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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784041366059
作品紹介・あらすじ
可憐な美少女・姫草ユリ子は、接触するすべての人間に好意を抱かせる天才。その秘密、常識離れした虚言癖にあった。自分を偽り、虚構の世界を生き続けた少女が、最後に選んだ道とは……。
感想・レビュー・書評
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夢野久作の命日
遺作は「ドグラ・マフラ」…まだ読めてない
「少女地獄」は 美しい少女達の変質的な人生
3編
「何でもない」
医院を開業した医師の元に19歳の少女が看護婦を希望して現れる
彼女は可愛く、優秀、そして気遣いの人
申し分ない女性だった
しかし、彼女のその姿は全て虚構
あらゆる手段を使い嘘をつき通す
最後にその嘘が発覚するのだが
この少女の嘘は切ない
彼女の妄想する自分は空想の中
「殺人リレー」
友人のバスガイドが運転手に結婚詐欺に合う
殺人まで犯した男に、なぜか惹かれていく少女
「火星の女」
遺書的手記で真相を綴るのは
女子高生の焼身自殺、校長の失踪、女教師の自殺
金と色にまみれた校長に復讐を遂げる女生徒
この女生徒のニックネームが火星の女
今も昔も 少女達は大変
他は割愛 -
乙女たちの、それぞれの地獄。
おかしくも我が身を振り返ったり、ゾワっとしたり。
私たちはいつの間にか、ある地獄に足を踏み入れていたりするのかもしれない。 -
人間の怖さや陰は時代とともに儚げに変わるものもあれば、時代背景でこんなにも影響を与えるのだなと考えさせられました。
火星さんと呼ばれた少女は
ルッキズムや人と違うところなどに焦点を合わせず
男性の道徳観念に関してに怒りを覚えたのも面白かったです。
「火星の女の置き土産、黒焦げ少女の死体を受け取りください。
私の体は永久にあなたのものですから。」
この言葉から炎のように赤い怒りを感じました…… -
最初文章に慣れるまで少し時間がかかったが、全編通じて独特な雰囲気を感じた。
もぅ少し夢野久作の作品を読んでみたいと感じた。 -
表題は3篇を含む若い女性を主人公とした書簡体小説。その他の短篇と合わせ、実質6篇の短篇集。約260頁。
「何んでもない」(少女地獄)
耳鼻科医の臼杵から同業の白鷹へと送られた手紙から、開業したばかりの臼杵のもとで看護婦を志願した美しい姫草ユリ子が巻き起こした事件の顛末が語られる。病的な嘘つきのユリ子はいわば承認欲求の塊ともいえる。言葉遣いや雰囲気は時代差もあって現実離れしているが、テーマとしては今日的で身近に読める。臼杵と同じく、ユリ子を憎むような気持ちは起こらず、哀れを感じた。
「殺人リレー」(少女地獄 P97~)
バスの女車掌であるトミ子が、同じく女車掌になりたい希望をもつ友人への手紙という形でトミ子の身に迫った危険が綴られる。はじめに、トミ子の別の友人であるツヤ子からトミ子への手紙が紹介され、恐ろしい裏の顔をもつある男についての警告にはじまる。少し尻すぼみな印象。
「火星の女」(少女地獄 P120~)
冒頭は手紙ではなく、女子校の廃屋に近い物置の火事跡での少女の焼死体の発見と、直後に起きた同校の校長の失踪し、女教諭の自死、教頭による学園の資金持ち逃げといった一連の事件を報じる新聞報道にはじまる。つづいて、焼死した張本人である「火星の女」こと甘川歌枝の遺書によって、歌枝が死を決意するにいたるまでに起きた出来事と学園の暗部が明るみに出る。かなり動きが大きく、かつ後味の悪い作品。
「童貞」
肺病で死にかけて街をさまよっている若い男が、偶然から話しかてすぐに去っていった幻のような女性に一目ぼれをする話。明確なオチもなく、本書中もっとも不思議な作風。主人公が童貞であることはあまり内容に関係ない気もする。
「けむりを吐かぬ煙突」
