山本一力が語る池波正太郎 私のこだわり人物伝 (角川文庫 わ 11-1 私のこだわり人物伝)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年1月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041323427
感想・レビュー・書評
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冒頭文章は「初めての池波宅訪問」。直木賞を獲ったあと、文春出版局長から訪問の打診を受けた山本一力は、一もニにも快諾(懇願)した。それほど山本は池波ファンだった。しかし、その家に池波正太郎は不在だった。既に亡くなっていたからである。
‥‥というような文章が続く。
本の体裁はまるで池波正太郎読本の如しであるが、半分以上の記述は池波正太郎にかこつけた山本一力の半生になっている。
これは作家の業なのだろう。
ところで、
知らない人も多かろうが、私は池波ファンである。
読むべき本は読んだので
ブクログには数冊しか入っていない。
社会人として初めて東京に遊んだ時に選んだホテルが山の上ホテルだった。
池波の愛したホテルだ。
こじんまりとして格式があって、
お高い。
確かにひとりゆったりできる机があり、
丁寧に応対してくれるギャルソンがいて
そのためだけに数万円上乗せする。
ということを学んだ。
流石に部屋に池波の絵はなかったが
何か曰くありげな絵があった。
山本一力も
「粋」とは何かを力説する。
一度泊まったきりだったけど今から考えれば
何か大切なことを学んだ気がする。
知りたくもない山本一力の半生を聞き齧りながら
それでも作家、池波正太郎の「かんどころ」は
キチンと押さえて語る。
「酸いも甘いも分かった、ええ男」と褒めるご母堂
白黒の中間の色合い「融通」を座右の銘にする山本
おとながいた町を描き分ける力量
野暮じゃなくて粋を尊ぶ「男の財布」
「NHK知るを楽しむ 私のこだわり人物伝」のテキストを基に改稿・加筆した。
それは半分で終わり、後の半分は池波正太郎の短編三遍を載せる。
そのうちの一つは鬼平シリーズの魁となった「白浪看板」(『にっぽん怪盗伝』)。あとは、いつもの食エッセイ「食べる」(『男のリズム』)と「縄張り」(『江戸の暗黒街』)。
古本屋の80円棚で発見。
池波正太郎生誕100年ということで、出版や映画化が相次いでます。というか、随分前に亡くなったと思ってたけど、今1...
池波正太郎生誕100年ということで、出版や映画化が相次いでます。というか、随分前に亡くなったと思ってたけど、今100年というと、案外若死にだったんだな。
「藤枝梅安」二部作観ました。
面白かった。
あゝこの死生観懐かしい。
山本一力、私ファンを出来るだけ増やさない方針なので読むつもりはありません(人生は短く、読みたい本はあまりにも多い)が、昔気質の時代小説家で、もしかしたら希少作家なのかもしれません。