あゝ、荒野 (角川文庫)

制作 : 鈴木 成一 
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 341
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041315330

作品紹介・あらすじ

1960年代の新宿-。吃音と赤面対人恐怖症に悩む"バリカン"こと建二と、少年院に入り早すぎた人生の挫折を味わった新次は、それぞれの思いを胸に、裏通りのさびれたボクシング・ジムで運命の出会いを果たす。もがきながらもボクサーとしての道を進んでいく2人と、彼らを取り巻くわけありな人々の人間模様。寺山修司唯一の、珠玉の長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • だが新宿新次は村田英雄が嘘つきだということを知っている。「おまえの時代」というものなど存在しない。ただ「おれの時代」を奪い合うエネルギーだけがほんものなのだ バリカン健二 ども跛吃りの治し方 吃り対人赤面恐怖症 「歌による自己表現」「スポーツによる自己表現」皮膚の下で何かが唸るのを感じた 心なんて、一種の排泄物みたいなもんで、「夜になるとたまって来るが、朝になると出ていっちまう」ものだ。 忽ちマンガ的に戯画化されて話題になった 薄利多売法 渥美清 長持ちする顔 老人に必要なのは、諦めではなくて、もっと酷い絶望か、或いは偽りの希望かの、どっちかなのだ。 西田佐知子 東京ブルース 話のネタになる本 若尾文子とオルガスムを分ちあいながら 「誰にも迷惑かけない性行為なんて、まったく無意味で、味気ないよ」 藤猛 北叟笑んだ アウト・ボクサー(点取虫) 拳闘の世界では「一番多く憎んだもの」にチャンピオンという称号が与えられる 彼の夢は大統領になること。すなわち、チャンピオン・ベルトをしめてリングの中を一周することである。そして、その資格を有するものは、少なくとも素晴らしいヘラクレス並みの肉体の持主でなければならないのだ。彼には新宿を歩いている青ざめた顔のサラリーマンたちが皆、間抜けに見える。 アデノイド症的な 幸せなら手をたたこう 坂本九 「誰だって、自分の宿命に勝ちたいからね。後天的なものを信じようとするのさ。生まれた時の星に逆らってみない人生なんて味っ気もありやしないじゃないか」 「野生の家畜」といった趣きがあった 「栄養剤を飲むといいんだよ。少し活力をつけると、あんな感傷的な人生観は、たちまち変わってしまうんだ。詩を書いたり、名曲喫茶に朝から閉じこもっているような連中を見てると、俺はいつでも(かわいそうだにあ!)って思ってしまう。奴らはリポビタンかアスパラを飲んで、体を鍛えればまだ立ち直ることが出来るんだ」これは新次の信念であった。彼にとって、ボクサーが負けるということは悪徳であり、その原因は突き詰めて行くと必ず栄養不足ということになるのであった。素晴らしい肉体が、精神などという小細胞を自由にできない訳がない。「己に勝て」などという精神主義的な金言は嘘っぱちで、まず、精神を支配できるような強健な肉体を作ることこそ先決なのだ。 幻影を持たない奴は、いつか消えていってしまうんだ。 馬鍬まぐわ つまり、欲求不満のエネルギーがあの人達の生き甲斐になってる訳なのよ。 あなたは病気にかかってませんか?人類彼の最後にかかる、一番の重い病気は「希望」という病気です。 川崎敬三(そっくり) 豊作兵助 それは「嘗て、あんなに何かを憎むことの出来た俺が、いま、何も愛せない訳がないさ」という自信である。彼等はそのことを自分の真実として、いまの怠惰を「世を偲ぶ仮の姿」だと考える。その考えは悪くない。だが、彼等は「世を偲ぶ仮の姿」のままで日々を送りながら、何時の間にかそれが「本物の自分の姿」になってしまっていることには気付かないのである。 猫の屍体したい 跛びっこ 曇天どんてん 弟子屈町 心臓の瓶詰め 薬一服煎じて飲んだら 植木等 学生節 少なくとも「暴力」行為には、疎外などのつけこむ空隙くうげきがないからである。 相手を傷つけずに相手を愛することなどできる訳がない。勿論、愛さずに傷つけることだってできる訳がないのである。 ボーイ・ソプラノ 雑念を払う為に去勢手術 学芸大学前 目黒 世の中には「偶然のない人生もある」ということがわかってきました。そこで、「偶然」をあきらめて、自分で一挺いっちょうやらかしてみようと思ったのです。 詠嘆している暇はなかったのである ダンプリング入りシチューチキン 花園町から歌舞伎町に抜け 俺の波田は俺が拭くそれははちきれるような欲望の処理というよりは、寧ろ自らを救済する一刻といった感じのほうが強かったのではあるまいか。 茎を握り出す マヤコフスキー ジューク・ボックス付きの女体だ バーブ佐竹 感謝にも似たエクスタシーの顔 昭和40年 モダン・ジャズの手法 コラージュ 極めて率直にお金を出して買ってくれた読者のあなたに捧げたいと思う。シナトラの唄ではないが、もしも心が全てなら愛しいお金は何になるという現実主義の名誉にかけて。1966年秋