新聞記者である主人公による事後の独白。記者の男は世間で評判の良い未亡人を疑い、周囲を嗅ぎまわっている。夫の死後、未亡人が住む邸宅の図書館には煙突が取り付けられていたのだが、その煙突が冬のあいだに煙を吐くことは一度もなかった。記者は家政婦を手がかりに、未亡人の身辺に関するある証言を手に入れる。ミステリに分類できる作品は、未亡人の謎とあいまってバランスの良い一篇と思える。
「女坑主」
元女優であり、妾から本妻に取って代わったあとに夫の急死によって炭坑主となった新張眉香子を中心に据えた作品。主人公である青年は、政府の指示により海外で敵国の対立を誘発する目的でダイナマイトを所望するために、眉香子のもとを訪れている。豪放な眉香子はこれを快諾するのだったが、青年を引き留めて帰そうとはしない。眉香子の劇画的なキャラクター描写を味わうための作品。
著者作品を読むのは今回がほぼ初めてだった。過去に読んだなかでは江戸川乱歩に近く、寓話的な乱歩の作品をリアル寄りに詳細化した作風という印象をもった。ストーリーの特徴としては、「童貞」を除いてはいずれも、ワイドショーが喜んでネタにしそうな事件を扱っているという点で共通している。姫草ユリ子をはじめ、全般に女性キャラクターの描かれ方に強い印象が残る。会話文をはじめとして作品に漂う雰囲気から、過去の日本をノスタルジックに体験する楽しみもある。 -
姫草ユリ子が自殺した。臼杵先生は、彼女の出会いからついた虚構まで、同じく翻弄された白鷹先生に手紙で語ってゆく。可憐で、美しく、誰からも好かれる姫草ユリ子。彼女の「何でも無い」人生の物語である。「何でも無い」の他に、「殺人リレー」「火星の女」の計3篇が収録。
「ですから彼女は実に、何でもない事に苦しんで、何でもない事に死んでいったのです。彼女を生かしたのは空想です。彼女を殺したのも空想です。ただそれだけです」
「何でも無い」というタイトルが秀逸。自分にとっては大変に重大で特別なことも、誰かにとっては何でも無いことなのかもしれない。
個人的には「火星の女」がゴシック文学・幻想文学っぽくてかなり好みです。決して麗しい少女ではない甘川だからこその物語。 -
短編集。『少女地獄』が読みたくて。
可憐で看護師として天才的な手腕を見せる少女・姫草ユリ子。「無鉄砲とも無茶苦茶とも形容の出来ない一種の虚構の天才である彼女」は嘘を嘘で重ね、言い逃れのできないところまで突き進んでいきます。
医師で語り手の白杵もその妻も、彼女に惑わされ混乱させられた言わば被害者です。しかし妻をはじめ周囲は彼女の不思議な魅力に魅せられ、怒りを見せるどころか許し世話を焼こうとします。
ユリ子のまるで悪気のない「純真無垢」な振る舞いと「天才的虚構」に読者も翻弄されます。最後まで読み、たしか冒頭で既にユリ子は……と思い出しつつも、何故か腑に落ちません。知らない土地で、小悪魔的微笑を醸しながら天真爛漫に逞しく生きる彼女をつい想像してしまいます。 -
虚言癖の姫草ユリ子のインパクトがとにかく強かった。
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やっと読了。昔買った本だが、挫折してたかも…記憶がない。少し贔屓目にみてなかなかでした。カタカナ使いも雰囲気がある。登場する女子たちを想像して(特に童貞)おかしくなった。
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虚言癖への当たりキツいな。赤として密告って酷すぎん?
別に人を傷つけた訳じゃないのにね。
嘘であろうとも信じていれば現実なんだろう。
いま、感想を書いていて、何故か姫草の肩をもってしまう自分に気づいた。読者も織り込んでしまう「姫草」と云う虚構、魅力的です。 -
翻弄しているようで、翻弄されている。
翻弄されているようで、嘲笑っている。
振り回されて、傷つけられて、その上で見せる恐ろしく強い意志。
かたや、最初から最後まで手玉にとっている。
通り一辺ではない、表裏一体な「少女」「女性」たち。
同じ女性としてツラい展開もあれば、ニヤリとする展開もある。…一気に読むとドッと満足感と疲労感!
