- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041356685
作品紹介・あらすじ
北海道が一般の人にとって地の果ての島だった明治19年。薩摩出身の青年、有馬四郎助は月形の樺戸集治監の看守に着任した。そこは刑期12年以上の凶徒を集めた人間の運命の吹きだまりであった。正義感あふれる四郎助は、個性的な囚人たちが起こす奇怪な事件に厳しく対しようとする。だが、元与力のキリスト教教誨師・原胤昭との出会いがその運命を変え始め…。明治に生きる人々の姿をつぶさに拾い上げた圧巻の人間ドラマ。
感想・レビュー・書評
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山田氏に明治を書かせたら、ペンが千里を走る。こちらの頁をめくる手も早くなる。厚さ気にならず、爽快に一気読み。
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登場人物はほぼ(?)実在のようだが、エピソードは創作のようだ
有馬四郎助;日本の刑務官、社会事業家、監獄改良と行刑制度の確立に務め、少年釈放者の保護事業として家庭学園(横浜家庭学園)を設立。
原胤昭;明治時代のクリスチャンの実業家、浮世絵商、1898年に出獄人保護所を創立、囚人保護の事業に尽力。
樺戸集治監で有名な「五寸釘の寅」のエピソードも実際は「自分を可愛がってくれた叔父が博打の揉め事で殺され、そのあだ討ちとして叔父を殺した人物に刀を振るい家に火を放ったため」である
エピソードは創作でも、樺戸道路を作る際のことなどは実際だろう
なるほど… -
明治の北海道を舞台にした物語。実在の人物がでてくるが、話は筆者の創作。明治時代の様子を思い描ける貴重な作品だと思う。明治18年頃が舞台だが、御一新から20年近く経っても、北海道は一部に鉄道が走るとはいえ、未開の地。そんな場所に最重刑の囚人が収容される集治監(今の刑務所)がある。そこに赴任した主人公が、偶然赴任の途上で知り合った日本人教導師から「何でもよいから囚人の話を聞いてやってほしい」といわれた言葉を無視しようとしながらも徐々に話を聞くようになる。御一新で生活が一変してもがきながら生きる人の交々が哀しい。
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12-40
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きりきりしながら下巻に行こう。明治時代に詳しくないけど、分りやすい。
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去年、網走監獄博物館を訪れたので大変興味深く読ませていただきました。行く前に読んだらかんがいもひとしおだったかな。以外にも初山田風太郎。もっと読みたくなった。
著者プロフィール
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笑ってしまうというか、案外その通りだったのかもと考え直す。