人生の甘美なしたたり (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041314319

感想・レビュー・書評

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  • 「人間は何のために生まれてきたと思う?おもしろいことを言って、みんなで笑うためよ」
    日本を代表する作家であり大阪を最も代表する作家であった田辺聖子さんが、先週6日に92歳で亡くなった。「カモカのおっちゃん」などエッセイの言葉や小説の中で出てくるセリフが好きだった。大阪の普通のおっさんやおばはんが使うような平易な言葉で、こんなにも人生の機微や人間の本性を突き刺すような深い言葉を紡いだ作家は彼女以外にない。彼女の言葉には何度も笑わされ教えられた。樹木希林さんにつづいて、人生の大先輩がまた一人いなくなった。私の本棚に残る4冊の彼女の本から、箴言集「人生の甘美なしたたり」を再読。10数年前に買った本だが、面白くてまた一気に読んでしまった。数多くの素敵な言葉の中から一部を抜粋紹介。

    ●男と女
    ・「恋愛の究極は、手ェも握らんとこへ還る」
    ・男でも女でも、好色な人は、毎日、じつに楽しそうに生きている。
    ・セックスはアタマとココロである。セックスは、あたまのよさと感受性の問題だ。
    ・不倫は人生の香水である。時々人生にふりかけてたのしむ。
    ●女とは
    ・女が男からいわれる一番うれしい文句は、「寝ませんか」というくどきである。
    ・女はみんなバクダンである。
    ・女の子の集まりがながつづきするヒケツは、「KINTAMA」のひとことに尽きる。つまり、「協調すれども介入せず」ということ。
    ・於女乎一つ引っ提げてれば、一生食いっぱぐれないなんて、女とは何て、いいもんだろう、という真理。
    ●男とは
    ・マジメな男が浮気することは矛盾するようであるが、マジメだから浮気になり、本気にならないのである。
    ●生と死
    ・泣くか笑うか迷ったときは、笑うほうがいい。
    ・人生は最後にはなんとかなるものである。
    ・人生、酒飲んで×××しとれば、それだけで大収穫である。
    ・そもそも幸福の実態は、日常の細部にある。
    ・「すべてナアナアがよい。整然とか生粋とか純潔はいかん」
    ・「神サン」は理不尽なのである。
    ・血は水より薄い。
    ・「逃げたままトシとったらええやないか、逃げ切ったら勝ちや」
    ●世の中さまざま
    ・人間、カシコもアホもみな同じ。
    ・楽に生きている人間は好もしい。
    ・本来、民主主義というものは女くさいものである。
    ・人間の歴史を真に動かすものは、その網目に洩れたる無数の塵芥、雑魚どもである。
    ・たのしみ、というのは、やっぱり「人間」に尽きる。
    ・善意と思い込んでる無神経は一番かなわない。
    ・「アホにアホいうもん、ほんまのアホじゃ」
    ・非行は健康の素。
    ・社会が成熟すれば美意識は多様化する。
    ・「すべて物ごとも言葉も、平とう考えて平とういいなはれ」
    ・何でもしたい放題したほうが、人生では長生きする。
    ・「血ィのつながれへん者同士が、仲よう家族みたいにしてる、いうのこそ最高の文化や」

    十数年以上前に読んだ時より今のほうが、ずっと味わい深く面白く読めた。
    はんなりしたやわらかい大阪弁につつまれているが、よく読むと辛辣で凄い過激な言葉も。

    最期にもういちど、新聞に載っていた言葉。
    「人間は何のために生まれてきたと思う?おもしろいことを言って、みんなで笑うためよ」

    おせいさん、たくさんのおもしろい言葉ありがとう!

  • 【本の内容】
    愛の反対は無関心である。

    「死」の対極にあるのは「生」ではなく、「恋」である。

    お聖さんのふかーい洞察力によって引き出された、恋人、夫婦、家族たちの本音と真実。

    アフォリズムの名作!

    恋愛の究極は手ェも握らんとこへ還る。

    しょせん男は気立てと甲斐性。

    人生エエとこどりでよい。

    血は水よりも薄い―。

    人間への深い愛と洞察力を持つ著者が行きついた、鋭くてユーモラスな人生の決めフレーズ集。

    日々をより楽しくするための応援歌であり、ふとこぼれる本音であり、気持ちひとつで手に入る幸福のさまざまなかたちの提言ともいえるだろう。

    [ 目次 ]
    男と女
    女とは
    男とは
    生と死
    世の中さまざま

    [ POP ]
    〈オトナの女とは、男に期待しなくなった女のことである〉〈惚れてしまうということは精神衛生にも美容にもよくない〉。

    田辺聖子さんの『人生の甘美なしたたり』は、載っているすべてのフレーズが、今後の人生の参考になること間違いなしの、愛とユーモアに満ち満ちた傑作フレーズ集です。

    「さすがはお聖さん、達観している!」と膝を打ちつつ、ちっぽけな恋の悩みなどはたちまちのうちに雲散霧消することも間違いなしの1冊です。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 【推薦文】
    インパクトのあるタイトルに惹かれ、思わず書架整理の手を止めて開いてみると、中は人生をスパッと切りとった刺激的なフレーズ集でした。女性の強かさに圧倒されてしまわないよう、覚悟を決めた上でお手に取ることをおすすめします。
    (推薦者:金属工学科 B3)

    【配架場所】
    大岡山: B1F-一般図書 917/Ta

  • 歯切れよく、潔いことばが目に飛び込んでくる。
    ここまで歯切れがいいと、したたりは、さっくり
    さらさら。
    と思いきや、軽い言葉に重い意味。
    強い言葉でお尻をたたかれ。
    人生の機微を味わえる良い本です。

  • 笑いながら、頷きながら読みました。男って生き物も、女って生き物も自分勝手で面白いですね。

  • バイブル!
    「自己愛の無い女は力もうすい」
    心に留めて生きてます。

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著者プロフィール

田辺聖子

一九二八年、大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。六三年、『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で芥川賞を受賞、八八年、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』で女流文学賞、九三年、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、九四年、菊池寛賞を受賞。九八年、『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞と読売文学賞を受賞。二〇〇八年、文化勲章受章。大阪弁で軽妙に綴る現代小説の他に、古典文学の紹介、評伝小説など、著書多数。一九年六月死去。

「2020年 『大阪弁おもしろ草子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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