おちくぼ姫 (角川文庫)

  • 角川書店 (1990年4月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784041314234

作品紹介・あらすじ

貴族のお姫さまなのに意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられている、おちくぼ姫と青年貴公子のラブ・ストーリー。千年も昔の日本で書かれた、王朝版シンデレラ物語。

みんなの感想まとめ

意地悪な継母に育てられ、厳しい境遇に置かれたお姫様が、愛と友情の力で幸せを掴む物語です。千年も前の平安時代を舞台にしたこの作品は、日本版シンデレラとして知られ、田辺聖子の手によって現代風にアレンジされ...

感想・レビュー・書評

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  • 1945年、大阪空襲に焼け出された田辺聖子は樟蔭女専で18歳の学徒だった。いまだ何も持ってはいないけど、ほとばしる才気隠れようもなく(cf.「田辺聖子18歳の日の記録」)、古典の教養は凄かったと確認している。

    本書は、日本版シンデレラと呼ばれる「落窪物語」を田辺聖子が脚色したものです。原作を採長補短、楽しいものにしています。大河ドラマのお陰で平安女子の生活もイメージし易くなっているけど、1979年段階でここまでエンタメに寄りかかり表現出来る人は少なかったのではないでしょうか。

    本筋は、継母に虐められていたお姫様が落ち窪んだ部屋に閉じ込められて針子扱いさせられていたが、姫の女房・阿漕と右近の少将の従者・帯刀の助けを借りて、見事結婚するというお話です。シンデレラと言われる所以です。

    古今東西、虐めに遭っている女の子は、王子様が救いに来てくださるのを夢見るものなんですね。女の子は美人で決して欲深く無く、優しいけど、自分を主張できない。男はハンサムで冒険心に富んでいるけど、隠された部屋にある宝物は見つけたら一生をかけて手にしたいし、大事にする。2人にとって、困難はあればあるほど良い。

    田辺聖子は、そういう普遍的な面も評価するけど、「少将は、その頃の男性には珍しく、姫君ひとりに純愛を一生捧げ」ているところが、一千年間世の女性読者に支持されているところだと喝破します。同時に中流男女の阿漕と帯刀の活躍も珍しいと評します(「おわりに」)。うーむ、確かに。

    継母は、姫に恋人が出来たと聞いて、老人で助平な典薬に姫をやると約束してしまいます。阿漕は姫が犯されないように知恵を絞って妨害します。老人に出した代書手紙に〈枯れ果てて今は限りの老木には、いつかうれしき花は咲くべき〉と書きます。当時の常識人が読めば(おまえさんなんかに花が咲くもんか)という意味らしいのですが、典薬も、「私も」、「おゝ花が咲くのを期待してくれるのか」と解釈してしまいました。老人男は、若い女の子からこんな返事もらったら、昔からそう思うものなのではないかしら。

    1990年、文庫化されてからなんと32年間で60刷されています。2023年本屋大賞発掘部門。積読解消。

  • 『おちくぼ姫』ってどんなお姫様だろうと
    タイトルに惹かれて読んでみた。
    購入したあとに気付いたのだけど『落窪物語』
    という千年も昔の小説で『枕草子』や『源氏物語』と同じ平安文学。
    平安文学というと難しくてちょっと敷居が高い感じがするのだけど、本書はそんな事全然ないんです。むしろ読みやすくて面白味のある物語です。
    それもそのはず、著者が親しみやすいように現代風に訳し一番美味しくてジューシーなところを凝縮しているからテンポも文体もとっても良い。

     簡単に言うと意地悪な継母のいじめから、
    おちくぼ姫が幸せを勝ち取るという日本版シンデレラストーリー仕立て。
    この継母「北の方」のおちくぼ姫に対する仕打ちがとにかく酷い。最初から最後まで腹が立って、腹が立ってしょうがない。
    日増しに酷くなるいじめに姫と少将の仲を引き裂かれやしないかとハラハラしたり、二人の手紙のやり取りや恋の行方にドキドキワクワクしたりと、どんどん引き込まれてしまう。
    おちくぼ姫の侍女阿漕の活躍も素晴らしい。
    常に姫君のことを考えあの手この手で窮地を乗り越え姫君と少将の恋の手助けをしていく。
    現代のキャリアウーマンみたいで格好良い。。

