犬神博士 (角川文庫)

  • 角川書店 (2008年12月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784041366134

作品紹介・あらすじ

おかっぱ頭の少女チイは、じつは男の子。大道芸人の両親と各地を踊ってまわるうちに、大人たちのインチキを見破り、炭田の利権をめぐる抗争でも大活躍。体制の支配に抵抗する民衆のエネルギーを熱く描く。

みんなの感想まとめ

痛快な冒険活劇が展開されるこの作品では、乞食芸人に育てられた少年チイが、大人たちのインチキを見破りながら筑豊炭田の利権争いに立ち向かいます。彼の純真さと大胆さが、さまざまな修羅場を乗り越える力となり、...

感想・レビュー・書評

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  • 『チイの「悟空感」が最高な痛快冒険小説』


    R6年12月課題図書,『犬神博士』夢野久作

    1、印象に残った箇所(ページ数も明記)
    ①P176、瘤おやじとの花札対決でチイを全面的に信頼して有り金を全ベットする男親
    →男親のこの「しょーもないヤツだけど憎めない」感が個人的には終始ツボでした(笑)、調子に乗って独立宣言して女親から怒られるシーンとかも面白かった

    ②P224、天沢老人の圧倒的に事実には基づかない骨相学による弁護
    →冒頭から終わりまで事実は一つも書かれておらず「骨相学」一本で勝負に打って出るのがツボ(笑)、加えて入口のセリフ「私は骨相学上から見て、当局と全然正反対の意見を主張しなければならぬことを、非常な光栄としかつ、欣快とするものである。」でかなりテンション上がっちゃってるのもまた可愛い(笑)

    骨相学
    頭骨の形状から、その人の性格その他の心的特性を推定できるという考え

    欣快(きんかい)
    〘 名詞 〙 ( 形動 ) 喜ばしく快いこと。また、そのさま。愉快。「欣快の至り」

    ③P337、楢山(ならやま)社長の言葉巧みな交渉
    →入口がかなり巧み、「今福岡県内で一番偉い人は誰な」、「誰でもないアンタじゃろうが…、あんたが福岡県内で一番エライ人じゃろうが」、初手で相手を認める、勉強になる

    ④P346、火事になった青柳の中で玉子焼とお茶漬けを食べるチイ
    →やはり「シメ」は重要(笑)


    2、本作で初めて知った言葉や言い回しがあれば、意味と一緒に教えてください。(5つまで)

    ①P176、「宝満山から後飛び」式の無鉄砲

    宝満山から後ろ飛び
    →博多の古い諺で、あの有名な「清水の舞台から飛び降りる」と同義語

    清水の舞台から飛び降りる
    →死んだつもりになって、一世一代の決断をすることをいう。京都の清水寺は切り立った崖(がけ)の上に建てられており、その舞台から飛び下りるほどの決意なのであるから、一生に一度の買い物をしたり、価格を思いきって下げたりするときなどに用いる。

    →「宝満山」は太宰府にあって、福岡で登山者が最も多い山としてメジャーな場所。
    初めて聞いた言い回しでした、福岡に住んでいる&登山をやっている自分としてはぜひ積極的に使って行きたいなと(笑)
    ちなみに、「清水の舞台」は飛び降りれそうな場所がありますが、「宝満山」の頂上は周囲がゆるやかなので「ここぞ後ろ飛びスポット」っていう場所が無いです、最初に言い出した人は実は登ったこと無いかも…?

    ②P319、キチガイに違いないと「九分九厘まできめてしまった」

    →楢山さんの登場シーン、流れの面白さもあって印象に残った、と同時に「あれ、九分九厘って割合に直すと9.9%じゃね?、実はそんなに確実じゃ無くね?」と思ったんですが、調べたらYahoo!知恵袋に下記が掲載されていました、恥ずかしながら自分は全然知りませんでした(笑)

    質問
    「九分九厘」って9.9%ですよね? ということは、「九分九厘」も
    あんまり確実な例えではありませんよネ?

