ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)

著者 : 夢野久作
  • 角川書店 (1976年10月1日発売)
3.71
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  • レビュー :451
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041366042

ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
    読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
    読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
    読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
    読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
    読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
    読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
    読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
    読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
    読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。




    ……いや、正直なところ、毎晩寝る前に読んでいたら、その間ずっとヘンテコな夢を見る日々が続きました。後半を徹夜で読んでいたら、始終微弱な吐き気に悩まされるハメになりました。はい。

    凄い本だった。
    読み終わった瞬間、再読が決定した。
    半分も理解できていない気がするが、以下感想。

    読み始めてすぐに衝撃を受けたのは、作者の言語感覚。「語感」というものをこれほど有効に利用した文章も珍しいのでは。カタカナをはじめ、三点リーダや大活字の使い方がとにかく巧い。「こういう表記をしたら、読者はこんな印象をうけるだろう」ということを知りつくしている感じ。字面を眺めているだけでその禍々しさに当てられてしまいそうだ。「脳」ではなく「脳髄」と書くからこそ成り立つ世界。

    その一方で、かなり笑えるワードチョイスを見せてくれるのも隠れたポイントかと。いや、だって、チャカポコチャカポコでアンポンタン・ポカンですよ?アタマ航空会社専用の超スピード機『推理号』ですよ?何という素敵なセンス。笑いを殺すためにほっぺたの内側を噛みしめながら読んだ。電車で隣に座ったおじさんの私を見る目が忘れられない。

    そして言わずと知れた構成の妙、もとい、妙な構成。
    率直に問いたい。読ませる気があるのか?上巻にチャカポコやら脳髄論文やら胎児の夢やらをあんなに詰め込んだお陰で、何人の読者が挫折すると思っているんだ。いくら何でも遺言書が長すぎるとは思わなかったのか。下巻に入ってからも参考人の供述責めかと思えば急にめちゃくちゃ読みにくい古文を交えてみたり、いったい何がしたいんだ。アハアハアハアハ……じゃ済まされないぞ。
    と、思わず声を荒らげてしまうような構成となっております。こればかりは、読んでみないと何とも言えない。いや読んでも何とも言えない。

    まさに幻魔怪奇探偵小説。本当に理解しようと思ったら、この本だけを繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し読むことになるんじゃなかろうか……。

    あれこれ書いてきたが、最後に未読の方々のために以下を強調しておきたい。決して読めない本ではない。かつての私のように躊躇っている方がいらっしゃったら、是非一度挑戦されたし。本書はきっと読書人生のうちで忘れられない一冊になるだろう。いろんな意味で。

    付記。
    大学の図書館で最後のページを読み終わってしばし呆然としていると、友人が後ろから覗き込んできて一言。「あ、それ中学んとき読んだわ。」……私は思わず彼女の顔をまじまじと見つめてしまった…………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。

  • 下巻。
    上巻のチャカポコタイムなんか目じゃないくらい読みづらい古文のターンあり読んでも読んでも終わらなくてまさにキチガイ地獄だったけど、最後ゾゾゾワァッと鳥肌が立って読み終わってみればわけわからんところも含めてとても面白かった。永遠に覚めない悪夢の無限ループに叩き落とされたような、読んでいて眩暈を覚えるような、すごい本だ。一度挫折したけどちゃんと読み返してよかった。
    精神に異常はきたしておりません。…多分。

  • 思い返せば、多くの本好きに漏れず、たしか中学生か高校生のころに角川文庫の上下巻を手にして、幻惑された。
    凄まじいことだけはわかるが迷宮入り。それは迷宮のままにして。
    高校生か大学生のころに松本俊夫の映画を見ていた。
    それから10年近くのうちに、散発的に夢野久作とは出会ったり別れたりを繰り返し。
    たとえばアンソロジー。
    たとえば映画。小嶺麗奈、浅野忠信、京野ことみ、黒谷友香が出演した石井聰亙監督「ユメノ銀河」モノクロ。SFっぽく翻案したものもあるとか。
    たとえば漫画。電脳マヴォ佐藤菜生「何でも無い」のウェブ漫画、佐藤大「脳Rギュル」、ドグラ・マグラについてはイースト・プレスの「まんがで読破」シリーズや、ドリヤス工房の「ドリヤス工場の有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。」とか。
    一番は実はラジオドラマ。例としては「死後の恋」「悪魔祈祷書」「何でも無い」「少女地獄 冗談に殺す」「少女地獄 殺人リレー」「瓶詰の地獄」などから都度都度衝撃を受けては遡って原作を漁ったり。
    と、実は十年以上二十年以下、ずっと夢野久作には触れ続けていた。
    ところ、いま読み返してみて驚く。
    「しっかり血肉化されている!」