    当時の人達の凄いなと思ったのが、手紙に歌を書く事。
    その歌次第で、その女性の心を掴めるどうかかかっているのに即興で直ぐ歌が浮かんで書けるのが素晴らしい。語彙力や感性に乏しい自分だったら何日かかることやら。
    そんな当時の生活の様子や習慣、行事などもさりげなく解説付きで描かれているのでわかりやすい。

    千年も前から読み継がれていた日本のシンデレラ姫。古典の入門書にはピッタリではないでしょうか。

  • 今から千年も昔、平安朝時代の日本にあった『落窪物語』というお話を現代語に訳された、田辺流シンデレラ物語です。
    みすぼらしい部屋で、つぎはぎだらけの着物を着て、せっせと縫い物をしている若い美しい娘。
    その娘は、床が一段落ちくぼんでいるところに住んでいるので、「おちくぼの君」と呼ばれていました。

    物語の中で、この時代の結婚形式をわかりやすく説明してくれているので、古典初心者にも安心して読めます。

    意地悪な継母の目を盗んで、姫君と少将との恋を応援するお付きの人たちの活躍ぶりが、はらはらどきどきで時にはドタバタで、登場人物たちがみな生き生きと魅力的で、平安時代の恋物語が、想像以上にロマンティックで、ほんとうに面白かったです。

  • 正直に言えば人気てぬぐい店「かまわぬ」とのコラボ和柄Specialカバーというだけで積読となっていた一冊です(かまわぬコラボを集めてみようと思った時期がありました)。

    無知故に本書の存在すら知りませんでしたが、いやぁ〜これが面白い。

    本書を含め、3冊同時に読み始めましたが、本書を真っ先に読み終えた事実。

    原文は平安時代に書かれた「落窪物語」、読みやすくする為に現代語訳されたのが本書「おちくぼ姫」。

    千年間語り継がれてきた日本版の「シンデレラ」物語。



    説明
    内容紹介
    貴族のお姫さまなのに意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられている、おちくぼ姫と青年貴公子のラブ・ストーリー。千年も昔の日本で書かれた、王朝版シンデレラ物語。
    内容(「BOOK」データベースより)
    貴族のお姫さまではあっても、意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられ、床が一段低く落ちくぼんだ部屋にひとりぼっちで暮らしている姫君―といえば“シンデレラ姫”を思い浮かべることでしょう。姫君と青年貴公子のラブ・ストーリーでもある「おちくぼ姫」は千年も昔に書かれた王朝版「シンデレラ物語」です。若い読者のために現代語訳された、とびきり面白い物語を楽しんで下さい。

  • とっても読みやすくて面白かったです。
    ハッピーエンドになることが分かっているからか、安心して読めました。
    まあとにかく少将さまが素敵なんですけど、結構この人執念深いというか、ねちっこいというか(笑)そのおかげでスカッとするし、読みながら「少将!もっとやったれ!」って激を飛ばしていました。

    虐げられている姫君のお付である阿漕がパワフルで頼もしいし、そんな阿漕に尻に敷かれている帯刀もいい味出しているしで、姫君は可哀想な境遇だけどどこか面白みを感じる、そんなお話でした。

  • 平安時代に書かれた「落窪物語」を田辺聖子が現代風にアレンジして訳したもの。
    そんな昔ににシンデレラのような物語があったなんて。。。
    ある程度の脚色はあるにせよ、ステレオタイプの継母とおもしろキャラクターがいて、エンタメ性抜群でした。

  • 正に和製『シンデレラ』
    千年前にトレンディードラマがあったら、こんな感じなのかな(笑)
    悪役も良い役も脇役も、現代のドラマや小説の見本になるようなキャラばかり。
    古典も読みやすくなるとこんなに面白いんだ!

