おちくぼ姫 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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感想 : 238
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041314234

作品紹介・あらすじ

貴族のお姫さまなのに意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられている、おちくぼ姫と青年貴公子のラブ・ストーリー。千年も昔の日本で書かれた、王朝版シンデレラ物語。

感想・レビュー・書評

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  • 1000年前に書かれた日本のシンデレラ・ストーリー。

    皇族の血をひく高貴な生まれの美しい姫でありながら、継母に虐げられ、畳のおちくぼんだ貧相な部屋で、裁縫をさせられており、落窪の姫と呼ばれている。父親の中納言は庇いもせず、むしろ北の方の味方をして暴言を吐くことも。
    唯一の味方は女房の阿漕。彼女から落窪の姫の境遇と美しさを聞いた夫の帯刀が、右近の少将に話をしたところ、興味を持った少将が帯刀と阿漕を通して姫に熱心に文を送るようになる。

    昔読んだとこがあったのだけど、『わたしの幸せな結婚』にはまった後、もう一度読み直してみたくて田辺聖子訳を。
    ただこちらは現代語訳というより、大まかなあらすじはそのままに、田辺さんがけっこう大胆にアレンジしている。
    平安時代の婚姻事情や文化や習俗なども文章の中で説明が加えられているので、背景を知らなくても読みやすい。
    中学生くらいから楽しく読めるのではないだろうか。

    学生時代に読んだときは、儚げで心優しい落窪の姫を継母のいじめから救い出す貴公子の少将がとってもかっこよく思えたもの。
    でも、改めて読むと、少将より誰より、かっこいいのは女房の阿漕だった!(田辺さんの書き方にも影響されてるのかな?笑)
    少将は基本、自分の地位と財力をたのみにしているのだけど、阿漕にあるのはその機転と行動力と一途な忠誠心と、己の才覚のみ。

    姫のことに常に心を配り、遊びじゃない一途な男を探そうとし、
    少将の通うようになった部屋を綺麗に整え、新婚の朝のお祝いを手配し、
    物置に閉じ込められてじいさんと結婚させられそうになった姫を何とか守ろうとし、
    そしてついには姫を中納言の屋敷から連れ出すところまで、
    落窪の姫の幸せのために奔走し、まさに八面六臂の活躍をするのです。
    少将は帯刀と阿漕に頼りまくりで、中盤まで阿漕なしにはストーリーは動かない。阿漕を主人公にした、姫の脱出ゲームとか作ったらたぶん面白いと思う(笑)

    落窪の姫はおっとりと心優しく、タダの裁縫女としてこき使っていた継母を恨むでもなく、少将の仕返しにも喜ばないようなこれぞ「ザ、姫」。
    他方、阿漕は、少将に初めて忍び込ませてしまったとき、知らないうちに勝手なことをと怒り、みずぼらしい姿を見られた姫の気持ちを慮って泣き、姫が少将に大切に想われていると知ってとても喜び、喜怒哀楽の感情の豊かな人。
    この二人の対比がまたいいのかな。

    そうそう、昔は少将の仕返しにスカッとしていたものだけど、ここも改めて読むと、ちょっとヤンチャが過ぎるというか、特にまだ恋も知らない初心な四の君に対する仕打ちはどうかと思うよね…。田辺さんも現代では受け入れられないと思ったのかだいぶ改変していたような。
    意地悪で陰険な北の方にはいくらでもすればいいと思うけども(←)

    最後は大円団、やっぱりハッピーエンドが一番!だからこそ長く長く読み継がれてきたのだろうなぁ。

    ★3.5

  • ただ訳されているわけではなく、途中で独特の用語や当時の習わしについて解説が入るので読みやすかったし、親しみを持って読めた。原文を読んでみたくなった。
    受験勉強のときに知っていればなー。

  • なんだかんだで読む機会がなかったのですが、やっと。

    本文は古典をものすごく読みやすく落とし込んであって、本当に寓話のように仕立ててあります。
    不遇の状態にあるお姫様「おちくぼ姫」に健気に仕える阿漕が本当にいいキャラクターで、こっちが主役かなと思えるくらい。

    右近の少将とおちくぼ姫、帯刀と阿漕、少将の従弟と四の姫。
    試練に遭いながらも愛を貫くカップルの姿を、どたばた劇を交えながらコミカルに・・というのが、シェイクスピア喜劇に似ているな、とふと思いました。
    『から騒ぎ』とか、似ているのでは。
    (脇役のほうがいいキャラなところも含めて笑)

