幻燈辻馬車 下 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 82
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041356623

作品紹介・あらすじ

危機に陥ったとき、お雛が呼ぶと現れる干兵衛の息子・蔵太郎と妻・お宵の幽霊。2人に助けられながら、干兵衛はいつしか自由党壮士と明治政府の暗闘に巻き込まれていた。お雛との平穏な生活を望みつつも、会津藩士だった頃の自分を自由党壮士の姿に重ねて心揺れる干兵衛。そんな中"赤い盟約書"を巡って事態は急展開する!最後に干兵衛が選び取る運命とは…。激動する時代の波に翻弄される人々の悲喜を謳い上げた大傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 後半にはいり、干潟干兵衛が探し求めていた雛ちゃんのお母さんや干兵衛の奥さんの敵など謎がだんだんと明らかになっていく。
    幻燈辻馬車は連載小説だったが、1年間の連載期限内でストーリが完結できなかったとのこと。単行本出版の際に加筆してストーリを完結している。解説には連載終了時の「幻のラスト」も掲載されている。

  • 置き忘れたものを置いてくるために。

  • 奇抜な設定で明治という時代を描いた秀作。辻馬車屋の千兵衛とお雛の前に現れる様々な人物の人間模様を通して、依然江戸時代~幕末の遺恨を引きずっている明治10年頃の在り様が、見事なまでの活劇となって活写されている。千兵衛のヒーロー感もあって、印象としては続き物の紙芝居を見ているような感覚だった。実在の歴史上人物も多数登場し、飽きさせない。たぶん歴史の勉強にもなる(笑)。
    残念だったのは、「太陽黒点」や「明治断頭台」のように物語が最後に暗転するといった趣向がなく、2作と比べての衝撃が少なかったことと、トト様とババ様の幽霊が出てくることについての理由付けと説得力が欠けていたことだ。
    しかしこれ読んで、板垣退助の自由民権運動に対する見方が変わってしまったわ。世の中の正義と悪は、あくまでも相対的なものなのだな。勝てば官軍。なるほど、然り。

  • 上下巻を一気読み。
    吉川英治の『鳴門秘帖』に劣らぬ痛快伝奇ファンタジー。

    下巻ではお雛の母親や宿敵の正体も明らかになる。
    新世代の体制批判の若者たちに巻き込まれていく、老馭者干兵衛。大団円では終わらず、最後が印象的。

    エンターテインメントというより歴史を題材にした政治小説とも言える。イスラムだのカルト宗教のシンパと、赤軍派や全共闘世代、自由民権の壮士、そして幕末の志士。どれも本性は同じ。

  • 「幕末の志士たちが尊王攘夷を唱えたのに代わって、彼らは自由民権をうたった。ただ幕末の志士は成功したから志士となり、明治十年代壮士は挫折したからただの壮士となる。」

    この一文がこの小説を表している。全体を通して流れる虚無感、揺れ動く正義。その中でも山田風太郎の小説の持つ幽玄的な魅力は遺憾なく発揮されている。

  • 上下巻と読んだ上での感想.上巻と下巻とのあまりのタッチの差がありすぎて,山田風太郎がよくわからなくなる.後半が以前より抱いていた著者としての山田風太郎像に近い.”仕掛け花火に似た命”という表現はこの作品が初出ではないようだが,しっくりくるものとして使われている.

  • 幽霊だって、動揺します

    【内容】
    下巻は本筋にまつわる話がほとんど。
    自由民権運動の渦中に巻き込まれ翻弄される辻馬車。
    そして干潟干兵衛にとっての敵は?
    お雛の母は?
    謎はしだいに集約していきます。

    【感想】
    こうならないでほしいと考えていた方向にストーリーは進んでしまいます。いろいろと。
    宿敵たちが弱点をさらしだんだん小物に見えていったところは残念かも。もっとずっと手強い連中であってほしかった。
    にもかかわらず、なんやかんやとおもろかったのは否定できません。
    過渡期の混沌が混沌の熱を抱いたままぶっ飛んだ物語と化していました。
    妙に魅力あったのです。
    さすが、というか。

    (2013年01月03日読了)

  • 『蒔かれた一粒の麦は、いつか芽をふく、と信じて喃』

    奇才・山田風太郎の明治物。

    危機に陥ったとき、お雛が助けを叫ぶと現れる
    干兵衛の息子・蔵太郎と妻・お宵の幽霊。
    2人に危機を救われながら、干兵衛は自由党と明治政府の暗闘に巻き込まれ
    いつしか会津藩士だった自分の姿を自由党壮士に重ね…

    ついには赤い盟約書を巡り、運命の分かれ道に。

    歴史の隙間に織り込まれるファンタジーの妙
    想いの交錯するドラマチックな展開
    そして、ラストの盛り上がり

    さすが山風です。

  • 此度の復刊で雑誌連載時の幻のラストシーン掲載という情報を得て手にとってみたら、ニントモカントモ。 大仰なものではなかったけれど、何とも可笑しい内容ではありました。 久々に明治ものを読んでみますかね~

  • ラストへの盛り上がりと結末はさすが山田風太郎です。明治期の政界の混乱について良く知りませんでしたが、なんとなく夜明けといっても良いことばかりじゃなかったんだなー、と思うようになりました。会津藩士の悲劇は明治ものでよくでてきますが、いつも心が痛いです。

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2018年 『忍法双頭の鷲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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