    ベストアンサー
    正解は99%。
    元々、この言葉が誕生した江戸時代では、10分の1を意味する”割”を割合を表す基本単位にしており、割の10分の1を分、その10分の1を厘として表現していた様です。
    実例で表現するとわかり易いと思いますが、現代の”15.3%”は、1割5分3厘と表現されるところまでは同じですが、これを当時は、”0.153”ではなく、”1.53割”と言う感覚で受け止めていた、と考えれば、感覚的に理解出来ると思います。


    3、本作の終わり方をどう思いましたか。また、続きがあるとしたらどのような展開になると思いますか。

    「予想外な終わり方だな」というのが読み終えたときにまず浮かんだ感想でした。

    「色々とありながらも最終的には上手く切り抜ける」というのが続いていたし、その痛快さを楽しみながら読んでいたので、ラストも何と無くハッピーエンド的な展開を予想していたからかなと。

    続きがあれば…ですが、個人的には「知事・楢山が仲直り?(そんな軽いモノでは無い気もするけど笑)ルート」の明るい方向に進んで行くかな?…予想と言うよりもはや希望かもですが…


    4、感想
    ①チイの悟空感(ドラゴンボール)が最高
    →圧倒的な無敵感(見た目は可愛くて、踊りは超一流、口は悪い、バクチをやればすぐにイカサマを習得、謎に合気も使える)で進んで行くこの感じが最高に面白い
    明るく楽しく笑える勧善懲悪モノ、今も昔も変わらずこういった作品の需要ってあるんだなと、人間の本質って変わらないんだなとか思ったりもした(笑)

    ②裏表の無い素直な言葉・雰囲気が人の感情を動かす
    →チイの良さはその素直さ、それで多くの仲間が出来ていっている気がした
    自分も昔は「カッコよく見られたい」って思ってましたが(笑)、それをあんまり思わないようになってから一気に友達が増えた気がする、繋がっている部分があるのかなと思った

    ③昔の作品なのでコンプラ違反が酷い(笑)
    →「キチガイ」、「ヒンガラ」等々…まあ昔の作品なので当たり前なんですが、ちょうど「ふてほど(不適切にもほどがある)」が流行語取ったので…
    子供のときにテレビを近くから見てると、おばあちゃんから「アンタ、ヒンガラ目になるよ!!」って言われてたなーとか、昔を思い出しました(笑)


    5、一言まとめ(この作品を一言で総括してみてください)

    チイの「悟空感」が最高な痛快冒険小説

    →「冒険」という定義に当てはめて良いか?は分かりませんでしたが、こんなはちゃめちゃな日常?であれば、それもはや「冒険」と呼んでも良いのかなと考えました


    6、疑問点

    ①「博士に過去を語らせる」という形式にした目的、効果

    ②解説に下記文言あり、皆さんはどんな風に感じたか

    推理小説でもなければ怪奇小説でもない。ましていわゆる純文学でもない。それらの単細胞的フレームを超えている。
    何ものでもないことによって、何ものでもある。

    →ちなみに、個人的な感覚では、まあエンタメ小説かな、と思ったけど…そんなに深い感じ方はできず…(笑)

  • これぞ痛快の一言。
    スバラシク楽しい娯楽小説。
    傑作といわれるのもうなずける。

  • あくまで淡々と書かれているのに、凄く引き込まれて、最後には手に汗握ってしまいます。
    何度も読み返していますが、いまだにこの引き込まれる感覚は新鮮です。
    これもドグラマグラの所為なのでしょうか。

  • 「犬神博士」と呼ばれる変人が幼少時代の思い出を語る夢野久作の絶筆作品。乞食芸人に育てられた5、6歳の美少年が様々な修羅場をこえて、筑豊炭田の利権が独占資本の手に落ちるのを防ぐ。風俗騒乱の踊りで猥褻罪で捕まったり、イカサマ賭博を見破ったり、玄洋社社長と堂々とやりやったりと娯楽要素たっぷりの冒険譚。日清戦争前夜の風俗の描写、独特の言い回しも読者の楽しみを与えてくれる夢野久作の代表作。お勧めです。

  • 乞食や詐欺など不穏な要素もありつつ、所謂神童と呼ばれるような子供が大人たちに振り回される冒険活劇という印象を受けました。
    純粋で活発な子供だからこその大胆さで大人たちを振り回し振り回され、女の子のような愛らしい出で立ちや名人級の踊りを買われ何度も拐かされたりと常にドタバタで破茶滅茶だけれど、それを面白がっているチイ(当の本人)のあっけらかんとした性格が読んでいてとても愉快でした。
    未完となってしまった為、この痛快な冒険の終着点がどうなる予定だったのか気になり、続きがないことがとても残念です。

