あやかしの鼓 夢野久作怪奇幻想傑作選 (角川ホラー文庫)

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  • 角川書店 (1998年4月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784041366110

みんなの感想まとめ

幻想文学の魅力が詰まった作品で、夢野久作の独特な世界観に何度も引き込まれます。短編ながら、読み進めるごとに新たな発見があり、出口の見えない迷路のような感覚を楽しめます。登場人物の因縁や、丹精込めて作ら...

感想・レビュー・書評

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  • 全話2度読みしました…
    短編だけど、何度読み直してもわからなくて、永遠に出口が見つからない

    夢野久作の異世界に迷い込む感覚がたまらない…
    まさに幻想文学の真骨頂。
    この方を超える人は、なかなかいないのでは?

  • 私はこんな一片の因縁話を残すために生まれて来たのかと思うと夢のような気持ちにもなる

    #初めて泣いた本
    #読了

  • 「あやかしの鼓」のみ再読。このぞわっとするような空気がたまらない。
    鼓に限らず、人が丹精こめて作ったものには、良くも悪くも何かが宿っていると思う。
    それが何人もの人に受け継がれていくものならなおさらだ。

  •  夢野久作先生らしい、「人」の持っている恐怖を扱った作品集だと思った。また、人によって解釈の方法があるのも夢野先生らしいと感じた。先生が考える背景を理解できなかったので、様々な人の解説記事を読んでみたけれど、実に様々な解釈があって面白かった。特に『瓶詰地獄』は面白かった。

     『死後の恋』はよくわからなかった。『悪魔祈祷書』は、店主の嘘(?)をずっと独白するということかな。『支那米の袋』は、とってもよくできていると思った。人間の残虐性や非情さがもっともわかりやすく著している作品だった。

     『難船小僧』は、よくわからなかった。とりあえず、迷信を恐れないでやったから良かったということかな。

     ほかの収録作品は、『幽霊と推進機』・『怪夢』・『白菊』・『いなか、の、じけん』・『木魂』・『あやかしの鼓』だった。

  • だいぶ文体にも慣れてきたけれど、よくわからない...
    一度読んだだけではなかなか理解できないが嫌いではないし他の作品も読みたいとは思うけれど個人的に読後感はあまり良くはない。
    そしてやっぱりこの本を読んでいる間は夢見が悪かった(笑)

  • 「あやかしの鼓」

    夢野久作は、読者を物語の外から眺めさせる作家ではなく、
    思考と感受性そのものを実験台に乗せてくる作家だと改めて感じた。

    本作で描かれている「あやかし」は、妖怪や呪いではなく、
    感受性が強すぎる人間が“分かってしまうこと”そのものだと思う。

    鼓の音色に触れた人々は皆、
    ・他者の感情
    ・過去の無念
    ・罪悪感
    ・愛の重さ
    を自分のものとして引き受けてしまい、自他の境界を失っていく。
    それは怪異に取り憑かれたのではなく、
    共感しすぎてしまった結果、心が耐えられなかっただけなのだ。

    特に印象的だったのは、
    誰一人として「悪」として断罪されていない点。
    未亡人も、綾姫も、せいじろうも、きゅうやも、老先生も、
    皆それぞれの背景と理由を抱え、
    壊れるしかなかった構造の中にいた。

    夢野久作は善悪で世界を切り分けず、
    「理解してしまう人間が生きづらい世界の構造」を
    極めて冷静に、しかし深い愛情をもって描いている。

    この作品は、
    感受性が高い人への警告であり、遺書であり、同時に救いだと思った。
    「武装せずに共感しすぎると、人は壊れる」
    「だからこそ、自分を守る境界が必要なのだ」と。

    読む側の感受性や思考力によって、
    見える層がまったく変わる作品。
    読み終えた後、
    「自分はどこまで踏み込んでいいのか」を
    静かに問い返される、残酷で美しい短編だった。



    『悪魔祈祷書』

    夢野久作は、やはり文学作家の皮を被った研究者だと思う。
    この短編は物語という形式を借りた多重構造の思考実験であり、読者参加型のブレーンストーミングそのものだった。

    表層では「悪魔」「祈祷」「宗教」「オカルト」を扱っているが、実際に描かれているのは
    国家=宗教=支配構造、そして
    **心理学と科学が結びついたときに生じる“搾取のメカニズム”**だ。

