人間腸詰―夢野久作怪奇幻想傑作選 (角川ホラー文庫)

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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041366127

作品紹介・あらすじ

明治の末、渡米した大工のハル吉は、あるアメリカ人の屋敷に招かれる。秘密の錠前作りの依頼を断った彼が見せられた光景は、想像を絶する地獄だった…。夢と現実が妖しく交錯する幻想世界。夢野文学が描き出す、おぞましいばかりの狂気・怨念・異常心理の数数。表題作を含む全10編。

感想・レビュー・書評

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  • 独白や語りは、語りの方向次第で物語の現実を構成できるといふところにあると思ふ。語る人間のことばが直接物語世界となる。他人にとつて、実際にあつたことかどうか決してわからないが、それを知る術はない。しかも、他人の解釈をはさむことのできない現実であることがほとんどである。ミステリアスやグロテスクといふのは、彼の作品で、他人の語りを斥け、ともすれば狭くなりがちな独白世界の解釈可能性を拡げる働きをしてゐるのではないか。
    独白といふものは、世界事象を一方向からだけしか語れない。語り手以上の世界は望めない。だが、強烈すぎる神秘や猟奇といふものは、語り尽くされることを拒絶するものであるから、語り手のことばでは決して尽くされない。語れば語るほど、その強烈な印象は遠のいてゆく。世界の深度が増すのである。
    さらに、この独白世界に、時間や次元の効果を取り入れれば、より一層独白世界が複雑化する。狂気や夢といふものは、彼の独白世界の中にあつて、独白世界の多重性を保障する。他人の解釈や語りを拒絶しながらも、狂気や夢といふものは、語られる世界が一変するほどの力をもつてゐる。『キチガイ地獄』『狂人は笑ふ』はそうした世界の転変が物語世界の多重性を際立たせ、独特の神秘性・猟奇性の語り得ぬ印象を生み出してゐると思ふ。
    精神や観念に対する畏敬と考へる力を持ち合はせてゐるからこそ、語り得ぬものに辿り着くことや夢と狂気の狭間にあつて神秘と猟奇の本質を描き出せることができる。『眼を開く』の語りは、彼のさうした一面を見せてくれる。

  • 旧文体なので若干読みづらい。多分時代が数十年前だったら読めたと思うけど。残念ながら短編集の途中で読むのを止めた。

  • 収録作品

    ・人間腸詰(昭和11年)
    ・焦点を合わせる(昭和7年)
    ・空を飛ぶパラソル(昭和4年)
    ・眼を開く(昭和10年)
    ・童貞(昭和5年)-旧角川版/初出稿
    ・一足お先に(昭和6年)
    ・狂人は笑う(昭和7年)
    ・キチガイ地獄(昭和7年)
    ・冗談に殺す(昭和8年)-「自白心理」加筆改定
    ・押絵の奇跡(昭和4年)

  • 人生初夢野。
    最初はちょっと読みにくく感じていたけど読み終わる頃には慣れて気にならなくなった。
    タイトルがタイトルだったから割と覚悟してたけど読んでみるとそんなにグロくはなくてよかった。後半に行くにつれて段々面白くなってきて他のも読みたいと思う。
    ただ、この本を読み始めてから夢見が悪いというか変な夢をよく見るようにはなった(笑)

  • どれも素晴らしい!!

  • 明治末、博覧会の日本館建築のために渡米した主人公はあるアメリカ人の屋敷に招かれ、細工仕掛けの箱の製作を依頼される。断った彼が見せられた、身の毛もよだつ光景……という表題作他10篇。超自然的ホラーというより、狂気や倒錯、異常心理をメインに扱った作品が収録されている。

    「ドグラ・マグラ」を例にとるまでもなく、この作家の作品はどれも「狂気」の香りが漂う。この怪作をライフワークとしていたことからも、常にそれを意識していたことが理由かと思えるが。そしてそれを一層強めているのが、この作家ならではの「独白体」の文章。饒舌な語り口は正気と狂気の境目を、読み手にあやふやにさせる効果を出している。この短編集でも9篇が独白体ないし一人称で書かれている。

  • タイトルは「にんげんそうせえじ」。
    狂気と恐怖に彩られた短編小説集。
    ……しかし、よりによってこれを表題にするとは(-_-)

  • 妖しくておぞましくて美しい。

  • 「人間はソーセージを食べる」
    ミンチを腸に詰めるってグロすぎる!!
    そんなもん食えねえな。

  • 「焦点を合わせる」「空を飛ぶパラソル」「狂人は笑う」「冗談に殺す」・・・夢野久作はタイトルを付けるのがうまい。カッコイイ。

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著者プロフィール

明治22 (1889)年1月4日福岡に生まれる。本名杉山泰道。幼名直樹。法号萠圓。父杉山茂丸は近代における政界の黒幕といわれた。旧制修猷館中学を卒業後、近衛歩兵連隊に入隊。慶応義塾大学に入学後、大正2(1913)年に中退。放浪生活ののちに出家し、僧侶となる。大正6(1917)年に還俗し、父の出資による農園を経営する傍ら執筆を開始。結婚し、喜多流の謡曲教授となる。大正8(1919)年に九州日報に入社、記者となる。大正15 (1926)年に「あやかしの鼓」を発表し作家活動を始める。昭和10(1935)年「ドグラ・マグラ」を出版。昭和11年(1936)3月11日逝去、享年47歳。

「2018年 『定本 夢野久作全集 第5巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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