    ざっくりあらすじを書けば、
    (1)めざめ、若林に導かれて(2-5)読み、(6)気づくと正木がいて語り、考え、また眠る。それだけ。
    そこそこあらすじを書けば、
    (1)めざめ、若林に導かれて読むのは、
    (2)「キチガイ地獄外道祭文ー一名、狂人の暗黒時代ー」
    (3)「地球表面は狂人の一大解放治療場」新聞記事。正木談。
    (3’)「絶対探偵小説 脳髄は物を考えるところに非ず=正木博士の学位論文内容=」記者による正木の聞き書き。アンポンタン・ポカン君が演説で代弁。
    (4)「胎児の夢」
    (5)「空前絶後の大遺言書―対象15年10月19日夜ーキチガイ博士手記」吾輩は遺書「天然色、浮出し、発声映画」(正木の見聞きしたものを映画として娯楽的に提示)
    (5’)画面上正木博士喋る。「法医学教室屍体解剖室大正15年4月26日」(下巻へ)「正木と若林の会見」
    (5’’)「心理遺伝付録…各種実例」「その一 呉一郎の発作顛末ーW氏の手記に拠るー 第一回の発作」「第一回の発作」「第一参考 呉一郎の談話」「第二参考 呉一郎伯母八代子の談話」「第三参考 村松マツ子女史談」「右に関するW氏の意見摘要」「右に関する精神科学的観察」(正木の筆)
    (5’’)「第二回の発作」「第一参考 戸倉仙五郎の談話」「第二参考 青黛山如月寺縁起」「第三参考 野見山法倫氏談話」「第四参考 呉八代子の談話概要」
    (5続き)「呉一郎の精神鑑定」「解放治療場に呉一郎が現れた最初の日(大正15年7月撮影)」「その2か月後(大正9年撮影)」「その1か月後」
    (6つまり1の続き)「どうだ……読んでしまったか」正木が話す正木VS若林。いつしか正木VS私の構図に。
    (6’)私の反逆を受けて正木は退室。私は外を歩いて帰ってくる。
    詳しいあらすじは、読書メモに。

    (1)から(5)まではだいたい憶えていたのだ。
    連想されるのは、
    たとえば中井英夫の諸作や埴谷雄高の「死霊」、北杜夫「楡家の人びと」、色川武大『狂人日記』などの小説たち、
    たとえば「セッション9」、スコセッシ「シャッターアイランド」、ギリアム「12モンキーズ」、イーストウッド「チェンジリング」、フォアマン「カッコーの巣の上で」、サドを題材にした「クイルズ」、といった精神病院を舞台にした数々の映画、
    思想においてはフーコー「監獄の誕生」や「狂気の歴史」、三木成夫「胎児の世界」など、など……。
    「何を見ても何かを思い出す」を信条としているとはいえ、ここまで連想されるとは。
    さすが集大成、作者の生きた20世紀前半を飛び越えて、古今東西あらゆる芸術のハブになりうる作品なのだ。

    「どうだ……読んでしまったか」という声が、不意に私の耳元で起った……と思ううちに室の中を……ア――ン……と反響して消え失せた。
    から始まる(6)以降。
    細部を憶えていないにせよ「血肉化しているので記憶しているかどうかは問題ない」段階で、すでにあった。
    つまりは迷宮が私に実装されていたのだ。
    迷宮は何度も迷宮として楽しみたい、から、私は誰か、真犯人は誰か、までを無理に断言しない。
    いつまでも先延ばししながら夢野久作の文体を享楽していたいから。
    (ここで連想したのは黒沢清監督「キュア」。)

    いずれまとめて夢野久作を。

    詳述はしないが連想する。
    「カリガリ博士」からの影響。
    ドストエフスキーの長広舌が生み出すカーニバル空間(バフチン)による時間の伸び縮み、
    夏目漱石「こころ」の長ーい遺書。
    人、場所、物、にズームアップすると面白そう。
    当時の精神医学や精神分析が最新潮流だったと。
    宮沢賢治の例もあることだし、文学と、精神医学および精神分析に始まる無意識の需要、さらには精神薬学がいかに精神分析や無意識を駆逐していったかといった精神医学史には、今後目線を注いでおきたいところ。

