寺山修司青春歌集 (角川文庫 て 1-9)

著者 :
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感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041315019

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  • さむきわが望遠鏡がとらえたる鳶遠ければかすかなる飢え (p.12)
    夏蝶の屍をひきてゆく蟻一匹どこまでゆけどわが影を出ず (p.21)

    北窓に北のいなづま光る夜をまだ首吊らぬ一本の縄 (p.103)
    売りにゆく柱時計がふいに鳴る横抱きにして枯野ゆくとき (p.116)
    森駈けてきてほてりたるわが頬をうずめんとするに紫陽花くらし (p.162)
    とびやすき葡萄の汁で汚すなかれ虐げられし少年の詩を (p.162)
    わが通る果樹園の小屋いつも暗く父と呼びたき番人が棲む (p.162)
    海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり (p.162)
    列車にて遠く見ている向日葵は少年のふる帽子のごとし (p.164)
    煙草くさき国語教師が言うときに明日という語は最もかなし (p.164)
    ころがりしカンカン帽を追うごとくふるさとの道駈けて帰らん (p.165)
    知恵のみがもたらせる詩を書きためて暖かきかな林檎の空箱 (p.165)
    ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲はかくまでにがし (p.165)
    灯台に風吹き雲は時追えりあこがれきしはこの海ならず (p.167)
    麦藁帽子を野に忘れきし夏美ゆえ平に胸に手をのせ眠る (p.179)
    飛べぬゆえいつも両手をひろげ眠る自転車修理工の少年 (p.184)

    さればと眠る母見れば 白髪の細道 夜の闇 むかし五銭で 鳥買うて とばせてくれた 顔のまま 仏壇抱いて高いびき 長子 地平にあこがれて 一年たてど 母死なず 二年たてども 母死なぬ 三年たてども 母死なず 四年たてども 母死なぬ 五年たてども 母死なず 六年たてども 母死なぬ 十年たちて 船は去り 百年たちて 鉄路消え よもぎは枯れてしまふとも 千年たてど 母死なず 万年たてど 母死なぬ

    ねんねんころり ねんころり ねんねんころころ みな殺し(p.128~129)

  • 真っ黒な濁流の中でキラキラしている。

  • 彼のイメージは実験的だとか前衛的というものだったのだけど、この歌集はなんと定型詩で驚かされた。
    本人も定型詩にこだわりがあったようだし。
    読んでみると文学の基礎知識のようなものがしっかりしてる作風だな、と。
    意外と正統派。
    それでいて若々しさがあって、短歌をよく知らない自分でも親しみやすかった。
    実験とか前衛っていうのは基礎があってこそのものなのかと思ったり・・・。
    しかしこの感じは「空には本」や「初期歌篇」での印象。
    「田園に死す」では随分と先鋭的な世界観を披露してくれている。
    これが寺山ワールドというものなのか・・・どうなんだろう。
    一冊で彼の色んな側面が知れるようなできとなっている。

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著者プロフィール

1936年青森県生まれ。83年、敗血症により逝去。早稲田大学中退後、歌人、詩人、小説家、劇作家、劇団「天井桟敷」主宰者など、独創的な発想でマルチな才能を発揮。「書を捨てよ、町へ出よう」など著書多数。

「2021年 『花嫁化鳥』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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