  • 日本版、シンデレラ物語。田辺聖子さんが、落窪物語の中で、特に、面白い部分を抜き取って、わかりやすく物語に仕上げています。

    なんといっても、不幸なお姫様の侍女、阿漕の活躍につきると思います。とても賢く立ち回る姿に、ほれぼれしました。

    会話が多く、短いお話なので、すぐに読めます。お話の途中でも、平安時代のしきたりや、風俗などをわかりやすく、ストーリーの邪魔にならないように説明されているので、それが、とても良かったです。

    不幸なお姫様が、周りの人達の協力で、幸せになっていく。話のあらすじが、あらかじめ、わかっているので、安心して読めます。

  • 田辺聖子さんの最初の語りに惹かれて購入。
    古典文学の類のものを自ら手に取ったのは初めてだったけれど、「若い読者のために現代語訳」されているので、とても読みやすかった。テンポ感やコミカルな流れに引き込まれ、と同時に昔の人々の今とは違う習慣も垣間見れて凄く面白い作品だった。次は原典も読んでみたいと思った。

    「人間のよろこびやかなしみ、恋やにくしみなどは、時代がかわっても、おんなじなんだよ」

  • 日本の古典がこんなに親しめる作品があったとは!と受験生時代に読みたかったと思う本だった。

    話はいわゆる今昔物語的な浅い?という感じだけど当時のしきたりや文化をいきいきと現代の言葉で知れるのが面白い。

  • 本のうらすじにも表現されている通り、王朝版(日本版とも言えそうです)シンデレラのような物語です。
    原作となっている落窪物語を分かりやすく要約されています。昔の物語だと表現などが現代と違い、分かりにくいものが多いです。しかしこの本ではロマンティック・コネ・ルートといった現在使われている言葉で表現されています。また、登場人物の会話も今と大きな差異はなく、古典は苦手だけど物語を読んでみたいと思う方には読みやすいと思います。

    内容としては、「おちくぼの君」と呼ばれ両親や姉妹に虐められていた姫と高い身分である右近の少将の恋物語です。
    読んでいると阿漕と呼ばれる侍女の活躍が目立ちます。姫の事を思って行動を起こしていく阿漕が力強く思えました。誰かを思って行動に移せる姿が美しいとも思います。

    読み終わってから、原作の落窪物語にも興味が持てると思います。古典に触れるきっかけを持ちたい際には、読んでみるのもありだと思います。

  • 溜飲を下げるスカッと痛快なお話。なんか大岡越前や水戸黄門的な、してやったり感あり。いけすかない北の方の鼻を明かしてやったゼ。あからさまが過ぎるけど、知恵を使うことや聡明であることの大切さを学んだ。

  • 古典や歴史小説的なのは殆んど読まないのだけれど田辺聖子さんの本だしきっと面白いだろうと思い読んでみた。

    分かりやすく訳してくれているし、馴染みの無い漢字には何度もルビ振ってくれてるから凄く読みやすく、そして面白かった。

  • ただ訳されているわけではなく、途中で独特の用語や当時の習わしについて解説が入るので読みやすかったし、親しみを持って読めた。原文を読んでみたくなった。
    受験勉強のときに知っていればなー。

  • 王朝版シンデレラ物語、なるほど!
    源氏物語には魅力を感じないけれど、同じ時代のこの物語、現代訳がしっくりきた。と言っても、30年前以上だが、著者の力量、あとがきを読むとさらに好感度は高まる。

    おちくぼ物語4章の中の1章とのこと。
    他章は面白くないと著者は言っているが、翻訳されているので、時間をおいて読んでみようと思う。
    著者訳の平安物も他にもいろいろある、是非読んでみたい。

