高貴な生まれにもかかわらず、意地悪な継母に、粗末な部屋を与えられて、お針子のような生活をさせられている。
    姫の女房であった阿漕は、そんな姫を可哀想だと嘆いている。阿漕の夫である帯刀は、少将に仕えている。顔も良く、位も高く、性格もよい、プレイボーイ。
    少将とおちくぼ姫は結ばれて、(阿漕の甲斐甲斐しい世話がまた、すごく良い!)なんと駆け落ちまでして、子供も産まれ、少将が継母に復讐するところで終わる。
    一夫多妻制が普通だった社会で、少将も、それから帯刀も、一人の妻しかめとらない。そしてすごく愛し合ってる。

    すごく少女漫画っぽくて、キラキラしていて、ロマンチック!眠れなくなってしまった。笑

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著者プロフィール

田辺聖子

一九二八年、大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。六三年、『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で芥川賞を受賞、八八年、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』で女流文学賞、九三年、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、九四年、菊池寛賞を受賞。九八年、『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞と読売文学賞を受賞。二〇〇八年、文化勲章受章。大阪弁で軽妙に綴る現代小説の他に、古典文学の紹介、評伝小説など、著書多数。一九年六月死去。

「2020年 『大阪弁おもしろ草子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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