白い小箱 (角川文庫 緑 357-38)

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Amazon.co.jp ・本 (333ページ) / ISBN・EAN: 9784041357385

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  • 眉村卓の大人向けSF短編集。

    余興のゲームでちょっとした大当たりを出し、携帯ラジオでももらうかと白いイヤホンのついた景品を選んだ男。その白い箱からは、ラジオなど鳴らず「思ったとおりに行動したほうが良い」などと耳障りの良い声が常に流れていた。それを暗示と感じ、会社の会議などで実行したところ、成績も上がっていったが、ある日思いを寄せる同僚に「いつ会社をやめるつもりなの?」と切り出される…。

    眉村卓の、今や貴重なSF短編集。何しろバーコードすらついていな時代の文庫だ。小松左京や筒井康隆ほどハードでもなく、星新一ほどドライでもない、丁度いいウェット感でちょっとしんみり終わるSFは、非常に読んでいて気持ちが良い。

    趣味の冒険家を翻弄するWという人物の作品が2本ある以外は全く独立した作品群で、似たようなテーマというと『遠慮のない町』のような人間関係を壊すような、無遠慮な人が出てくる作品が多い。

    表題作のようなギリギリ現代でも通用する可能性のある程度の、不思議な未来の?アイテムのような作品はなく、全体に携帯電話などが出てこない分、現代でも通用するような作品ではないかと思う。

    裏表紙の見返しに、「眉村卓作品集」というリストが載っているが、バーコードもないためブックオフなどではPOS非対応で処分対象になっており、殆どが絶版という自体で、非常にもったいない。角川さん、なんとかしてくださいよ。

  • 収録作品一覧
    走馬燈/週刊小説  
    執筆許可証/小説推理  
    自動化都市/月刊エコノミスト  
    厄介者/月刊エコノミスト  
    出て下さい/短歌
    おお、マイホーム/問題小説  
    彼をたずねて……/小説現代 
    待っていた奴/小説現代  
    白い小箱/週刊小説  
    遠慮のない町/小説ロマン  
    迷路の町/小説ロマン

    「執筆許可証」「自動化都市」「出てください」はSFかな。
    「おお、マイホーム」「白い小箱」どちらかと言えばファンタジーかな。
    「走馬燈」「厄介者」は世代間の断絶を扱った普通小説。「走馬燈」で創作された若者言葉「バンザラ!」「ミラニタラ!」「ドヒンガラミ!」「イッカラコン!」「ウヒャラ!」「ブラバンバ! ヤ!」などのが眉村卓っぽくて楽しい。
    「彼を訪ねて…」「待っていたやつ」は、一般人に冒険を依頼する冒険家クラブという同じ設定を使っている。いずれもちょっと皮肉なオチがついている。
    「遠慮のない町」は遠慮のない町に友人を助けに行ったところ…というホラー風味の小説。
    「迷路の町」は、町そのものを迷路にした迷路大会が開かれる町をたまたま訪れて騒動に巻き込まれる夫婦。都会風をもたらす人物への反感が描かれている。

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著者プロフィール

1934 - 2019。SF作家。1979年に『消滅の光輪』で泉鏡花文学賞および星雲賞を受賞。また1987年に『夕焼けの回転木馬』で日本文芸大賞を受賞。代表作にジュブナイルSFの名作といわれる『なぞの転校生』『ねらわれた学園』などがある。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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