少女地獄 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 4898
レビュー : 411
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041366059

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。『少女地獄』が読みたくて。
    可憐で看護師として天才的な手腕を見せる少女・姫草ユリ子。「無鉄砲とも無茶苦茶とも形容の出来ない一種の虚構の天才である彼女」は嘘を嘘で重ね、言い逃れのできないところまで突き進んでいきます。

    医師で語り手の白杵もその妻も、彼女に惑わされ混乱させられた言わば被害者です。しかし妻をはじめ周囲は彼女の不思議な魅力に魅せられ、怒りを見せるどころか許し世話を焼こうとします。

    ユリ子のまるで悪気のない「純真無垢」な振る舞いと「天才的虚構」に読者も翻弄されます。最後まで読み、たしか冒頭で既にユリ子は……と思い出しつつも、何故か腑に落ちません。知らない土地で、小悪魔的微笑を醸しながら天真爛漫に逞しく生きる彼女をつい想像してしまいます。

  • 狂気と儚さが共存している感じがクセになる。
    ドグラ・マグラを読んで、衝撃受けてから欲するようになった作家。
    「本当」に触れてるようで、触れられてはいない感じがハマる。中毒性あり。

  • 角川文庫の限定カバーに惹かれて手に取りました。
    ドグラ・マグラが大好きなのですが、夢野久作はこういう「如何して事件が起きたのか」よりも「事件を起こすに至る心理」の描写が非常に上手だなと感じました。

    本書に於いては、全篇に於いて女性の狂気を取り上げている内容でしたが「恐ろしさ」「醜さ」よりも
    私個人が女性だからということもありますが「女性の強さ」を夢野久作のメッセージとして感じ取りました。

    男尊女卑などという言葉もありますが、今でこそ社会的立場が確立されつつある女性に対して
    本作が発刊された時代などはまだまだ男性優位であったことと思います。
    「火星の女」は今ではセクハラに該当するような話ですし、女車掌や女炭坑主など女性が輝く未来を象徴しているかのように思えました。
    この時代に強い女性を描写したこと自体が前衛的で
    やはりとんでもない才能の持ち主だなと改めて感じました。

  • 美しいと醜いは似てるのかもしれない。

  • やっと読了。昔買った本だが、挫折してたかも…記憶がない。少し贔屓目にみてなかなかでした。カタカナ使いも雰囲気がある。登場する女子たちを想像して(特に童貞)おかしくなった。

  • もっと古臭くて読みづらいかと思ったけど全然そんなことなくて面白かった。
    特に表題作の中の「何でも無い」と「殺人リレー」が良かった。姫草ユリ子みたいな娘がほんとにいたらちょっと怖いけど、何故だか人を惹きつける魅力があるんだろうなぁと思った。
    遺書が十二月三日の日付になってるのもよかった。
    なんだかユリ子には生きていて欲しいなぁと思った

  • 初・夢野久作

    想像していたより読みやすく世界観も好きだった。

  • さて嘘とはどういうものか。少女地獄にはびこるのは嘘、虚構、欺瞞。果たして嘘つきは、嘘をつくことができるのだろうか。嘘をつくためには嘘が嘘であるという点が真実でなければ嘘になりえない。
    そんな嘘をつきとおす正直者たちが紡ぐ3つ物語。この3つが何の脈絡なしに並んでいるとしたら、なぜ地獄になるのか。ひとつの嘘という真実がこの3つを貫いているのだ。火星の女は姫草ユリ子の手紙を届ける者として、素性を偽るバスの男運転手として、姫草ユリ子は殿宮アイ子として、友成トミ子として転生する、まるでそれは地獄のよう。どこにもない虚構の世界だから、どこにでも生まれえる。地獄とは無限の転生のことなのだと思う。
    『童貞』『けむりを吐かぬ煙突』はグロテスクなもので煙に巻いているが、純真であることや理想というものは、最も穢れていることに等しいということのアイディアスケッチのように感じられる。清浄と汚濁とはコインの裏表である。どちらも単一には存在しえない。それをたまたま、男女という性別に背負わせている。男女の埋めがたい断絶ではなくて、この清浄と汚濁が等しく互いを維持しているということを性別に役割として振る舞わせている。彼らが背負った役目こそが、埋めがたい断絶なのだ。
    『女坑主』は恐らく外向けというか何かテーマが与えられて書いたもののように感じられる。語りも構図も夢野にしては単純で、実に何の含みもなくめぐらされた陰謀が展開していく。彼の場合、大衆小説を書いて売る気になれば多分どうにでもなったのだろう。小説家として売れることより、考えることに生まれついてしまっているから、彼の生み出す世界は独自にことばとして息づいている。

  • 15.05.06
    青空文庫なので、「童貞」は読めてない。
    好きなんだよなあ、この作風、言葉選び、テンポ、ストーリー。夢野久作の作品はどの女性も特徴的で、危うくて、怖くて、でも可愛らしさがあって、悲しくて、すごく魅力的なんだなあ。

    少女地獄(「何でも無い」「殺人リレー」「火星の女」)、「けむりを吐かぬ煙」、「女坑主」どれも好き。
    飛び抜けて好きなのは「火星の女」かなあ。映像化して欲しいくらい。切実で息苦しくて悲しい話。
    少女地獄はすべて書簡式なのも好き。夢野久作の作品だとよくあるけど、語りかけてる書き方、すごく好き。普通より綺麗に感じる。

  • なんでもない。
    虚言癖?
    比べものにならないけど、わたしにもあるかもしれない。
    他の人にはないのかな?
    あれ、わたし今なんでこんなペラペラと本当のことのように話したの?って瞬間。ないのかな。それならなんか、この話も自分自身も怖い!

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著者プロフィール

1889年、福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇味と幻想性の色濃い作風で名高い。1936年歿。

「2021年 『空を飛ぶパラソル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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