少女地獄 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 4368
レビュー : 400
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041366059

感想・レビュー・書評

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  • 角川文庫の限定カバーに惹かれて手に取りました。
    ドグラ・マグラが大好きなのですが、夢野久作はこういう「如何して事件が起きたのか」よりも「事件を起こすに至る心理」の描写が非常に上手だなと感じました。

    本書に於いては、全篇に於いて女性の狂気を取り上げている内容でしたが「恐ろしさ」「醜さ」よりも
    私個人が女性だからということもありますが「女性の強さ」を夢野久作のメッセージとして感じ取りました。

    男尊女卑などという言葉もありますが、今でこそ社会的立場が確立されつつある女性に対して
    本作が発刊された時代などはまだまだ男性優位であったことと思います。
    「火星の女」は今ではセクハラに該当するような話ですし、女車掌や女炭坑主など女性が輝く未来を象徴しているかのように思えました。
    この時代に強い女性を描写したこと自体が前衛的で
    やはりとんでもない才能の持ち主だなと改めて感じました。

  • 15.05.06
    青空文庫なので、「童貞」は読めてない。
    好きなんだよなあ、この作風、言葉選び、テンポ、ストーリー。夢野久作の作品はどの女性も特徴的で、危うくて、怖くて、でも可愛らしさがあって、悲しくて、すごく魅力的なんだなあ。

    少女地獄(「何でも無い」「殺人リレー」「火星の女」)、「けむりを吐かぬ煙」、「女坑主」どれも好き。
    飛び抜けて好きなのは「火星の女」かなあ。映像化して欲しいくらい。切実で息苦しくて悲しい話。
    少女地獄はすべて書簡式なのも好き。夢野久作の作品だとよくあるけど、語りかけてる書き方、すごく好き。普通より綺麗に感じる。

  • なんでもない。
    虚言癖?
    比べものにならないけど、わたしにもあるかもしれない。
    他の人にはないのかな?
    あれ、わたし今なんでこんなペラペラと本当のことのように話したの?って瞬間。ないのかな。それならなんか、この話も自分自身も怖い!

  • タイトルからして、毒々しくて艶かしい。夢野久作作品、初挑戦。

    少女地獄の中でも、人気が高い「何んでも無い」がやっぱり良かったー。病的なまでに嘘を吐いて生きる娘。最初は読んでて腹が立ったけど、よく考えたら寂しい人だし、憎み切れなくなる。あっ、しまった!私、同情してる!(同情させられてる…?)
    こんな巧く嘘が言える人は中々いないんじゃないかな。しかも名演技!
    す、すごい…。
    どうしようもない嘘つきだとバレると追い出されて、結局は一人ぼっちになる。彼女の嘘に悪意が感じられない。ただ生きようとすると、なぜかこうなっている…これはどうしようもないことで、彼女は可哀相な人だと思ってる私がいる。いやでも、実際こんな人が近くにいたら嫌だなぁ。
    ユリ子は、彼女は生きてると思う。

    火星の女は最後がいい。復讐心に満ちた女が、その運動神経抜群な体を吊るしたり、飛んだり、走ったり。あれ、これアクション小説?ってなるスピード感。

  • 夢野久作にハマって「ドグラ・マグラ」「瓶詰めの地獄」と読み3作め。

    この作者の世界観が大好きです。女性達も魅力的。
    楽しく読み進めましたが「瓶詰めの地獄」の方が好みでした。

  • 書簡体の形式をとった作品が目立つ、短編集的な作品。大正~昭和期の文体が好きな自分としては全体的に楽しんで読むことができた。
    登場する少女(女性)達の持つ性癖、宿命が示す結末がどれも耽美的であったり、残酷さを合わせている。

  • 先に太宰の人間失格を読んでしまったので、それと比較するのもおかしいけれども、一感想として・・・。

    太宰の登場人物は社会に道化している自責から、精神を病んでいった訳だけど、夢野久作の登場人物は生活様式に狂わされている感じが色濃く出ていた。
    情緒深く、信心深く、人を信じ、疑い、妬み、憧れる人ほど次から次へと言う事を変えていく信じた分だけ現実に裏切られ、また信じれるものを探して自己を偽っていく。それになんの罪悪感も抱かない。特に女と言う生物は。聖職者と呼ばれる人もそうであったし、空想が少女を殺すというのも「言われた事、振る舞いを何の根拠もなく信じる」生活様式に狂わされたのだろうと推測する。若くして死んだ少女を清らかな存在にしたいと言う気持ちが、ここまでの虚構を生み出すとすればそれは勿論作者の才能だろう。個人的には社会を愛せない道化を描いた太宰の作品を評価したい。ので星三つ。文学としてアリだと思う。

    因みに「童貞」は女の私でも分かる内容で、「これをやりとげなければならない」と言う脅迫概念じみた発想が、私にも在るのだと言う発見になった。オススメは出来ないが、迷う、惑う心のある人達には一度読んで欲しい一冊。

  • 夢野久作初読み。『ドグラ・マグラ』が奇書というイメージが強すぎて、なんとなく敬遠していたのだけど、案外読みやすかった。書簡形式なので読みやすい。嘘をうそで塗り固めていく危うい少女が描かれている。いつか『ドグラ・マグラ』にも挑戦してみようと思った。2013/128

  • タイトルは少女となっているが、物語上では20代前半位の虚言症の女性の話を、夢野の独特なタッチで描いた中編の傑作。

  • 何んでも無いが特に印象深いのだが、臼杵氏の「何でもない事に苦しんで、何でもない事に死んで行ったのです」というフレーズは、年齢を詐称していた姫草ユリ子がやはり少女であることの傍証となっている。

    大人にとっては何でもない事、すなわちユリ子が作り上げた虚言、虚構に依拠し、命をもかけてしまうことが、夢野久作が考える少女たらしめるものであったのだと思う。

著者プロフィール

明治22 (1889)年1月4日福岡に生まれる。本名杉山泰道。幼名直樹。法号萠圓。父杉山茂丸は近代における政界の黒幕といわれた。旧制修猷館中学を卒業後、近衛歩兵連隊に入隊。慶応義塾大学に入学後、大正2(1913)年に中退。放浪生活ののちに出家し、僧侶となる。大正6(1917)年に還俗し、父の出資による農園を経営する傍ら執筆を開始。結婚し、喜多流の謡曲教授となる。大正8(1919)年に九州日報に入社、記者となる。大正15 (1926)年に「あやかしの鼓」を発表し作家活動を始める。昭和10(1935)年「ドグラ・マグラ」を出版。昭和11年(1936)3月11日逝去、享年47歳。

「2019年 『定本 夢野久作全集 第6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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