    特に秀逸なのは、「悪魔」「神」という単語が
    • 搾取する側
    • 搾取される側
    • その構造を理解して俯瞰する側

    という複数の視点で同時に機能する記号として使われている点。
    読む側の思考階層によって、まったく別の作品として立ち上がる。

    古本屋の主人の立ち位置がまた恐ろしい。
    彼は反宗教・反搾取を語っているようで、実際にはその構造を完全に理解した「神側」に回っている。
    丁寧で雑談的な語り口で相手を油断させ、徐々に具体例を重ね、
    最終的に行動によって相手に自白させる——
    人間の感情と行動の非対称性を突く、極めて狡猾な心理操作だ。

    面白いのは、夢野久作自身もこの古本屋と同じ構造に立っていること。
    この作品自体が、
    • 理解できない層には怪談・奇談として
    • 半端に理解できる層には不安と違和感として
    • 深く理解できる層には警鐘と知的快楽として

    それぞれ異なる報酬を与える設計になっている。

    善悪の断定は一切なく、肯定も否定もしない。
    ただ構造だけを提示し、あとは読者の知覚と倫理に委ねる。
    だからこそ、読み解けてしまった側には強烈な余韻と快感が残る。

    これは短編でありながら、
    夢野久作主催の秘密研究会に参加させられる作品だった。



    『瓶詰地獄』

    タイトルの回収があまりにも残酷で、だからこそ完成度が高い作品だった。
    これは禁忌や罪を描いた物語ではなく、外界との接続を失った人間が、静かに自我を崩していく過程そのものを描いた話だと思う。

    瓶という閉鎖空間、たった二人、そして十年という長い時間。
    社会から断絶されることで、善悪の判断基準も、正気かどうかを照合する視点も失われていく。
    倫理を守ろうとする最後の自我すら、対話が成立しない環境では保ちきれなくなる。

    特に印象的なのは、瓶の時系列が 3 → 2 → 1 で進む構造。
    時間が逆行しているようで、実際には理性が後退していく順番になっている。
    読者は記録を読んでいるつもりで、気づけば崩壊の直前に立たされる。

    近親相姦はテーマではない。
    罪や罰でもない。
    「閉じた関係の中で、誰にも裁かれず、誰にも救われない状態」そのものが地獄なのだと突きつけられる。

    悲しく切なく、でもどこか気持ち悪いほど気持ちいい読後感。
    人が生きるために、社会との接続がいかに不可欠かを、これ以上ない形で示した一編だった。

  • 話の切り口がなるほどと思いながらも、ほの暗い印象も含めて重くそれでいて手を打つような見事さがありました。
    初めて読んだけど他の作品も読もうかなって思えるものでした!

  • あやかしの鼓―夢野久作怪奇幻想傑作選
    (和書)2009年05月27日 18:02
    1998 角川書店 夢野 久作


    随分前に「ドグラ・マグラ」を読んで凄く面白いなって思った作家だった。今回は、短篇集と言うことで「少女地獄」以来だった。しかしどれを読んでも「ドグラ・マグラ」に見劣りしてしまうように感じた。

    もう一回「ドグラ・マグラ」を読んでみようと思う。

  • 表題作はmasterpiece。
    「死後の恋」も、そこはかとなくエログロめいたところがオススメ。

  • 未知への恐怖。わからない、理解を拒絶するものといふのは、途方もない恐怖を生む。そして、さういふものといふのは、いつもひとの日常と隣り合はせに潛んでゐるものだ。
    ひとはいつでも、自分の成してゐることは、自分の力で成しえたと思ふものである。けれど、自分といふ存在は自分ではないものが在るからこそ保証されてゐるに過ぎないのだ。
    正常であらうとすればするほど、逆説的に狂気に陷つてしまふ。正常とは、正常と狂気が存在することを知りながら、あえて正常あらうとする意志のことだ。
    彼は、ひとのもつさういふ二面性を巧みに拾ひあげる。巧妙なtrickや激しい動機といつたものがなくても、グロテスクといふ形で、あるひは、不可解なひとの行動や意図の介さない偶然性を用いて。さういふ神秘や謎を解き明かしていくところに彼のmysteryがあるのだ。一方で、そんなmysteryはどこまでいつても、ひとである自分には恐ろしくて解けないといふことも彼は知つてゐる。
    正常だと信じてやまない世界は、いとも簡単に溶けてしまふ。狂気は唐突にひとを呑み込む。未知といふものはそれくらい、当たり前なものなのだ。それでも多くのひとは、呑み込まれず生きてゐる。もしかすると、彼は、そんな世界に決していけないといふことを知つていたから、ひたすらに考へ求め続けたのかもしれない。

  • 死後の恋
    瓶詰地獄
    悪魔祈祷書
    支那米の袋
    難船小僧
    幽霊と推進機
    怪夢
    白菊
    いなか、の、じけん
    木魂
    あやかしの鼓

