- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041366141
作品紹介・あらすじ
極楽鳥が舞い、ヤシやパイナップルが生い繁る、南国の離れ小島。だが、海難事故により流れ着いた可愛らしい二人の兄妹が、この楽園で、世にも戦慄すべき地獄に出会ったとは誰が想像したであろう。それは、今となっては、彼らが海に流した三つの瓶に納められていたこの紙片からしかうかがい知ることは出来ない…(『瓶詰の地獄』)。読者を幻魔境へと誘う夢野久作の世界。「死後の恋」など表題作他6編を収録。
感想・レビュー・書評
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気持ちのいい気持ち悪さ
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一番好きな話は『死後の恋』。
狂気と美しさと悲壮の入り混じったあの表現は夢野にしかできないと思いました。
夢野久作作品では比較的読みやすい物になっていると思います。 -
夢野久作の短編集を読むのは2作目ですが、なんとなくこの人の物語はパステルとかグラデーションとかじゃなく原色、しかも濃いやつ一色ってイメージがあります。原色でもパキッとしたのではなく錆ついたようなもので。
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夢野久作短編集。
短編だけあって、一つ一つの話はページ数が少ない。
なのに凄く濃い。濃度100パーセント。
なかでも『死後の恋』が良かった。
主人公が長々と独白する形式で、ロシア革命直後のウラジオストックで語る話。
とあるシーンが凄く印象的。
凄惨で血みどろで、ちょっとしんどいんだけれども、文章によってありありとその場面が描かれてた。
結末も良かった。
全体的に不気味。
そういう雰囲気が好きな人は是非。 -
初夢野。
7編の作品を収録した短編集。
独白体の文章が狂気じみた雰囲気を醸し出してていい。
印象的なのは表題作「瓶詰の地獄」、「死後の恋」、「鉄槌」。
食料豊かで穏やかなパラダイスのような南国の無人島がヒトのつくった倫理・理性によって地獄と化すという表題作の歪み方はステキでさえある。
ところで何が驚きかと言えばこの夢野久作、活動時期こそ昭和に入ってからだが、江戸時代が終わって20年かそこらの生まれなのだ。
1936年に47歳の若さで病死しているが、彼が昭和の戦争を見ていたらどんな作品が生まれたろう。 -
ドグラ・マグラがよかったので、短編も読んでみた。
久作さん、そういう風に生れついた人なのか。人、殺したいと思ってるんじゃなかろうか、と感じてしまう。
女を袋詰めにして船に乗せる話とか、ロシアの王女?の話とか、時代を感じさせるものが多く楽しかった。
最後の方に載ってた、殺人鬼として扱われたい男の話を読んでいたら、ふとカフカの「王からの使者」を思い出した。-
「ドグラ・マグラがよかったので」
「ドグ」はクラクラしませんでしたか?
表題作の「瓶詰の地獄」を、丸尾末広がマンガにしているのですが、怖くて...「ドグラ・マグラがよかったので」
「ドグ」はクラクラしませんでしたか?
表題作の「瓶詰の地獄」を、丸尾末広がマンガにしているのですが、怖くてエロいのがお好みなら読まれては如何でしょうか?
2012/07/07
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表題の『瓶詰の地獄』がめちゃくちゃ面白い。
一体どういう話なんだ?と考え1日がたった。
わずか20頁の話にこんなにも費やす時間が心地よくある。
【以下私見】
まず、手紙だが大方の読み通り、3→2→1の順だと思う。
1の手紙には『1番初めの手紙を読んで両親が助けにきてくれた』とあるがこれは間違いだ。
時系列で考えると、
無人島に漂流
3の手紙
2の手紙
妹との近親相姦
救助船をみて1の手紙を書く
自殺
1の手紙は救助の人には発見されずに海に流される
浜辺で発見され3通の手紙が開かれる
となっているんだろう。
兄は罪の意識があったようだが、はたして自殺する気はあったのだろうか?
1の手紙の真ん中で、書き手が替わってるとしたらどうだろう?
