西郷隆盛 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 221
感想 : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041323304

作品紹介・あらすじ

近代日本の夜明け、明治維新に燦として輝きを放つ西郷隆盛。「西郷は真の政治家でありながら、世に横行する政治家ではない。西郷は詩人の魂をもった理想家であり教育家であった。芸術家になっても、すばらしい業績をのこしていたろう。そしてさらに、西郷は軍人でもなかったのである」と著者が言い切った西郷隆盛の半世紀の足どりを克明に追った伝記小説。西郷を通じて描かれた維新史としても読みごたえ十分の力作。

感想・レビュー・書評

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  • 私もこれが初の池波作品です。
    意外に西郷隆盛をというより、薩摩を中心にした書が初めてでしたので、幕末から明治にかけての熱い試行錯誤の時代をもっと勉強しなければなぁと思いました。

    物語の終幕で木戸孝允・大久保利通に加え、桐野利秋まで救いの手を差し伸べたのは好感がもてました。

  • 初の池波作品。惹かれざるを得ないと言われたその魅力のせいで、時に意図しない選択を迫られる西郷隆盛の一生。簡潔過ぎて少し物足りないが、所々に入る所感がいい。どの西郷作品を見ても、やっぱり江藤新平が軽く見えてしまう(笑)。

  • 薄い本で読書苦手な私も抵抗なく手に取れました。しかし中身はとても熱かったです。西郷隆盛については里見浩太朗主演の年末時代劇スペシャル「田原坂」で大筋は知っていましたが、小説で読んでみて改めて西郷隆盛の一貫した生き様に、感動しました。まさに時代のカリスマ。惚れる。

  • 初の池波作品。
    西郷隆盛の誕生から西南戦争で落命するまでの51年間を綴った伝記小説。西郷さんの魅力を伝えるエピソードがふんだんに盛り込まれており、思わずクスッときてしまうような愛嬌あふれる彼の肖像が思い描かれた。また禅(というか知行合一を唱えた陽明学だと思うが)に裏打ちされた哲学を芯としており、私利私欲を一切望まず、人民へ温かい眼差しを注ぎ続けた、まさに理想の政治家の姿を見ることができた。


    ~~~
    維新後、征韓論での対立から西郷さんが野に下り、私学校を設立し教育に励んだことで、薩摩藩には「私学校党」のような勢力が出来上がった。中央政府はこれを抵抗勢力と捉え、西郷暗殺のための刺客を放った(これが真実とは限らないが)。この刺客が私学校の徒により暴かれ、一矢報いるため政府への挙兵に至る。これが西南戦争である。西郷さん自身は挙兵に反対であったが、周囲が彼を担ぎあげて戦に打って出ることを止められなかった。このことを勝海舟が語るには、
    「西郷は、みずから育てた子弟と情死したのさ。西郷さんは、あのような場面には知恵の出てこぬ人だった」
    この一文に、当時も今も西郷さんが愛される所以を感じた。

  • 苦手な日本史に着手。まずは人物からと風格ただならぬ西郷どんににらみを利かせました。とっつきやすく小説体になっている物から読みたかったので、池波正太郎の中編に決め手にとりました。
     簡潔に西郷の気質と歴史における立場が分かります。面倒くさいことは省いて、その生涯に躍動感を残す描写は飽きずに最後まで読み込めました。もともと日本という国に愛国心はあれど、失望の方が大きかったので、その歴史と向き合うことが億劫であったのですが、歴史をたどれば見つめるべき部分は多くあります。西郷どん、その生涯感動し申した。

    11/12/6

  •  西郷の一生がコンパクトにまとまった一冊。初めて池波の著作を読んだ。司馬に勝るとも劣らない筆致で、こういう実在の人物を描いた作品をもっと書いて欲しかったと思う(有名な『鬼平』『梅安』等は読んだことがない)。
     しかし誰が描いても西郷の偉大さというのは伝えきれないと思う。もし明治維新(西郷絡み)である人であるならば、この本を読んで、次に司馬の『歳月(上下)』を経て、大作『翔ぶが如く』(全10巻)に是非チャレンジして頂きたい。『翔ぶが如く』は単独で読むと、大変「読むのが辛い」作品だと思う。下手をすると歴史的事実がつらつらと述べられている錯覚に陥る可能性が高いからだ。
     西南戦争が起こるまでの歴史的経緯をこの本や『歳月』を読んで理解したうえで『翔ぶが如く』を読むと、西郷の偉大さがよくわかると思う。僕は不幸にして『翔ぶが如く』を先に読んでしまったので、この池波版西郷に「物足りなさ」を抱いてしまった。
     『翔ぶが如く』で司馬が「西郷の人格的魅力というのは、実際に会った者しかわからない」と匙を投げた上で、10巻も費やして伝えようとした西郷の魅力をこの池波版は1冊で伝えようとしているという理由による。
     とは言いながらこの本が『翔ぶが如く』に劣るとかそういう意味ではなく、この本の魅力は西郷の魅力を伝えながらその一生をも著者の主張を厭味なく含めている点で読む価値はあると思います。

  • 今までなぜか取っ付きにくかった「薩摩藩」。ここにきて、西郷どんの太か魅力が気になり手に取ってみた。タイトル通り、西郷さんを知るにはちょうどの一冊。西郷どんのことをよくご存知の方には物足りない感はある。

  • 明治維新により、徳川幕府が崩壊し、徳川家に集まる旧勢力を排除しても、明治維新の象徴としての西郷隆盛のもとに集まる薩摩支族をも排除しなければ、日本は前へ進めなかったのだろう。
    西郷隆盛は、決して軍人ではなく、情の人であり、時代に取り残された若者とともに、消えゆく宿命があったのだろうか。
    ただ、西郷隆盛のような政治家がもう少し長生きしたら、日本はどんな道を歩んだことか。

  • 幕末好きだけど、初めて西郷さんについて知った本。西郷さんについての概要を知るにはとてもよい本だと思う。薩摩弁がとっても耳に心地よい。西郷さん、坂本龍馬、長州藩の有志たち…日本の未来を憂う熱い人々…。本当に面白い時代。
    つい最近『一刀斎夢録』を読んだが、ここから色々構想を得たんじゃないか、と思うような箇所が多々あった。西郷さんをたたえた軍歌のこととか。でもこれは歴史家の中での共通認識なのかな?他の小説も読んで確かめたい。

  • 西郷隆盛の生涯のダイジェスト版のようなもの。

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著者プロフィール

池波正太郎

大正十二年(一九二三)東京・浅草生まれ。小学校卒業後、株式仲買店に奉公し、昭和十九年、応召により横須賀海兵団に入隊する。戦後、下谷の保健所に勤務するかたわら劇作に励み、二十一年「雪晴れ」で読売新聞社の演劇文化賞に入選。二十三年、長谷川伸の門下に入り、新国劇のために数多くの脚本を発表する一方、時代小説を執筆し、三十五年「錯乱」で直木賞を受賞。その後、「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」のシリーズを生み出し、五十二年に吉川英治文学賞、六十三年に菊池寛賞を受賞する。映画や音楽、食に関するエッセイも多数。平成二年(一九九〇)五月死去。

「2021年 『食卓のつぶやき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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