人間腸詰 夢野久作怪奇幻想傑作選 (角川ホラー文庫)

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  • 角川書店 (2001年3月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (418ページ) / ISBN・EAN: 9784041366127

作品紹介・あらすじ

夢野久作の怪奇幻想傑作選。今回のテーマは「奇談・異常心理」。表題作の「人間腸詰」のほか、「冗談に殺す」「空飛ぶパラソル」「狂人は笑う」「キチガイ地獄」など戦慄の全9作品を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 比較的、手に入りやすい、角川ホラー文庫をお薦め。
    夢野作品は、独特なカタカナつかい、白昼夢的、後味の悪さが良い。火星の女など、これ以外の作品も後味の悪さ炸裂。
    グロイタイトルな上、かなりあれなので、読み手を選ぶ。
    江戸川乱歩の「鎌倉ハム大安売り」と併せて読むと、肉がしばらく食べられなくなるコンボ炸裂。

  • 夢野久作の幻想世界に浸れる短編集。
    グロに漂うエロチズムはもちろん、鮮やかな一瞬を切り取ったような、場面描写の画づくりが非常に美しい作家だと思う。

    ▼人間腸詰
    じゃぱん、がばめん、ふおるさ、ううろんち、わんかぷ、てんせんす。かみんかみん。
    腸詰になり損なった男性の話。グロい題材だが、語り口がひょうきんでユーモアがある。
    ▼焦点を合わせる
    機関長と密輸入者の、二転三転する裏の掻き合いが恐ろしい。
    焦点が合った時、開かれるボイラーの蓋……。
    ▼空を飛ぶパラソル
    ある事件に関わった新聞記者による、間接的な殺人。
    顔のない轢死体の上に舞う、群青色と淡紅色のパラソル。雨に濡れた鯉幟と、そこに吊るされる縊死体……。じっとりした嫌な惨さが在る。
    ▼眼を開く
    山奥で隠遁生活を送る作家と、郵便局員の話。虚しく、切ない。
    オレンジ色の朝焼けに照らされる忠平の死体。氷があたためられて、彼の顔を濡らす。比喩なしに神々しいシーンだ。
    ▼童貞
    悪女に翻弄された元ピアニストの末路。ラストの衝撃と静けさが、虚無を呼ぶ。
    ▼一足お先に
    手術で右脚を失くした青年が起こした、夢中遊行の真実とは。入れ子構成が面白かった。
    標本室でホルマリン漬けにされた右脚、歌原未亡人の片方失くした乳房、私を睨みつける副院長、トイレのガラスの破片に映る黄色い満月……どのシーンも狂おしく美しい。
    ▼狂人は笑う(青ネクタイ/崑崙茶)
    「狂人」たちの独白。妄言だろうと思いながらも妙な説得力があり、引き込まれてしまった。
    ▼キチガイ地獄
    記憶喪失だった「秀麿」が、自身の回復を証明するために、戻った記憶を院長へ話すのだが……。
    最後のどんでん返しと、静けさが恐ろしい。
    ▼冗談に殺す
    猟奇趣味の女優を手に掛け、「完全犯罪」を試みた記者の話。
    題名がお洒落。夢野久作の書く悪女は、どうしてこんな魅力的なんだろう……。
    ▼押絵の奇蹟
    天才女性ピアニストと歌舞伎役者の秘密。
    女性一人称の文体の美しさは少女地獄を、出生にまつわる話は、ドグラ・マグラを彷彿とさせる。
    秘密はトシ子の想像の範疇を出ない。彼らは不貞によって生まれた双子で、生き別れの兄妹かもしれない。しかし、もし母親が中村半太夫を強く想った結果だとしたら、幻惑的だなあ。

