素顔の時間 (角川文庫)

  • 角川書店 (1988年2月10日発売)
3.50
  • (0)
  • (5)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 29
感想 : 3
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784041357507

みんなの感想まとめ

日常の中でふとした奇妙な出来事に遭遇する主人公たちを描いた短編集は、マジメに生きる人々に寄り添う作品です。各短編は、特別な存在ではない主人公が、さまざまな不思議な体験を通じて心の奥底にある思いを掘り起...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  帯に書かれている「マジメなわたしたちのための愛すべきSF傑作短編集。」というコピーが、この本の内容をよく言い当てている。

     この本には、点滅、逢魔が時、秋の陽炎、枯れ葉、素顔の時間、減速期、少し高い椅子という7つの短編が収められている。どの話も、これといって特別ではない主人公が、ある日、ちょっとした奇妙な出来事に遭遇する。それはまるで、今までマジメに生きてきた主人公に何か考えさせるためのきっかけのようなものなのかも知れない。

     例えば、『減速期』で主人公の楠田余一が最初に出会うのは、高校時代のクラスメートとそっくりの少女である。ただしその少女が自分と同じだけ年をとっていないこと、つまり当時のままの姿でいることがやや奇異である。

     それくらいの、誰にでももしかしたら経験できるかも知れない出来事から話が進んでいくところが、この本に収められている短編の共通した特徴かも知れない。

     大多数の一般人は、それなりにマジメに生きているはずだ。マジメに生きることは、当然のことだし悪いことではないのだが、それなりに疲れるのも事実である。そんな疲れた心を、この本が少しだけ癒やしてくれるかも知れない。

     癒やしというか、少しだけ夢が見られるという意味で言えば、『少し高い椅子』が私のお薦めである。二部上場会社の経理部で係長をしているバツイチの秋山誠一郎が、ある日突然、同期入社の企画部第一企画課長と入れ替わってしまう。バツイチの過去も消え、10歳も年下の妻と半年前に生まれた娘も突如現れる。

     あり得ないと思いつつ、こんな空想の世界にちょっとだけ心が癒やされる自分、それがマジメに生きてきた証のようにも思えた。

  • 点滅・・・所有欲は病気という教授
    逢魔が時・・・宇宙人から渡されたメダルは才能の証明
    秋の陽炎・・・道行く人の背中に色のついた陽炎が見える
    枯れ葉・・・借金から異世界へ逃げた?三段落ちかな。メタっぽい。
    素顔の時間・・・延伸時間には超能力が使える。割といいアイデア。ドタバタっぽいが、延伸時間と普通時間の意識のずれが大きくなって。
    減速期・・・過去の知り合いそっくりの人に立て続けに会って
    少し高い椅子・・・パラレルワールドもの。割とストレート。

    どの作品も、疲れた労働者が主人公。コピーライターや鉱山への出張などは著者の体験の反映か。

  • 素顔の時間 (角川文庫)

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1934 - 2019。SF作家。1979年に『消滅の光輪』で泉鏡花文学賞および星雲賞を受賞。また1987年に『夕焼けの回転木馬』で日本文芸大賞を受賞。代表作にジュブナイルSFの名作といわれる『なぞの転校生』『ねらわれた学園』などがある。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

眉村卓の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×