魔界転生 下 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫 や 3-118 山田風太郎ベストコレクション)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (514ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041356708

感想・レビュー・書評

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  • 山田風太郎すごすぎるな…どれ読んでもハズレがない。柳生忍法帖に続く十兵衛シリーズ2作目。1作目では、敵より十兵衛のほうが圧倒的に強くて、最後まで余裕が感じられたけど、今回はかなり精神的ダメージを食らっているようでハラハラした。柳生忍法帖を読んだ身からすると、変わってしまった父と対峙するシーンが辛いな。
    どの戦いも迫力があったけれど、やっぱり武蔵との対決の描写が凄まじすぎる…沈みゆく島、真っ赤な夕陽、向かい合う武蔵と十兵衛の姿が目に浮かぶ。
    また、脇役の使い方もうまいなあ。前作は、坊様たち、今回は柳生十人衆。みんな死んじゃうから、残酷なんだけど、それぞれにちゃんと立派な最期が用意されている。
    今回の作品は特にそうだったけど、山田風太郎の描く戦いのシーンって一瞬で決着がつくな。そこに長く時間を割かない。なのにこんなに手に汗握るなんて。
    忍法帖の戦闘シーンって、スピード感があって、自分もその場にいるような、緊張感や迫力を肌で感じられる。たくさんのカメラがあちこちに配置されていて、あらゆる角度から描写されているような感じ。ほんとに天才だと思う。

  • 名だたる剣豪たちが魔界転生するまでが少し単調でしたが、魔人たちが転生衆として集って柳生十兵衛と相対するようになってからの盛り上がりが凄かった。
    研鑽を積んだ者同士、一太刀で勝敗が決する緊張感のある戦いを存分に味わうことができて、充足した思いに満たされています。

  • ヒロインを守る集団というパターンは他の忍法帖でも使われているが、今回も全員役に立って死んでくれる。

    魔剣士たちとの戦いも、必ず十兵衛がさまざまな工夫を凝らして1対1で倒す。おざなりにしている闘いはひとつもない。こういう隙のなさというか、こだわりが「さすが山田風太郎だなあ」とか「苦労したんだろうなあ」とかの感慨を催す。

    敵も味方も殺し合って最後にはきれいさっぱりになってしまう。それは哀愁でありカタルシスでもある。

  • 今まで読んだ忍法帖シリーズの中で一番読みやすかった。忍法帖シリーズはラストの描写が好きだ。
    十兵衛もかっこいいが、柳生十人衆の活躍も凄い。そして切ない。昭和前期の少年たちが親しんだ小説のヒーローはもしかしたらこんな感じだったのかな、と頓珍漢で勝手な思いを巡らせていました。

著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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