競馬への望郷 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041315149

感想・レビュー・書評

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  • 書いたものが多すぎて全集が出せない作家ベスト1ではないかと個人的に考えている寺山修司。文章が気取っているからなど拒絶反応を起こす知り合いもいたが、寺山はかっこいいんだからいいじゃないか。
    短歌に俳句に詩に芝居、小説、映画、戯曲、エッセイと、もう天才ですよ。
    大学生の頃にハマり、古本屋で何十冊も買って読んだものの、自分がギャンブルをしないせいか、競馬ものは一応買ってはいたものの敬遠していたのだが……。

    馬や騎手の知識がなくても面白く読める。競馬をやりたくなるというのではないが、馬と人との悲喜こもごものドラマは読ませる。
    寿司屋の政とかトルコの桃ちゃんとの話など、時代の空気も感じられていいなぁ。

  • 昨年の凱旋門賞の頃には高橋源一郎『競馬漂流記』を読んでたことを思いだし、では今年は、とチョイスしました。
    競馬のドラマ的な部分を、ファン、競走馬、騎手に分けて、それぞれ煮詰めたような作品です。レースに勝って伝説になる馬、馬券に負けて消えていく仲間、連戦を戦い抜く騎手の人生観、どこを読んでも胸に刺さります。

    加えて、この作品自体も次のドラマに繋がっていることを知りました。
    騎手、吉永正人の章で、最後著者は吉永のこれからの活躍を願い、文体を強めます。「馬主各位。調教師各位。もっと吉永に乗るチャンスを与えてやってください。人生で一番大切なものを失った男は、きっとレースで何かを取り戻すはずである。」
    JRAのWebサイトのコラム『競馬を愛した人々』ではこの先のエピソードがあります。昭和58年皐月賞、寺山が自身のコラムに吉永の乗るミスターシービーが本命と書きます。体調不良を理由にコラムはこれが最終回となりますが、ミスターシービーは見事皐月賞を勝ち、続けてダービーを制するのです。
    この年のダービーが5月29日。同月4日に寺山は47歳の若さで生涯を終えています。吉永の栄冠を願いながら、その瞬間を見ることなく。

    このエピソードを知って再度吉永の章を読み返したのであります。

  •  よかった。面白かった。前作「馬敗れて草原あり」よりよかった。

     書かれた時代が時代なので古い話が多いのは当然。騎手伝記で語られる騎手達に至っては、今やとっくに現役を退いており、“騎手の父”となっている者も少なくない。昔日の時代を感じられる書である。過去の競馬を知れるのはよい。

  •  競馬と人間が織りなす人間味のある物語が詰まった本。古い本だけど、今でも共感できる。

  • 競馬のロマンを語るとき、避けては通れない本。競馬をただのギャンブルとは思ってない人に是非オススメ。

  • 新宿の古本屋で偶然見つけた寺山修司の絶版本!
    しかし、あまり競馬に興味がないので、またあとで読みます。

  • 競馬ってただのギャンブルじゃないんだなあ・・・馬にも競馬場にも馬券を買う人にもドラマが。

  • ふりむくな ふりむくな 後ろには 夢がない。「さらばハイセイコー」から始まる、競馬叙情。寺山修司の競馬への愛は惜しみなく、そしてどこか哀しみを帯びている。

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著者プロフィール

寺山修司(てらやま・しゅうじ):1935年、青森県生まれ。54年「チェホフ祭」で短歌研究新人賞特選を受賞、脚光を浴びる。早稲田大学教育学部在学中にネフローゼを発病、4年間の療養生活を送ったのちに劇団、演劇実験室「天井棧敷」結成。劇作家・演出家として活動するかたわら、映画監督、詩、小説、批評、歌謡、競馬評論など、国内外で様々な分野の才能を発揮した。83年5月、旺盛な仕事のさなかに逝去。

「2023年 『さみしいときは青青青青青青青』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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