  • 「焦点を合わせる」「空を飛ぶパラソル」「狂人は笑う」「冗談に殺す」・・・夢野久作はタイトルを付けるのがうまい。カッコイイ。

  • 久作の作品を読むと、「オホホホ………」って笑いたくなるなぁ。

  • 独白や語りは、語りの方向次第で物語の現実を構成できるといふところにあると思ふ。語る人間のことばが直接物語世界となる。他人にとつて、実際にあつたことかどうか決してわからないが、それを知る術はない。しかも、他人の解釈をはさむことのできない現実であることがほとんどである。ミステリアスやグロテスクといふのは、彼の作品で、他人の語りを斥け、ともすれば狭くなりがちな独白世界の解釈可能性を拡げる働きをしてゐるのではないか。
    独白といふものは、世界事象を一方向からだけしか語れない。語り手以上の世界は望めない。だが、強烈すぎる神秘や猟奇といふものは、語り尽くされることを拒絶するものであるから、語り手のことばでは決して尽くされない。語れば語るほど、その強烈な印象は遠のいてゆく。世界の深度が増すのである。
    さらに、この独白世界に、時間や次元の効果を取り入れれば、より一層独白世界が複雑化する。狂気や夢といふものは、彼の独白世界の中にあつて、独白世界の多重性を保障する。他人の解釈や語りを拒絶しながらも、狂気や夢といふものは、語られる世界が一変するほどの力をもつてゐる。『キチガイ地獄』『狂人は笑ふ』はそうした世界の転変が物語世界の多重性を際立たせ、独特の神秘性・猟奇性の語り得ぬ印象を生み出してゐると思ふ。
    精神や観念に対する畏敬と考へる力を持ち合はせてゐるからこそ、語り得ぬものに辿り着くことや夢と狂気の狭間にあつて神秘と猟奇の本質を描き出せることができる。『眼を開く』の語りは、彼のさうした一面を見せてくれる。

  • 旧文体なので若干読みづらい。多分時代が数十年前だったら読めたと思うけど。残念ながら短編集の途中で読むのを止めた。

  • 収録作品

    ・人間腸詰(昭和11年)
    ・焦点を合わせる(昭和7年)
    ・空を飛ぶパラソル(昭和4年)
    ・眼を開く(昭和10年)
    ・童貞(昭和5年)-旧角川版/初出稿
    ・一足お先に(昭和6年)
    ・狂人は笑う(昭和7年)
    ・キチガイ地獄(昭和7年)
    ・冗談に殺す(昭和8年)-「自白心理」加筆改定
    ・押絵の奇跡(昭和4年)

  • 人生初夢野。
    最初はちょっと読みにくく感じていたけど読み終わる頃には慣れて気にならなくなった。
    タイトルがタイトルだったから割と覚悟してたけど読んでみるとそんなにグロくはなくてよかった。後半に行くにつれて段々面白くなってきて他のも読みたいと思う。
    ただ、この本を読み始めてから夢見が悪いというか変な夢をよく見るようにはなった(笑)

  • どれも素晴らしい!!

  • 明治末、博覧会の日本館建築のために渡米した主人公はあるアメリカ人の屋敷に招かれ、細工仕掛けの箱の製作を依頼される。断った彼が見せられた、身の毛もよだつ光景……という表題作他10篇。超自然的ホラーというより、狂気や倒錯、異常心理をメインに扱った作品が収録されている。

    「ドグラ・マグラ」を例にとるまでもなく、この作家の作品はどれも「狂気」の香りが漂う。この怪作をライフワークとしていたことからも、常にそれを意識していたことが理由かと思えるが。そしてそれを一層強めているのが、この作家ならではの「独白体」の文章。饒舌な語り口は正気と狂気の境目を、読み手にあやふやにさせる効果を出している。この短編集でも9篇が独白体ないし一人称で書かれている。

  • タイトルは「にんげんそうせえじ」。
    狂気と恐怖に彩られた短編小説集。
    ……しかし、よりによってこれを表題にするとは(-_-)

  • 妖しくておぞましくて美しい。

  • 「人間はソーセージを食べる」
    ミンチを腸に詰めるってグロすぎる!!
    そんなもん食えねえな。

  • 「焦点を合わせる」「空を飛ぶパラソル」「狂人は笑う」「冗談に殺す」・・・夢野久作はタイトルを付けるのがうまい。カッコイイ。

  • そおせえじってなんか可愛くない?

  • 「童貞」が好き。今なお新しい珠玉の短編集。

  • タイトルどおり、人間がミンチにされる場所があるという空想。

    斜め読みのため、いまいち流れについていけなかったがストーリーテラーとしての

    力量は非常にあると再確認した。

  • 「押絵の奇蹟」が秀逸でした。

  • カント・デックには笑わされた。人間腸詰はエログロじゃなくて下品なギャグだと思う。

  • 短編集。「押絵の奇蹟」は久作の最高傑作として名高い一作。とても綺麗な物語なのでお勧め。

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著者プロフィール

夢野 久作(ゆめの・きゅうさく):1889年、福岡県生まれ。本名・杉山直樹(のち泰道に改名)。父は国士・杉山茂丸。慶應義塾大学予科文学科中退後、家業として杉山農園を経営、「九州日報」記者などを経て、1926年、「あやかしの鼓」が「新青年」懸賞二位に入りデビュー。筆名は福岡の言葉で「夢のような、現実離れしたことを考えている人」の意。長篇に『ドグラ・マグラ』『犬神博士』『暗黒公使』、短篇に「瓶詰の地獄」「死後の恋」「押絵の奇跡」など著作多数。1936年死去。

「2026年 『冗談に殺す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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