- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041366042
作品紹介・あらすじ
昭和十年一月、書き下ろし自費出版。狂人の書いた推理小説という異常な状況設定の中に著者の思想、知識を集大成し、”日本一幻魔怪奇の本格探偵小説”とうたわれた、歴史的一大奇書。
感想・レビュー・書評
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読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
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読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
読み終わりましたが、精神には異常をきたしておりません。
……いや、正直なところ、毎晩寝る前に読んでいたら、その間ずっとヘンテコな夢を見る日々が続きました。後半を徹夜で読んでいたら、始終微弱な吐き気に悩まされるハメになりました。はい。
凄い本だった。
読み終わった瞬間、再読が決定した。
半分も理解できていない気がするが、以下感想。
読み始めてすぐに衝撃を受けたのは、作者の言語感覚。「語感」というものをこれほど有効に利用した文章も珍しいのでは。カタカナをはじめ、三点リーダや大活字の使い方がとにかく巧い。「こういう表記をしたら、読者はこんな印象をうけるだろう」ということを知りつくしている感じ。字面を眺めているだけでその禍々しさに当てられてしまいそうだ。「脳」ではなく「脳髄」と書くからこそ成り立つ世界。
その一方で、かなり笑えるワードチョイスを見せてくれるのも隠れたポイントかと。いや、だって、チャカポコチャカポコでアンポンタン・ポカンですよ?アタマ航空会社専用の超スピード機『推理号』ですよ?何という素敵なセンス。笑いを殺すためにほっぺたの内側を噛みしめながら読んだ。電車で隣に座ったおじさんの私を見る目が忘れられない。
そして言わずと知れた構成の妙、もとい、妙な構成。
率直に問いたい。読ませる気があるのか?上巻にチャカポコやら脳髄論文やら胎児の夢やらをあんなに詰め込んだお陰で、何人の読者が挫折すると思っているんだ。いくら何でも遺言書が長すぎるとは思わなかったのか。下巻に入ってからも参考人の供述責めかと思えば急にめちゃくちゃ読みにくい古文を交えてみたり、いったい何がしたいんだ。アハアハアハアハ……じゃ済まされないぞ。
と、思わず声を荒らげてしまうような構成となっております。こればかりは、読んでみないと何とも言えない。いや読んでも何とも言えない。
まさに幻魔怪奇探偵小説。本当に理解しようと思ったら、この本だけを繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し読むことになるんじゃなかろうか……。
あれこれ書いてきたが、最後に未読の方々のために以下を強調しておきたい。決して読めない本ではない。かつての私のように躊躇っている方がいらっしゃったら、是非一度挑戦されたし。本書はきっと読書人生のうちで忘れられない一冊になるだろう。いろんな意味で。
付記。
大学の図書館で最後のページを読み終わってしばし呆然としていると、友人が後ろから覗き込んできて一言。「あ、それ中学んとき読んだわ。」……私は思わず彼女の顔をまじまじと見つめてしまった…………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。下巻に入っても続く正木博士の長い長いふざけた遺言書、さらにその遺言書の中に組み込む形で、呉(くれ)家にまつわる因縁話=死美人の絵巻物の祟りで代々発狂男性続出、あるお坊さんがお祓いして仏像の中に封じ込めるも・・・という経緯がようやく明かされる。そんなわけで上巻終盤でようやく出てきた「呉一郎」の名前、なぜ呉一郎(20才)が、16才のときに実母を殺害し、さらに今回、従妹で許婚の美少女・呉モヨ子を殺害(未遂)に及んだのか、先祖代々の「心理遺伝」について追及される。
中国、玄宗皇帝の時代の天才画家・呉青秀(ご・せいしゅう)(※架空の人物)が、楊貴妃の侍女だった美しい妻を、皇帝を諌めるためという激烈な忠誠心から九相図(六図で挫折したけど)を描くための犠牲にするも無駄に終わり発狂、そこへ妻そっくりの双子の妹が現れてなんやかんやあって結局その双子の妹のほうが日本へ辿り着いて呉青秀の子を産み落としたのが呉(くれ)家の先祖、という、死美人絵巻の発端話が迫力があっていい。ここにリアリティがないとなぜ呉家の男子が代々発狂するのかに説得力がなくなっちゃうもんね。