    グリム童話のようにきれいにまとまっていて、わかりやすく、読みやすく、なのに世界観には広がりがあって。
    楽しい作品でした。

  • ジェットコースターのように進んで面白かった!!
    田辺節にブラボー!!
    登場人物たちのキャラがたっている。
    おちくぼ姫は北のかたにあんなにされたのに、夫の言うとおりすぐ忘れてしまうんだから、気立てがよいというか、清らかというか菩薩みたいだというか、周りがちょっとやり過ぎていても姫の言葉を


    否定せずにきちんと収めるところは収めるのだから、やはり見いだすほどの能力がある人たちはその辺も違うのだろう。
    あとがきにもかかれていたけれど、二人の純愛が軸になっているからこそ、羨ましいと思いつつも丸で自分が愛されているかのように幸福に思えてくるのだ。しかも心から二人を応援したくなるし、途中までは少将が心変わりしないかちょっとはらはらしていたりもする。
    四の君と資親の直接の出会いのところもはらはらしたけれど、四の君が北の方に似ず純愛を追い求め、しかも中身を見る目を持っていたことが幸いだった。顔を合わせるシーンはすごくドキドキした。
    北の方はどうしてああも意地が悪いのかと思うけれど、ディズニーの悪役の物語のように映画一本できてしまいそうなものを感じるし(笑)、ラストなんかは春の野に吊るされて永年出られず地獄を見てるフリーザ様を思い起こしもしたので、本当、素晴らしいキャラだちだと思う。

    この後のストーリーはつまらなくなってしまうとのことだが、むしろ少し気になる。
    でも、田辺さんの痛快な訳(典薬の助の下心丸出しの爺いぶりとか、阿漕の颯爽とした遣り手振りとか)あっての今回の楽しみだと思うので、そのうちさらっとその先の行方が知れるといいなとは思う。

    ちなみに、この訳が出版されたのが私の生まれる前だということに驚いた。
    スマホも携帯もない時代の訳でも、面白いものと感じる現代人のセンスは変わらないのだと思った。
    スケベ爺いのシーンとか、馬面笑うとことか、牛車争いのシーンとか、多少やりすぎな感じがしておいおいと思いはしたけれど、時代遅れと思うような言葉選びがなされていなかったのがすごい。

  • 読みやすい本、ずっと手元に置いておきたい。
    シンデレラ好きだからこの本も当然好きになったし、平安時代ってこんな感じなんだ、と知れて嬉しい。
    私も大学卒業の袴の色を、この本参考にして選ぼうかしら、、。
    昔の人も今の人も、悩む事柄は対して変わらない
    というフレーズが気に入った。

  • 王朝版シンデレラだそうで
    確かに継母にめっちゃイジメられる〜。

    遊び人の貴公子が不幸な境遇の姫君に惚れて
    一途になるのはド定番って感じですが
    姫君のお付き女房と貴公子の従者の青年が
    ふたりを結びつけるべく奮闘するのは
    なかなかおもしろかったです。
    この女房の阿漕が、私好みの娘で♪
    継母相手にも策を弄したりして大活躍。

    あとがきによると、おせいさん
    かなり脚色したらしいですが
    古典を手に取りやすくしてくれて
    ありがたいことです。

  • すごく読みやすい本。
    田辺聖子の翻訳で読むと古典も身近に感じる。
    千年昔の人々の暮らしぶりも興味が持てる。

  • 知り合いに貸していたらしい本が15冊ほど帰ってきたので読み返し中です。

    中学生ぶりの再読でしたが、内容は意外と覚えていました。
    1000年以上前に書かれた和風シンデレラストーリーです。
    とても読みやすく現代語訳されているので、スラスラ読めました。

    当時ではとっても珍しい一途な純愛を貫くお話で、
    作者様が読みやすいように結構アレンジをしているそうですが大筋は変わらないですし、本当に原作そのままなのでは…と思うほど違和感がありませんでした。

    どんな時代でも、女性も男性も考えること、思うことは変わらないってことですかね。そう思ったら環境が全く違う1000年前の方々に親近感が。嬉しくてニマニマしちゃいました。

    とても面白かったです!

  • 古典で習った落窪物語ってこんなにきゅんきゅんするものだったの!!!少女漫画に勝るストーリー。これを読んでたら古典もっと好きだっただろうな〜

  • 乃里子三部作から田辺聖子さんにはまって読んでみた作品。
    本当に定番のシンデレラストーリーであとがきにあるみたいに純愛やから好感が持てる作品!平安時代の物語なのにこんなに読みやすくてびっくりした。

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著者プロフィール

1928年、大阪市生まれ。樟蔭女子専門学校卒業。64年『感傷旅行』で芥川賞、87年『花衣ぬぐやまつわる……』で女流文学賞、93年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞を受賞。『むかし・あけぼの』『ジョゼと虎と魚たち』など著作多数。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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