  • 綾皮の樫で出来た宝尽くしの鼓、あやかしの鼓の物語。
    人を気狂いにさせる鼓を持つ美しい綾姫一族と、天性の鼓打ち音丸一族の因縁。
    どうやら、絵面のコントラストと艶やかさ、織りが細かく、心の深淵を這うような物語運びが、夢野久作の特色であるらしい。
    無意味な、壮絶な暗さの無いところが良い。

  • 「ドグラ・マグラ」へのウォーミングアップのために。
    有名な「瓶詰地獄」が入っていたので。
    これの解釈が気になる。

    「悪魔祈祷書」は乱歩の「人間椅子」みたいでイイ。

  • 2012年4月10日読了。iPhoneの青空文庫リーダーにて。表題作他11の短編を納めた本。夢野久作の作品が無料でiPhoneで読みまくれるんだねえ・・・。登場人物の独り語り形式で話が進んでいく物語が多いが、特に「死後の恋」は私が初めて読んだ夢野作品で、強烈な衝撃を受け今でも強く印象に残っている。不穏な時代設定といい語り手の内面の描写といい残酷で鮮やかな視覚的なラスト、オチの鮮やかさなど全てが短編小説のお手本のような作品だと思う。エロ・グロというよりも、人智を超えたもの・理解できないものへのどうしようもない憧れや恐怖が描かれているところに、この人の作品が万人(ではないだろうが)に愛される理由があるのではなかろうか。

  • 2012 2/11 「瓶詰地獄」のみ読了。青空文庫で読んだ。
    青空文庫版をブラウザで表示して読んだので底本を登録。
    コミックビームに漫画版が登録された、とのニュースを読んで気になったので見てみた。
    三つの手紙からなる掌編。
    無人島に流れ着いた仲の良い兄と妹がたどった「地獄」について。
    持ち込んだのが聖書であったところが「地獄」を生んだか。

  • 全11編収録。
    夢野久作入門編といったところか。
    巻頭「死後の恋」と巻末「あやかしの鼓」が絶品。
    妻木君もなかモシャモシャでお茶噴いた(笑)

  • 夢野久作の得意な怪奇、倒錯した性、ミステリーが凝縮された短編集。
    なかでも表題作「あやかしの鼓」は主人公の独白で語られるが、心理描写はリアルで、90年近く前に書かれたものとは思えないほど主人公の息遣いを近くに感じることができる。
    またストーリーにもたくさんの仕掛けがあり、糸がほぐれるように少しずつ謎が明らかになる感覚は非常に心地よい。

  • 「角川って夢野久作めっちゃあるよね」
    夢野文学の入門書だな。
    「瓶詰地獄」「いなか、の、じけん」など、
    全11編収録。どろどろ、どろどろ。
    どろどろ、どろどろ。
    どろどろ。
    どろ。

  • イメージ参照(http://blogs.dion.ne.jp/kentuku902/archives/4175530.html)
    (収録作品)悪魔祈祷書/瓶詰地獄/支那米の袋/難船小僧/幽霊と推進機/怪夢/白菊/いなか、の、じけん/木魂/あやかしの鼓/死後の恋

  • 「死後の恋」
    兵隊。宝石。没落貴族。木にくくりつけられた死体。アナスタシヤ。

    「瓶詰め地獄」

    「悪魔祈禱書」
    古本。教授。

    「支那米の袋」
    美しいロシア娘。船の男たち。騙された女たちの発狂。

    「難船小僧」
    船を沈めるSOSボーイ。

    「幽霊と推進機」

    「怪夢」

    「白菊」
    逃亡中の強盗。人形の並んだ月夜の部屋。西洋少女。

    「いなか、の、じけん」

    「木魂」
    数学者。鉄道線路。死んだ妻と息子。

    「あやかしの鼓」

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著者プロフィール

夢野 久作(ゆめの・きゅうさく):1889 - 1936。福岡県生まれ。本名杉山泰道。幼名直樹。政治結社玄洋社系の杉山茂丸を父にもつ。修猷館から近衛歩兵第一聯隊に入隊し満期除隊。慶應義塾中退。農園経営、僧侶、謡曲教授、新聞記者など様々な職業を経験。1926年、雑誌「新青年」に「あやかしの鼓」が入選し本格的な作家デビューとなる。日本探偵小説界の三大奇書『ドグラ・マグラ』他、「死後の恋」「瓶詰地獄」など、狂気で妖しい独自の世界観、1人称の独白体や書簡体形式の特徴的文体など、今もなお読者を魅了し続ける。筆名は「ぼんやりして夢ばかり追う間の抜けた人間」を指す博多地方の方言。

「2026年 『ルルとミミ 夢野久作全童話 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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