風の置手紙: 渚と澪と舵 (角川文庫 緑 348-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041348017

感想・レビュー・書評

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    ── 桐島 洋子《風の置手紙 ~ 渚と澪と舵 19730601 角川文庫》19730529
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4041348013
     
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19741210 板坂文庫(上) ~ 日本文学三六五日
     
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=19370706
     桐島姓の人々 ~ サバイバーズ・ギルト ~
     
    (20171001)

  • 結婚に幻想はいだいていなくて、自由を愛するタイプで、男の人も好きで、人間と冒険と世界はもっと好き、という人はこの本を読んだほうがいい。

    きっとこういうタイプであろう若い女の子に勧めてもらって、結婚後17年経った今読んだ。時すでに遅し、と思う気持ち半分、全く遅くない、と思う気持ち半分以上、という心境だ。

    1960年代にあって、結婚に対して、母であることに対して、これほどのびやかでいられる女性がいたとは、驚き以外の何物でもない。もしかすると現在のほうがかえってマスコミがつくりあげているイメージのしばりが強くそこからはみ出るという発想になりにくいかもしれないではあるが、ネットもなく通信手段も限られていた時代に、好奇心から発動する発想力、行動力、コミュニケーション力(人としての魅力のみならず、手紙などの連絡手段のマメさ)をもってして常識を軽々と覆してゆく幼い子持ち女性の旅の話は、自分の欲求を、時には無自覚に抑制してしまいがちな母や妻に、自己抑制はただ常識に安住して知恵を働かせるのをさぼっているだけだ、機転を利かせれば相当いろいろできるよ、と勇気を与えてくれる。

    幼子を抱えた彼女にスイッチが入ったその瞬間から旅がはじまってフル回転で画策・リサーチが始まる。彼女の好奇心は、能力だ。

    愛とか平和とか叫ばなくても、人間が大好きな彼女はきらきら輝いていて、まわりをどんどん味方にしていく。それでいて独自の意見や鋭い観察眼も持ち合わせており、旅先の洞察はユニークで切れがある。

    ベトナム戦争従軍記がとても面白かった。好奇心を満たすためだけに従軍記者になりすますための書類を偽造するという荒わざを着想しそれを軽々とやすやすと行い、蚊の襲撃や炎天下の行軍、爆撃機への同乗、命が危険にさらされる現場に突っ込んでいくタフさ。そして、ある程度の良識をもちながら、フラットに状況を観察するセンス。ヒッピームーブメントを生んだベトナム戦争反対の機運に対する、現場を見たものならではの見解。

    聡明さも行動力も機転も人に好かれる度合いも彼女の100分の1もかなわないけれど、それでも自分はごく洋子的な人間なのだと確認し、感動の内に本を閉じた。

  • (1976.02.14読了)(1975.03.01購入)
    *解説目録より*
    世界の〝海〟を棲家と自認する大宅賞作家・桐島の自由奔放な行動を通して、見た事、聞いた事、行った事など、女性ならではの繊細な観察眼と流麗な文学的筆致で綴るユニークな旅行記。3人の子供たちに対する細やかな母性愛と逞しい女性の行動と思想がマッチして、現代女性の「生」とは何かを改めて考えさせずにはおかないであろう。

    ☆関連図書(既読)
    「淋しいアメリカ人」桐島洋子著、文春文庫、1975.02.25

  • 勇気と抜群の日本語のうまさがどっしりした印象を作っている。

  • つよさをかんじる。
    自由であること。

  • 角川文庫と文春文庫でタイトルが違うらしく、2度読んでしまった。。
    桐島洋子の本はどれも面白いけれど、これが一番面白い!あとはマザーグースと3匹の子豚たちも名作。
    知恵と社交力とメンタルタフネスがあればどうにでもなる!という気になる。

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著者プロフィール

桐島洋子(きりしま・ようこ)
1937年東京生まれ。文藝春秋に9年間勤務の後、フリーのジャーナリストとして海外各地を放浪。70年に処女作『渚と澪と舵』で作家デビュー。72年『淋しいアメリカ人』で第3回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。以来メディアの第一線で活躍するいっぽうで独身のまま三人の子どもを育てる。娘のかれん(モデル)、ノエル(エッセイスト)、息子のローランド(カメラマン)はそれぞれのジャンルで活躍中である。子育てを卒業した50代から林住期(人生の収穫の秋)を宣言してカナダのバンクーバーに家を持ち、1年の3分の1はバンクーバーでの暮しを楽しんでいる。また70代からは自宅で私塾の森羅塾を主宰している。『いつでも今日が人生の始まり』(大和書房)、『残り時間には福がある』(海竜社)、『骨董物語』(講談社)、『バンクーバーに恋をする』(角川SSコミュニケーションズ)、『わたしが家族について語るなら』(ポプラ社)、『聡明な女たちへ』『50歳からのこだわらない生き方』(大和書房)など著書多数。
公式サイト http://www.yoko-kirishima.net


「2022年 『ほんとうに70代は面白い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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