  • やっと上下読み終わった…(通勤時間だけとはいえ)二週間もかかった…。

    読み終わると面白かった、面白くなかった、と一言で言えない不思議な気持ち。ただただすごい。
    とはいえ上巻は辛かった…もう何読んでるのかわからない感じ。ただ途中からはぐっと話が進み出して入り込めた。

    上巻のあれこれも意味があったのかと。最後まで気になってた部分もあ!というタイミングで出てきて個人的にはすっきり。
    上巻なんども寝てなんども心が折れそうになったけど頑張って読んでよかった。
    わからないことも多くあるけれど、それはそれでいいのかなぁと。

    この作品そのものが、胎児の夢なのかもしれない。わかんないけど。というか、多分まだまだ私はちっとも理解できてないんだろうなと思う。
    …いつか読み直したくなるだろうな。でも多分ずっとずっと先になるだろう。

    さすが長年読み継がれる本だなぁ、すごいなぁ。

  • ああ、作者は天才だなあ、と思った。

    始終圧倒されたとの言葉に尽きる。

    こんな小説を書こうと思った人がいる事、
    そして書けた人がいる事に驚きを禁じ得ない。
    心理遺伝、細胞の記憶等、小説半ばに延々と登場する精神学者の論文の部分も、凄まじい発想力で緻密に作られている。
    これが一遍の小説の一部だなんて信じられない程に。

    ただ、後半ギリギリまで読者の予想を裏切り続けてくれたので、
    最後がなんとなくフェードアウトな感じがして
    収まりが悪かった。

    結局わたしも主人公も最初から最後まで何もわかっていない。
    しかし、そうやって読者の頭もぼやかすことが小説の狙いなんだろう。
    もう一度頭から読ませて、読者を無限にループさせることも狙いかもしれない。

    でも、人の目を眩ませて、
    いつまでたっても理解できないようにするのが趣旨の小説だろうなと思いつつ、
    実はコッソリものすごい秘密が文中に隠されているのではないかと、
    それを見つけ出せたりするんじゃないかと
    期待してしまうのはなぜだろうか。

    ああ、いつかもう一度読んでしまうんだろうなあ...と思う。
    転がされる主人公と同じく、
    自分も作者の手のひらで転がされているような気がするのに...。

    追記
    表紙のイラストについては賛否両論あるみたいですが、
    わたしはぴったりだと思いました。
    内容は確かに関係ないんですけど、雰囲気というか、エグさがぴったり合います。

  • 言わずと知れた日本三大奇書の一つ。
    奇書、だなんてどんなトンデモナイ本だろうとわくわくしながらページを繰っていくと……これは、確かに「奇書」の名を冠するに値する一冊。そしてとんでもない傑作だということがわかった。
    その奇怪な内容はひとまずおいておくとして。文体だけ見てとってもドグラ・マグラには圧倒される。有名な……ブウウ――――ンンンン………で始まる「私」の語りで綴られる文体が独特なのは言わずもがな、古文、漢文、寺の縁起文、リズム感溢れるキチガイ地獄外道祭文、堅苦しい論文調、新聞記事……もうとにかく多彩な文体が次から次へと現れてくる。作者夢野久作の頭脳恐るべき。
    解説によると「百科全書が、彼の驚嘆すべき博学の秘密だというのである。」だそうで。……百科事典ってあの百科事典? 古今東西の学術論文とかをたくさん読みまくったわけじゃなくて? とかなり困惑した。

    ただこの本、上巻を読み進めるのに非常に苦労した。下巻までいったらもう魔力にからめとられたかのように一気に読んでしまったのだが。
    個人的に辛かったのは「脳髄論」とか「胎児の夢」あたり。同じような主張が何回も何回も繰り返される……だけならともかく、肝心要のその主張にまで、異常な回りくどさのためになかなか辿り着かない。小石を一つ一つ積み上げて理解の階段を造り上げているかのような回りくどさ。この小説を理解するにあたって大事な理論で、かつ常人の常識外の理屈なので読者の頭に叩き込むのに慎重になりすぎた結果なのか、はたまた正木博士の人を食ったようなキャラクターを表しているのか……。

