夢の虐殺 (角川文庫 緑 365-4)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041365045

感想・レビュー・書評

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  • 昭和46年初頭から、翌々年半ばまでに発表されたものから自選した短篇集。表題作ほか全六編を収めている。現在、森村作品群から五冊が「角川ホラー文庫」から刊行されているが、実際はただのサスペンスが選ばれている。本当にホラーと呼べるのは本書だろう。作者は"怨念の作家"と評されることがあるが、それはホテル勤務時代の非人間的な扱いへの遺恨に由来しているという。本短篇はそのような情性が存分に発揮された作品ぞろいになっており、作者だけが表現できる"凄み"が描かれている。

    表題作『夢の虐殺』と『高燥の墳墓』は山岳を舞台にしたもの、『高燥の墳墓』と『派閥抗争殺人事件』は40年代の猛烈社員ぶりが狂気に達している風潮を背景にしており、トリックを利かせた作品だ。『侵略夫人』『殺意の造型』『人間溶解』は完全にホラーで、憎悪の対象をどう葬り去るかに知恵を働かせているが、登場人物はいずれもものの見事にイッてしまっている。サイコな者がひとり混じると、周りがすべて染まってしまい、正常だった人間まで恐ろしい犯罪に走ることが現実にもあるが、そんな典型例である。

  • 悪くは無い作品ですが、薦めません。
    なぜならば、暴力表現が
    大半の作品に見られます。
    お世辞に女性には薦められません。
    (当方女ですが、眉をひそめたこと数回)

    ただし、表題作のみ
    純粋に秀逸でしょう。
    人の弱さ、脆さを実によく描写した
    作品なのですから…

    顔が青くなりそうでした。

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著者プロフィール

森村誠一
1933年1月2日、埼玉県熊谷市生まれ。ホテルのフロントマンを勤めるかたわら執筆を始め、ビジネススクールの講師に転職後もビジネス書や小説を出版。1970年に初めての本格ミステリー『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞を受賞、翌年『新幹線殺人事件』がベストセラーになる。1973年『腐触の構造』で第26回日本推理作家協会賞受賞。小説と映画のメディアミックスとして注目された『人間の証明』では、初めて棟居刑事が登場する。2004年に第7回日本ミステリー文学大賞受賞、2011年吉川英治文学賞受賞など、文字通り日本のミステリー界の第一人者であるだけでなく、1981年には旧日本軍第731部隊の実態を明らかにした『悪魔の飽食』を刊行するなど、社会的発言も疎かにしていない。

「2021年 『棟居刑事と七つの事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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