  • 85/100

    少女漫画でときめく
    学校にあるシンデレラ階段と落窪がこの物語起点というのを初めて知った。

    大学入試の時に出てきた文章があって懐かしい

    浮気せずに1人の女性をずっと愛し続け、大器晩成でおちくぼの君が幸せな姿を見て読了感がとても良かった

    おもしろくて2時間くらいでペロッと読めた
    明日のバイト起きれるか不安でしかないけど

  • 2023年「発掘部門」という事で手に取りました。
    日本の古典が苦手なので「◯◯の君」や「大将」「少将」などの文字、登場人物や名前がこんがらがって最初はなかなか進みませんでしたが、あまり細い事は気にせずテンポを大事に読み進めていったら、この先どうなるのだろう…!?と楽しく読めるようになりました。最後はさすが日本らしい結末だなぁと。これがヨーロッパだったら…と日本の素晴しい文化も感じました。

  • 面白かった!平安時代のシンデレラ物語。
    少女漫画を読んでいるようなトキメキ、爽快感。

  • 私の読んだのは1979年に書かれたもので可愛いおちくぼ姫の絵が描かれた表紙でした。
    お裁縫が上手で、センスも良く、控えめで、上品で、心優しい…

    これ以上ない程の素敵な女性が、継母に監禁され酷使される。

    でも、この物語はそんな境遇の姫が、
    出自も良く、将来を嘱望され、経済的にも豊かな上に、イケメン、モテモテ男性…と、これまた言うことなしの素晴らしい男性に、偏見なく大事に扱われ、優しく
    深く一途に愛され、幸せになる
    純愛小説でした。

    余りにも出来過ぎたお話なのに千年もの長い間愛されて残っているのは、どうしてでしょうか。
    いつの世も、
    男性はこうであって欲しい
    こんな男性に深く一途に愛されたい
    と言う
    切なる女性の望みは、変わらず同じだと言うことではないでしょうか。。
    執念深さの無い、心の美しい姫だったからこそのハッピーエンドだったとも思います。

    因みに、
    この田辺さんのご本は、4巻ある内の3巻の始めまでのお話を、彼女なりに纏められてるそうです。
    田辺さん曰く、4巻は面白く無いとの事でそうされたそうです。

  • なんだかんだで読む機会がなかったのですが、やっと。

    本文は古典をものすごく読みやすく落とし込んであって、本当に寓話のように仕立ててあります。
    不遇の状態にあるお姫様「おちくぼ姫」に健気に仕える阿漕が本当にいいキャラクターで、こっちが主役かなと思えるくらい。

    右近の少将とおちくぼ姫、帯刀と阿漕、少将の従弟と四の姫。
    試練に遭いながらも愛を貫くカップルの姿を、どたばた劇を交えながらコミカルに・・というのが、シェイクスピア喜劇に似ているな、とふと思いました。
    『から騒ぎ』とか、似ているのでは。
    (脇役のほうがいいキャラなところも含めて笑)

    グリム童話のようにきれいにまとまっていて、わかりやすく、読みやすく、なのに世界観には広がりがあって。
    楽しい作品でした。

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著者プロフィール

昭和3年3月27日、大阪府に生まれる。昭和22年樟蔭女子専門学校国文科卒。小説家。直木賞選考委員。昭和39年「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)」で芥川賞を、62年「花衣ぬぐやまつわる…」で女流文学賞、平成5年「ひねくれ一茶」で吉川英治文学賞、6年菊池寛文学賞、7年紫綬褒章、10年「道頓堀の雨に別れて以来なり」で読売文学賞、14年キワニス大阪賞など、多数受賞。12年文化功労者となる。作風は巧みな大阪弁で夫婦あるいは男女の機微と生態を描くものが多い。近著に『武玉川・とくとく清水』(平14 岩波書店)『女のおっさん箴言集』(平15 PHP研究所)など。

「2004年 『久保田淳座談集 心あひの風 いま、古典を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田辺聖子の作品

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