そんなわけで長い長い遺書を読み終えた記憶喪失の青年は当然、自分こそが呉一郎では?と思うわけだけど(読者的にもここは一致で確定なんだけど)作中ではそうは問屋が卸さない。実はまだ生きてた正木博士と、腹黒い若林博士の対立関係が表面化、青年は両博士の思惑に翻弄される。
推理小説として、真犯人は誰かという部分に焦点を当てるなら、殺人自体の実行犯は呉一郎だけど、そうなるように仕向けた(心理操作した)人間が果たして誰なのか、そしてその実験は20年前から始まっていたと序盤から明言されている以上、その人物は呉一郎の誕生にも関わっているはずで、つまり彼の父親が誰であるかという問題とも密接にかかわっており、結局専門知識がありこの研究に死力を尽くしている正木、若林両博士のいずれかが、殺人教唆者であると同時に呉一郎の父親ということになる。
ただ、この小説自体の醍醐味は、犯人捜しではなく、小説全体の特殊な構造のほうにあると思う。もしかして「私」は、何度も10月20日を繰り返しているだけなのではないか?という、ループものSFとも解釈できるオチ、作中に登場する「ドグラ・マグラ」という小説ノート(おそらく作者は「私」自身)の存在による無限マトリョーシカ状況、そしてすべてが「私」の狂気が作り出した妄想である可能性(博士やモヨ子の存在すらも)など。
「胎児の夢」や「心理遺伝」の内容は、けしてキテレツではない現実に通用する説だと思うし、序盤は不審だった一郎の母親の行動などは謎が解けるにつれてきちんと伏線回収されるあたりお見事。モヨ子ちゃんは可哀想ですね。ずっと6号室で泣いてるだけだし。
余談だけど若林博士(大男で顔が長い)は出てきた瞬間から脳内キャストが嶋田久作でした。そもそも芸名の由来は夢野久作らしいし、再び実写化することがあるなら是非出演してほしい(笑)なかなかに過激な表紙絵作者は、俳優としてのほうが有名な米倉斉加年。耽美でデカダンで、バイロスあたりを彷彿とさせる。 -
下巻。
上巻のチャカポコタイムなんか目じゃないくらい読みづらい古文のターンあり読んでも読んでも終わらなくてまさにキチガイ地獄だったけど、最後ゾゾゾワァッと鳥肌が立って読み終わってみればわけわからんところも含めてとても面白かった。永遠に覚めない悪夢の無限ループに叩き落とされたような、読んでいて眩暈を覚えるような、すごい本だ。一度挫折したけどちゃんと読み返してよかった。
精神に異常はきたしておりません。…多分。 -
やっと上下読み終わった…(通勤時間だけとはいえ)二週間もかかった…。
読み終わると面白かった、面白くなかった、と一言で言えない不思議な気持ち。ただただすごい。
とはいえ上巻は辛かった…もう何読んでるのかわからない感じ。ただ途中からはぐっと話が進み出して入り込めた。
上巻のあれこれも意味があったのかと。最後まで気になってた部分もあ!というタイミングで出てきて個人的にはすっきり。
上巻なんども寝てなんども心が折れそうになったけど頑張って読んでよかった。
わからないことも多くあるけれど、それはそれでいいのかなぁと。
この作品そのものが、胎児の夢なのかもしれない。わかんないけど。というか、多分まだまだ私はちっとも理解できてないんだろうなと思う。
…いつか読み直したくなるだろうな。でも多分ずっとずっと先になるだろう。
さすが長年読み継がれる本だなぁ、すごいなぁ。 -
一番好き
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上巻読み終えたら
下巻も頑張ろうと思えるかも
下巻は読み始めたら、早い
のめりこみつつも、
完全に飲み込まれないように読むのがコツ -
「これを読む者は一度は精神に異常をきたすと伝えられる」
この意味が全て読んでからちょっと分かりました。
狂った人の行動を見て狂いそうになる、ってのとは違って自分の内面にどこまでも入って行きそうな怖さ。
つきつめると
私は誰で君は誰
母親の胎内にいる間に私は何を見……ああああああっ!
とまでいきそうになる。
ラストは衝撃でした。
終わってから上にある論文もまた読み返したくなってまさに繰り返しです…
このような一筋縄ではいかない怪奇本、大好きです。
そして文庫版の解説を読むと無性に欲しくなってしまう
「百科事典」
じゃあ百科事典さえあればもう人生無敵じゃない?とすら思えてしまうこの単純思考はどこの時代の誰の遺伝だろうか絶対買おう百科事典。
著者プロフィール
夢野久作の作品






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