  • このスピード感がイイネ

  • ここで終わるか!という感じ。思い返すと悪くないラスト

  • ドグラマグラよりも読みやすく面白く、狂気を感じる

  • ドグラマグラとはまた違う、単純明快、破天荒で爽快な小説。
    唐突な結末がまた素敵です。

  • 再版されての実家以来の久しぶりの内容。
    相変わらず何も解決していない感。
    でも出てくる人との掛け合いとイメージされる情景に読みすすめられてしまう印象。

  • ジャンプとかに連載されていても良さそうな活劇。ふんだんに夢野久作感が出つつ、ヒーローもの(?)として読めて面白い。

  • なぜここで終わる!?
    ちい少年の冒険記

    #読了
    #夢野久作

  • 予備知識がないせいか、全く意味がわからず…「あっ、終わった」ポカーンって感じ(>_<)何だったんだろう…。

  • 男親と女親に連れられ、風俗を乱す踊りをしながら各地を巡る美少年チイが主人公。チイは北九州を舞台に、直観力のような不思議な能力を使いつつ、大衆への圧力をかける者たちに、無邪気に立ち向かい、活躍するという内容。読みやすく、いっきに読む。作品の発表が日中戦争前、作中の時代設定は日清戦争前なので、当時の社会情勢がなんとなく感じられるようで興味深かった。

  • 犬神博士・・・というタイトルから私がイメージしていた話とは程遠い話だった。
    新聞連載ということを知って納得。面白くて読むのが止まらない娯楽作品という印象。博打を売って爺さんを任そうとしたあたりでは、いくらなんでもチイが大人すぎて頭が良すぎて、そんなわけないだろうと思ったが、ハンマの源を手ぬぐいで打ち負かした辺りで、もうこれは利発な少年の痛快武勇伝でいいのだなと思った。ただ、それにしては、裏の政治背景があまりにややこしすぎて読み飛ばしてしまったが・・・後でわけわかんなくならないだろうか、と心配してるうちにチィは走りだし、作品は未完を迎えるわけである。

  • 初めての夢野久作。
    強く、賢く生きるチイは何処へ向かったやら...。
    コミカルに厳しい現実を上手く生きていくヒントみたいなのがありそう。

  • 最近はまっている夢野久作さんの代表作の一つです。
    でも、内容は夢野さんらしくなく、いたって普通の悪を倒すって感じでした。それがかえって新鮮だったのかもです。
    それでも独特の文章は相変わらず。それにはまってしまうのです。
    (2014/06/06)

  • 他の作品と違い、すら~っと読み終わった。 何かモヤっと残って読み返すと言った感じではないな。 最後は何らかで締めくくって欲しかった。(語るきっかけは取材だったよね)

  • 頭が良く大人の理屈を鼻で笑い、思うままに行動するチイ。
    チイの視点で描くことで、大人たちの頭の悪さが目立っている。
    どの様にして犬神博士に至ったのか読んでみたかった、連載中止が残念でならない。

  • 夢野久作がこんなにもかわいい冒険活劇小説を書いてるとは驚いた。
    とにかく、主人公の一見美少女の美少年チイの超能力を駆使した大冒険がとにかく胸が躍ります。

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著者プロフィール

夢野 久作(ゆめの・きゅうさく):1889-1936。福岡県生まれ。本名杉山泰道。幼名直樹。政治結社玄洋社系の杉山茂丸を父にもつ。修猷館から近衛歩兵第一聯隊に入隊し満期除隊。慶應義塾中退。農園経営、僧侶、謡曲教授、新聞記者など様々な職業を経験。1926年、雑誌「新青年」に「あやかしの鼓」が入選し本格的な作家デビューとなる。日本探偵小説界の三大奇書『ドグラ・マグラ』他、「死後の恋」「瓶詰地獄」など、狂気で妖しい独自の世界観、1人称の独白体や書簡体形式の特徴的文体など、今もなお読者を魅了し続ける。筆名は「ぼんやりして夢ばかり追う間の抜けた人間」を指す博多地方の方言。

「2026年 『冗談に殺す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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