固定観念的な性差を避ける時代だけど、どこかこの男女の「断絶」はいつの時代も在るんだろうなぁ、と思ったり。 -
狂気と儚さが共存している感じがクセになる。
ドグラ・マグラを読んで、衝撃受けてから欲するようになった作家。
「本当」に触れてるようで、触れられてはいない感じがハマる。中毒性あり。 -
角川文庫の限定カバーに惹かれて手に取りました。
ドグラ・マグラが大好きなのですが、夢野久作はこういう「如何して事件が起きたのか」よりも「事件を起こすに至る心理」の描写が非常に上手だなと感じました。
本書に於いては、全篇に於いて女性の狂気を取り上げている内容でしたが「恐ろしさ」「醜さ」よりも
私個人が女性だからということもありますが「女性の強さ」を夢野久作のメッセージとして感じ取りました。
男尊女卑などという言葉もありますが、今でこそ社会的立場が確立されつつある女性に対して
本作が発刊された時代などはまだまだ男性優位であったことと思います。
「火星の女」は今ではセクハラに該当するような話ですし、女車掌や女炭坑主など女性が輝く未来を象徴しているかのように思えました。
この時代に強い女性を描写したこと自体が前衛的で
やはりとんでもない才能の持ち主だなと改めて感じました。 -
美しいと醜いは似てるのかもしれない。
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太宰治と夢野久作は、同じ「少女」を題材にしていますが、まったく異なる鏡の中に彼女たちを映し出しています。
『女生徒』(太宰治)
これはまさに、少女の「内面の純度」を丁寧にすくい上げた作品です。羞恥、憧れ、自己嫌悪、ささやかな虚栄心、死と生の間を漂うような感受性が見事に描き出されています。
一見、何気ない日常を綴った一人称日記風の語りが続きますが、その中には「少女」であることのもろさと、同時にどこか気丈で背筋の伸びた誇りのようなものが垣間見えます。太宰自身がこの「女生徒」の語り口を模倣しながら、どこまでも真摯に「少女になりきる」ことで、ある種の理想化された少女像を創り出しているとも言えます。
『少女地獄』(夢野久作)
対してこちらは、「少女」という存在に潜む、欺瞞・執着・欲望・混乱を容赦なく暴き出していきます。三つの短編からなる本作では、少女たちは皆どこかずる賢く、哀れで、滑稽で、破滅的です。特に「何んでも無い」では、自己愛と虚栄に取り憑かれた少女が自滅していく様がグロテスクなまでに描かれます。
夢野は、少女の「無垢さ」を信じていません。むしろ、「純粋さ」そのものが狂気の温床になりうると見ています。太宰が「少女=内面の繊細さと可憐さ」をすくい取ろうとしたのに対し、夢野は「少女=醜悪な社会的欲望の写し鏡」として描いているとも言えます。
太宰の少女は、「なることができたかもしれない少女像」であり、夢野の少女は、「なってしまうかもしれない少女像」。
両者はまるで、光と影の補完関係のようです。太宰が「少女の尊さ」を描くことで昇華しようとしたものを、夢野は「少女の醜さ」を描くことで暴こうとしました。どちらも「少女」という仮面の内側にある、人間のどうしようもなさや愛しさを突いているからこそ、今も読まれ続けるんだと思います。
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心理描写がズマ抜けて素晴らしい。初めて夢野久作の書いた作品を読んだけれど、面白い位にどタイプだったので他の作品も読んでみたい。
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もっと古臭くて読みづらいかと思ったけど全然そんなことなくて面白かった。
特に表題作の中の「何でも無い」と「殺人リレー」が良かった。姫草ユリ子みたいな娘がほんとにいたらちょっと怖いけど、何故だか人を惹きつける魅力があるんだろうなぁと思った。
遺書が十二月三日の日付になってるのもよかった。
なんだかユリ子には生きていて欲しいなぁと思った -
初・夢野久作
想像していたより読みやすく世界観も好きだった。 -
自分の居場所を作るために吐く嘘が、逆に自分の居場所を失くしていくという矛盾。
それを回りくどく哀れに描かれて面白かった。
火星の女は、自己満足に終始し、思ったより復讐できてないように感じた。
全ての話において、死んでしまえば後は関係ないという無責任さに、人間らしさを感じずにはいられない。
著者プロフィール
夢野久作の作品
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感想 :

「地獄少女」ならさまざまな媒体でハマりましたが、「少女地獄」ですか、、
読んでみたいです!
「地獄少女」ならさまざまな媒体でハマりましたが、「少女地獄」ですか、、
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変な方向に想像しないでね
変な方向に想像しないでね
了解です!
了解です!