あやかしの鼓―夢野久作怪奇幻想傑作選 (角川ホラー文庫 54-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041366110

作品紹介・あらすじ

鼓作りの男が想い焦がれた女性へ、嫁ぐ時に贈った自作の鼓。その音色は尋常とは違い、皆を驚かせた。それは恐ろしく陰気な、けれども静かな美しい音であった…。夢と現実とが不思議に交錯する華麗妖美な世界。表題作をはじめ、その粋を集めた夢野文学の入門書ともいえる決定版の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 話の切り口がなるほどと思いながらも、ほの暗い印象も含めて重くそれでいて手を打つような見事さがありました。
    初めて読んだけど他の作品も読もうかなって思えるものでした!

  • あやかしの鼓―夢野久作怪奇幻想傑作選
    (和書)2009年05月27日 18:02
    1998 角川書店 夢野 久作


    随分前に「ドグラ・マグラ」を読んで凄く面白いなって思った作家だった。今回は、短篇集と言うことで「少女地獄」以来だった。しかしどれを読んでも「ドグラ・マグラ」に見劣りしてしまうように感じた。

    もう一回「ドグラ・マグラ」を読んでみようと思う。

  • 私はこんな一片の因縁話を残すために生まれて来たのかと思うと夢のような気持ちにもなる

    #初めて泣いた本
    #読了

  • 表題作はmasterpiece。
    「死後の恋」も、そこはかとなくエログロめいたところがオススメ。

  • 未知への恐怖。わからない、理解を拒絶するものといふのは、途方もない恐怖を生む。そして、さういふものといふのは、いつもひとの日常と隣り合はせに潛んでゐるものだ。
    ひとはいつでも、自分の成してゐることは、自分の力で成しえたと思ふものである。けれど、自分といふ存在は自分ではないものが在るからこそ保証されてゐるに過ぎないのだ。
    正常であらうとすればするほど、逆説的に狂気に陷つてしまふ。正常とは、正常と狂気が存在することを知りながら、あえて正常あらうとする意志のことだ。
    彼は、ひとのもつさういふ二面性を巧みに拾ひあげる。巧妙なtrickや激しい動機といつたものがなくても、グロテスクといふ形で、あるひは、不可解なひとの行動や意図の介さない偶然性を用いて。さういふ神秘や謎を解き明かしていくところに彼のmysteryがあるのだ。一方で、そんなmysteryはどこまでいつても、ひとである自分には恐ろしくて解けないといふことも彼は知つてゐる。
    正常だと信じてやまない世界は、いとも簡単に溶けてしまふ。狂気は唐突にひとを呑み込む。未知といふものはそれくらい、当たり前なものなのだ。それでも多くのひとは、呑み込まれず生きてゐる。もしかすると、彼は、そんな世界に決していけないといふことを知つていたから、ひたすらに考へ求め続けたのかもしれない。

  • 死後の恋
    瓶詰地獄
    悪魔祈祷書
    支那米の袋
    難船小僧
    幽霊と推進機
    怪夢
    白菊
    いなか、の、じけん
    木魂
    あやかしの鼓

  • 「あやかしの鼓」のみ再読。このぞわっとするような空気がたまらない。
    鼓に限らず、人が丹精こめて作ったものには、良くも悪くも何かが宿っていると思う。
    それが何人もの人に受け継がれていくものならなおさらだ。

  •  夢野久作先生らしい、「人」の持っている恐怖を扱った作品集だと思った。また、人によって解釈の方法があるのも夢野先生らしいと感じた。先生が考える背景を理解できなかったので、様々な人の解説記事を読んでみたけれど、実に様々な解釈があって面白かった。特に『瓶詰地獄』は面白かった。

     『死後の恋』はよくわからなかった。『悪魔祈祷書』は、店主の嘘(?)をずっと独白するということかな。『支那米の袋』は、とってもよくできていると思った。人間の残虐性や非情さがもっともわかりやすく著している作品だった。

     『難船小僧』は、よくわからなかった。とりあえず、迷信を恐れないでやったから良かったということかな。

     ほかの収録作品は、『幽霊と推進機』・『怪夢』・『白菊』・『いなか、の、じけん』・『木魂』・『あやかしの鼓』だった。

  • だいぶ文体にも慣れてきたけれど、よくわからない...
    一度読んだだけではなかなか理解できないが嫌いではないし他の作品も読みたいとは思うけれど個人的に読後感はあまり良くはない。
    そしてやっぱりこの本を読んでいる間は夢見が悪かった(笑)

  • 綾皮の樫で出来た宝尽くしの鼓、あやかしの鼓の物語。
    人を気狂いにさせる鼓を持つ美しい綾姫一族と、天性の鼓打ち音丸一族の因縁。
    どうやら、絵面のコントラストと艶やかさ、織りが細かく、心の深淵を這うような物語運びが、夢野久作の特色であるらしい。
    無意味な、壮絶な暗さの無いところが良い。

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著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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