  • 自由に軽やかにシリアスでいて軽薄にならない。
    すごいなと素直に思う作品だった。

  • 映画版のサブテキストとして参考になる部分は多々あった。しかし構成が破綻していると言うか、そもそもきちんとした構成を考えずに書いた作品らしいので、一編の小説としては、あまり評価できない。この小説からネヴィル・ブラザーズよくぞあれほどの名作映画が生まれたものだと思う。

  • 2017年10月の映画公開に合わせ購入。
    新宿を舞台にした生々しい昭和の香り。昔は新宿も薄汚かったのに、小綺麗になってしまった。ここに描かれた昭和が懐かしい。小説には出てこないけれど、コマ劇場前の噴水とか、昔の歌舞伎町を思い出した。何という小説ではないけど、昭和の新宿を生きた人たちの哀愁を感じる。寺山修司、初読。

  • 「あゝ、荒野」
    公開日:前編2017年10月7日 後篇10月21日
    プロボクサーを目指す二人、新次とバリカンの出会い。二人の友情。成長。それぞれの恋愛。しかし、二人は逃れられない宿命に直面する…
    キャスト:菅田将暉、ヤン・イクチュン、木下あかり、モロ師岡、高橋和也、今野杏南、山田裕貴、でんでん、木村多江、ユースケ・サンタマリア 
    監督:岸善幸
    http://kouya-film.jp/
    Twitter https://twitter.com/kouya_film
    facebook https://www.facebook.com/Kouyafilm/
    Youtube https://www.youtube.com/watch?v=A6UxrZe7QMI

  • ああ、なんて言ったら良いのかな。ぴったりな言葉が出て来なくて。
    人は、言葉では解り和えぬものなのだろうな。

  • 60年代の、ネオンの煌く新宿という荒野でたたかう人々の物語。直接的な場面が多かったのに嫌悪感なく読めたのは、彼らの中の闇に共感していたからなのか。「愛するために、愛されたい」主人公のラストにちょっと泣きました。

  • すごく昔に読んだんだけど、2011年舞台化された際にちょいミーハー気分で再読。舞台のキャストをつい当てはめてしまうせいもあるかと思いますが、思いがけずとんだ萌え小説でした(笑)。舞台でバリカンを演じる小出くんがインタビューで「ボーイズラブ」と言ってたのにいたく納得(笑)。もう一方の主人公・新宿新次は、なるほど蜷川先生があえて今嵐の松本潤を指名したのにこれまた納得。はたして健全で健康な精神の(?)嵐のファンが寺山の舞台を見て楽しいか否かは別として、これは良いキャスティングだなあと思いました(って、本の感想じゃないし・苦笑)。

  • 群像劇。

    「モダンジャズの手法で書いた」と本人は言っているけれど。

    ポールトーマスアンダーソンの映画みたいな。

    それぞれが闇を抱えていて、それぞれの人生が交差する場所としてのリング。

    世の中に問題提起している感じがする。


    荒野。

    って、いいことばだな。

    バーのカウンターは、荒野。

    リングは、荒野。

    ベッドは、荒野。

    みんな別の方向を向いている、そしてそれぞれが重みを持って生きている、それがひとつの物語で収束している感じがいい。音楽的。

    この、孤高なロマンチストな感じが、今俺でもやり直せそうな青春を感じさせてくれるよな寺山修司。

  • 何故だか大好き。
    別にどうってことない話なのだろう。
    でもやけに身近な気がする。

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