家畜人ヤプー (角川文庫 緑 334-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 223
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (652ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041334010

感想・レビュー・書評

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  • (1972.12.18読了)(1972.11.18購入)
    (「MARC」データベースより)
    2000年後の宇宙帝国「イース」。拉致された日本人青年と恋人クララの運命の逆転。倒錯の性を通して、謎の作家が描く地球崩壊、人類破滅の極限状況は…。

  • とにかく気持ち悪い。
    趣味がわるくて、お下劣極まりない設定を、これでもか!これでもか!という執拗さで説明してくるのが本当に気持ち悪い、すごい。
    もはや話はどうでもよくて、頭の中で練りに練った気持ち悪い設定を披露したいがために書かれた物語だと思います。実際、世界観が分かってきて物語はこれからってところで終わっちゃう。リンが葛藤を越えて完全にクララの所有物へと調教されちゃう過程をけっこう楽しみにしてたのに。
    あとがきを読むと、これを書いた人は本当に変態の人みたいでなんとなく安心しました。日本人をバカにしてるのか?とか、逆に鼓舞してるのか?と思ったりもしたけど、ただただ白人女性に家畜以下の扱いを受けることに気持ちよくなってしまう性癖の人だと分かって、なんだかほっとしました。

  • 本当はハードカバーでボックスつきの、すごく凝ったものを購入しました。
    もともとこの作品は文庫で読んでいたのですが、値段も高いのに古書屋でお取り置きまでしてしまいました・・・

    SMと一言でくくってしまえば「性愛」も入るのでしょうが
    そのようなものが低俗で、一瞬の快楽だけの簡単なものに思えるような壮大な「支配と隷属」の物語。
    エロスだけでは語れぬその精神性。
    与える喜びと、与えられ続ける者の本当の姿です。

    自分の中では手塚治虫の作品と並んで、自分の性格や考え方を作っています。
    その文化になじみのないコトヴィッツ嬢や我々からすれば非常に残酷ではありますが、もはやその「残酷」の通念すらない。
    ひたすらに崇拝し、身を尽くすことが喜びである世界。
    人の形をした「物」。
    これが世の中の真理だとすら、私は思っています。

  • 受動的安心感。

  • 2010/1/19読了。
    なんというか、凄い本である。
    ドイツ人女性クララと日本人男性麟一郎は恋人同士だが、西暦3970年の未来からやってきた円盤に拉致される。西暦3970年の人類は宇宙帝国イースとして栄えていたが、それは白人を貴族に頂き、その下に黒人が奴隷として仕え、さらにその下に日本人が家畜人ヤプーとして使われる社会であった。拉致されてわずか一日の間に、クララは貴族に、麟一郎は家畜にされていく。
    この家畜化が凄まじい。ブルース•スターリングもアレステア•レナルズも真っ青の生体改変が施され、生きた便器や家具として使われるというレベル。我々の文明が電気に支えられているように、イース文明ではありとあらゆるところに家畜が使われている。その様がこれでもかというくらい詳しく書き込まれているのだ。
    異様な世界観だが、非常に緻密に構築されていて、その完成度は凡百のファンタジー小説の及ぶところではない。壮大なスケールの「妄想科学小説」である。
    この角川文庫版はまだ序章に過ぎなくて、幻冬舎文庫だと続きがあるそうだが、もうお腹一杯でこれ以上は読めそうにない。

  • 「肉便器」の頻出ぐあいがすごい。
    時代を感じない作品。地下出版。

  • 帯表
    “悪夢的恐怖と官能の織りなす世界的大マゾヒズム小説”として、三島由紀夫・大岡昇平・埴谷雄高・奥野健男・澁澤龍彦・遠藤周作・曽野綾子・金井美恵子らの諸氏を瞠目せしめ異様な反響を呼んだ、幻の作者によるベストセラー
    〔巻末収録〕曽野綾子 或るけだるい午後の、二人の会話
    イザヤ・ベンダサン ヤプーに寄せる一つの印象
    帯背
    幻の作者による伝説的大幻想小説
    帯裏
    卓抜した発想と空想力、驚嘆すべき博識、類稀な面白さと気味悪さ・・・。幻の作家沼正三が、2000年後の宇宙大帝国イースを舞台に、白人女性の快楽の必需品となる日本人の後裔“ヤプー”を描いて、マゾヒズムの極地を展開する大幻想小説。この世界的奇書の出現は、読書界に異様な衝撃と大反響をまき起した。挿画十四葉付村上芳正筆

  • obtnd

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著者プロフィール

1926年3月19日福岡県福岡市生まれ。
本名、天野哲夫。
旧制福岡商業を卒業後、満州特殊鋼鉄株式会社に就職、帰国して海軍に入隊。復員後は、風俗誌にマゾヒズムをテーマにした原稿を投稿する傍ら、数々の職業を遍歴し、1967年、新潮社に入社。同社校閲部に勤務しながら、小説・エッセイを書き続ける。風俗誌「奇譚クラブ」の連載をまとめた『家畜人ヤプー』が戦後最大の奇書として話題となる。
2008年11月30日逝去。享年82。

「2012年 『劇画家畜人ヤプー4【復刻版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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