家出のすすめ (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041315231

感想・レビュー・書評

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  • 「書を捨てよ、町へ出よう」(1971) の映画作品を観て度肝を抜かれたのもはや数年前。その書籍版も読んだはず…だったがその後彼の残した活字を追う作業は進まぬまま、そんななか随分と間を開けて本書が手の中に。

    どうして今かの理由は読後にははっきりしなかった。内容も10代に向けて書かれているわけで、ある意味の家出、いうなれば「国出」まで決行してしまった自分としては時期相当遅とででも呼ぶべきか、多くの言葉が今となってはもう響かない。それもそのはず、書いている寺山自身も当時20代の後半だったとのこと。いろんな意味でタイミングに難ありな…。

    しかーし。その数週間後にタネ明かしが。居酒屋のカウンターで常連のお客さんに話しかけられる。

    「どう?今度の寺山は行くの?」

    その人は自分が映画好きであることを十分承知で話しかけてくれたのだが当の自分は「?」状態。仕事が忙しいという言い訳でもってアンテナが錆びつきかけていたところ、他の方の助けを受けてかろうじて引っかかった。国立フィルムセンターが最近修復が完了したばっかりのNew Printを多数引っさげ、まずNew Yorkからという感じで凱旋してきてくれたのだ。

    つまりはタイミングは抜群だったということ。

    巻末には彼の年譜がついていた。今一度読み返して残りの上映に臨むとしよう。

  • 寺山さんは、わたしが産まれるずいぶん前に産まれて、わたしが産まれる前に亡くなった方。
    それなのに、こんなにも共有できるものが多いのは、結局いつの時代も変わらないということなのか…性に対する見方は時代とともに変化している気がしているけれど、それは外面かもしれない、とも思いました。
    特に面白かったのは、「サザエさんの性生活」。サザエさんは、わたし自身が苦手な作品であることもあって、とても痛快、そして納得。
    家というものに縛られる日本。そのくせ求められる自立。子どもから大人になる中で、もがいて、自分の生き方を見つけていく。でもそれは、なかなかスムーズにはいかないもんで…
    そもそも、どうしていきなり生まれ落ちて、どうして自分では選べない家というものに縛られないといけないのか。縛られた状態では自分の生き方なんて見つけられない。家出をして、自分を親から切り離し、縛られていたものから解放され、自分とは何者かを考えること。愛情で始まる親との関係を、最終的には友情という関係とすればいいという考え方は、なるほどなと思いました。家出(自立)というものに、一歩踏み出せない人や、家出(自立)に罪悪感を感じてしまう人への希望の言葉なんじゃないかな。

  • まさにいま、家を出ようと考えている自分にはぐっとくる部分も多かった。親を一度捨てて新たな関係を築く、というのは確かに大事かもな〜
    この頃の情勢とかを知ってたらもっとよく理解できたのかなと思う。

  • 寺山修二のメッセージはいつも明確だなぁ。「社会に規定/去勢された人生で満足?」社会の最小単位である家族からの解放である家出をはじめ、時代によって“犯罪”の定義が変わることを逆手にとって面白可笑しく悪徳を説き、暗いイメージの反俗を明るく語る。そして最後はうまくまとめて精神的に意味で自立したまえ、ということに帰結していく。書いていることが極端なだけに、逆に読み手は自分の中の規範と向き合うことができますが、言葉が巧みでその気にさせる要素を十分に孕んでいるので素直すぎる人にはお勧めしない((+_+))カリスマ。

  • 自分が思っていつつも、なかなか口に出せずにいた事なんかがたくさん書かれてて驚いた。

    「東京へ行こうよ。行けば行ったで何とかなるさ」63p

    うん、自分もそう思う。

  • とても面白かった。

    『家』とのつながりについての章に『サザエさんの性生活』の掘り下げをぶっこんでくる辺りのセンスがなんとも素晴らしい。

    この作品が出版されたのが今から40年以上前ということが信じられない。

    時代は変わっても根本は変わらないということか。

  • この本を読んで、私は居心地の良い実家を出て、彼女と同棲することを決心しました。

  • 〈幸福な家庭であるからこそ、それを超克しなければならないのです。〉

    家庭にとらわれるな!安易に流されるな!もっと怒れ!
    若者が、強く生きる大人に成長するためのメッセージ。

    「ありのままのあなたで」みたいな、耳に優しいことばはナシ。いかに社会に反逆を起こすかを書いてます。
    すがすがしい。

    自画像にヒゲを書いちゃったから仕方なくヒゲを生やすのと、忙しい会社に入っちゃったから仕方なく毎日出勤するのと、何が違うんだ?
    若者は、性に対する哲学を持て。

    ガツーンときました。
    極めて印象的な本。

  • 自分の人生、選択権は自分で握る。そうすれは、明るく強く生きられる。自立せよ。
    そんな印象を受けました。(違うかも知れないけれど…。)面白く感じる部分が所々にありました。また、この方は生きることに真面目な方なのではないか、とも。

  •  目次に

    第一章 家出のすすめ
    第二章 悪徳のすすめ
    第三章 反俗のすすめ
    第四章 自立のすすめ

    とあれば心惹かれないワケが無い。

     数多くの短編を含むこの書の主張の肝は「家は出るべきである」。家の権威が落ちてきている現代においてはピンと来ない人も多いかもしれないが、決して時代遅れの内容ではない。人生を生きる上でのヒントも多いと思う。青少年にはなかなか刺激的な本でもあるだろう。ちょっと内容を汲み取るのは難しいだろうけれど。

     自分も寺山修司とは思想の近いことを感じる。家は出るべきだと思う。価値は常に後天的に獲得されるべきものと思う。怒りも屈折も明日を切り拓く力になるものと思う。

     しかし、やはりさすが詩人と言うべきか、言い回しが巧みで恐れ入る。

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著者プロフィール

作詩:歌人・詩人。

「2018年 『混声合唱(または重唱)とピアノのための ヒスイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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