    ところでこの小説、「これを読む者は一度は精神に異常をきたす」という煽り文句でも有名だが、いやいや一度だって精神に異常きたしちゃったら困りますよとちょっとこわごわ手に取った。結果。精神に異常をきたした、と言っていいのかわからないが、かなりのショックを受けて夢にまでドグラ・マグラが出てくる始末。三日ばかりうなされた。と書くとこれから読む人の不安を煽るかもしれないが、恐怖のあまりにショックを受けトラウマになったというよりは、一つの完成された芸術を前にして衝撃を受け、数多の謎についつい考えを巡らせ、荒唐無稽なのにリアリティ溢れるこの世界にどっぷり没入した結果夢にまでみた、というのが実情だ。

    最期に。「私」が誰なのか、について様々な解釈が飛び交っているようで。
    私は「私」=胎児説を推す。その方があの巻頭歌で始まり、わざわざ「胎児の夢」論文にまでかなりのページを割いたこの物語が、綺麗にまとまるように感じるから。

  • ※上巻から移動

    一度は読んでおきたいと思っていたドグラマグラ。
    読後しばらく夢の中にいるみたいな感覚だった。このまま頭ぼんやりしたままだったらどうしようと思った。
    最初からもう少し素直に読んでおけばまだマシだったのかもしれない。この物語は多分疑いながら読むほど惑わされる。でも煙に巻かれたような感覚も合わせて、他にない良い読書体験で良かった。

    物語の構成の巧みさ。学術論文、縁起譚、それぞれが良くできてるというか、完成されてる。多才だ。非凡だ。鮮やかだ。
    古文ならまだなんとなく分かるからいいけど、もし由来記まで漢文で出てきてたら流石に心折れてたと思う。正木先生が日本語で説明してくれて本当に良かった。
    ウンザリしそうなほど長いキチガイ地獄外道祭文は、延々と同じリズムで書かれてるのが地味に凄い。

    今回電子書籍で読んだんだけれど、それが正解だった。文中検索が最高。紙の本だとこうはいかない。

    以下、気になるけど分からなかったところメモ
    ・若林博士が死体の取り替えを行っている時に看護婦服を持ち出してきてるのは何なの。(趣味なの?)
    ・巻物から感じた香水の匂いは?
    ・小使が一人であることが強調されているのは?←傍点打たれてる分解らないのくやしい

  • 上下通して言えることは、とにかく読みにくくて何度も同じ行を行ったり来たり。
    上巻を読み終えたらすぐに下巻に入らないとだれる。
    そして下巻の前半はひたすらに少年の夢中遊行についての考察になり、さらにだれる。笑

    が、下巻の呉青秀の話からは物語のつながりを感じられて、読み入ることができた。
    呉家にまつわる謎の絵巻物ができた経緯、そしてその物語の中にある謎の呪い。
    それによって起こった博士同士の確執。
    単純におもしろいと思ってしまった私は、頭がおかしいのかもしれない。
    後から知ったのだけど、あの絵巻物に書かれていた死体が腐乱していく過程の絵たち、九相図ってやつみたい。
    海外にはあまりない概念のようで、やはり日本独特の雰囲気のあるものってすごく魅了させられるなーと思った。

    しかしこれ、もう一度読み返さないとわけが分かりませんな。

  • 初読みから、約四半世紀。
    前に読んだのから、約十年。
    久々の再読(×5以上)。
    ディテールについては、ずいぶんと忘れている部分があったし、今回も新しい発見があった。
    さらに、今回は、時系列をまとめる等々で、付箋貼って、少し戻ったりしながら読んでみた。おかげか、作者が約十年かけ、その頭の中だけで整理、構築した緻密さ(当然、PCなどなかった時代)には脱帽するより他にない。
    スッキリ、結論付けられるタイプの探偵小説ではないし、???とした部分を何度も読んだ後でも、拭いきれないところも確かにある。
    読了後も、いったい、何なの?で終ってしまう方も多いだろうし、万民ウケする類いの作品ではないだろう。
    しかし、中味は、序盤の回りくどい、W氏とのやりとりを抜けると、和、中、洋…etc、取り揃えた。とんでもない極上の品々で構成された、まるで、最高の無国籍コース料理のよう。論文引用や、社寺縁起…等々。含め、文体だけでも飽きさせないし、ドレもソレだけで、成立しうる構成。
    無限ループだったのか?呉家末裔の胎児の夢だったのか?読む度に感じるコトが変わって行く。

  • 現実と悪夢の途方もない螺旋。巡るうちに脳みそを掻き回される。胎児よ胎児よ……。

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