- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041356692
作品紹介・あらすじ
囚人だって人間だ-と言う原胤昭の言葉が心にかかった四郎助は、いつしか囚人たちが引き起こす事件の内に、彼らの仁義や数奇な人生を見出すようになっていた。そんな中、ある因縁から罠に掛けられた原が命の危機にあると知る。彼を救うべく、四郎助は囚人たちを巻きこんだ大芝居を打とうとするが…。事実と創作を巧みに織り交ぜ、後の"愛の典獄"有馬四郎助の成長と北海道開拓史の一幕を活写した明治群像劇の名著。
感想・レビュー・書評
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①実在した伝説の強盗 ”五寸釘の寅吉” のエピソード。その波乱万丈の人生と、アメリカへ渡るという妻子への秘めた想い。
②「日本政府脱管届」を出してトラブルを起こし収監された綱木和三郎の壮絶な最期。彼をはるばる訪ねてきた恋人もそこで命を落とす。
③看守の堂目七郎次と囚人の畑寺、高戸の奇妙でトホホな長~い因縁。
④真壁看守長が囚人伊坂大五郎に非道極まりない仕打ちを加える。伊坂を愛するお竜は命を捨てて真壁に復讐を遂げる。
⑤西郷隆盛の体を貫いた三発の弾丸の出所とは? 看守の堂目七郎次と、ふたりの元壮士の囚人たちの思惑が交錯する。
⑥樺戸監獄の看守・有馬四郎助は、飲み屋(売春宿)に売られてきたお篠を助け出し、大雪の中、空知集治監の高野看守長の元に向かう。途中遭難しそうになるが、破天荒な謎の医者・独休庵の犬橇に命を助けられる。
⑦強姦殺人罪で空知集治監に服役中の”風穴の鉄”は囚人仲間の弱みにつけこんで脱獄に成功。すぐにひとりの女に目を付け襲おうとするが独休庵に阻止される。その後、逃げようとしたところを高野看守長に射殺される。
⑧キリスト教教誨師・原胤昭を追いかけて、東京からはるばる長加奈子が訪ねてくる。すると今度は彼女を連れ戻しに道庁初代長官で佐賀県令の岩村通俊がやってくる。岩村は加奈子が心酔する原胤昭を亡き者にしようと画策し、原を罠にかける。独休庵、有馬、元からす組の細谷十太夫、そして佐賀の乱で岩村を心から憎む元壮士の囚人たちは原を救うため、無謀とも思える計画を実行にうつす。計画は奇跡的に成功することになるがそこには、牢屋に生まれ牢屋で育った隻眼の囚人 ”牢屋小僧” の起こした「本物の奇跡」の力があずかっていた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最後の牢屋小僧の「奇跡」はやりすぎ(笑)
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明日の移動時間用に取っておこうと思ったのに、ついつい全部読んじゃった。
上、下(1)、下(2)の3部構成なのかなって思うくらい、下巻は今まで通りに進んでいった。
終わりは奇蹟が起きた訳ですけれども。
まあ、それはともかく。
色んな人がいて、いろんな出来事が合って読み始めると止まらない。
巻末に年表が合って、ちょっと嬉しい。勉強しないと。 -
去年、網走監獄博物館を訪れたので大変興味深く読ませていただきました。行く前に読んだらかんがいもひとしおだったかな。以外にも初山田風太郎。もっと読みたくなった。