たいして長くない1の手紙で、『お父さま』と『お父様』と二通りあるのが引っかかる。
手がふるえて、涙で手紙を書けなくなる所で兄から妹に書き手が替わる。
前半部に比べ後半部がメルヘン的?詩的な表現が多くなっている事、妹は聖書で読み書きを学んだので『さま』は漢字を使うであろう事、2の手紙で兄は罪の意識は深いが自殺をあまり考えていない所などからそう判断。
(おそらく兄はちゃんとしたクリスチャンで自殺には抵抗がある。2の手紙の最後で自殺ではなく神様に2人を殺してくれるよう願っている点。妹は途中自殺しようとしてた節がある。)
以上のことから考えるに、実は無理心中なのか?とゾクゾクした。
鉛筆とか3の手紙の妹の名前がカタカナとか謎が残るが、まぁコジツケで説明できなくもないのでスルー。
とにかくオモシロい。
表題意外はまぁ普通かなぁ。。。 -
夢野久作の短編小説集。だいたい、昭和一桁年頃の作品群のようだ。西暦で1930年前後。
相変わらず性的にどこかヘンタイっぽく妙な小説が多い。一人称体の作品は『ドグラ・マグラ』と同様の、延々とトートロジックに吐き出される独白の急流が見られる。この文体や主題の取り方・筋などはとてもケレン味が強く、やはり文壇の王道よりはかなりかけ離れているのだが、この怪しげな欲望の奔流は、単なる娯楽作品という枠に閉じ込めきれるものではない。カルトな芸術である。あまりにもリビドー放出が激しすぎてしばしば日本語が壊れてしまうところが凄い。
1編読み終えてみるとちょっとすっきりしないような終わり方の作品も幾つかあった。
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〇瓶詰めの地獄
浜辺に流れ着いた3つのビール瓶。中に手紙が入っており、第1の瓶の内容、第2の瓶の内容、第3の瓶の内容とを題字に、内容が書かれている。
短編で何度でも見返し安いので、久作ワールドを解き明かしたい人にはもってこいかも。
再再再読したい。
〇人の顔
奇妙な子と言われているチエ子と母と父との話。
チエコが不気味な事を言う。
チエコが不気味な事を媒体にしてとんでもねぇ事を暴露する。
チエコは寂しかったんやと思う。寂しくて伝えたくて奇妙やったんやと思う。可哀想。
〇死後の恋
再読する。
〇支那米の袋
読んでいる途中で大事を見つめて、「袋」と書いてあることにゾッとした。そのままゾッとする展開になった。
人の心を懐柔しカリスマ性があり都合が悪くなると人命も厭わず捨てる様はまさにサイコパス。夢野久作はサイコパスに散々な目に合わされたのではないかと思う1作だった。居たので見てたのか。
誘拐気分を味わえる。明らかに殺されるが逃げられないあの恐怖を味わえる。味わいたくない。
時代も時代だしそこそこ有りそうな感じで今まで読んだ久作の中でいちばん怖いかも。寝れない。
〇金槌
心の悪魔の成長の話。本物の悪魔は自覚がない、この一文がポイント。
他人事が悪魔なんだと思う。
父はまともで、叔父と子が悪魔で気があった。超雑だけど大体こんな動き。子の物ともしない所か見物として叔父を見ている感じが見どころ。
〇一足お先に
ドグラ・マグラの...
ファントムペイン。実際のものと幻想と認知の脳髄の....この感じ...構造か設定か、は大体ドグラと一緒だった。
何がどうでどっちがなんなのか狂わせてくる。嘘かホントか、真かウソかといったような感じ。
これを解き明かせたら、昔のバイトの店長の謎も解き明かせる気がする。暗示とは恐ろしい物だし、潜在意識にあたえる影響は自分の意思ではどうにもならない。
現実と幻想の境界線なんて無いんだよと教えてくれるような話だった。脳が溶けるというか、体が溶けて形を保てないような感覚になった。さすが日本三大奇書のジョブと言ったところ。夢の夢返し!
紅梅焼
〇冗談に殺す
オレダヨーーーオーーー
人はやっぱり犯した罪を隠し通すのが無理だと分かる -
思ってたより全然読みやすくて面白かった。 読む前は気味悪さ、グロさだったり狂気的な内容と思っていたが文体も読み易いし内容も神秘的で官能的。 ついつい引き込まれる。 評価が高いのもうなずけるし他の作品にも興味が沸く。 こういう世界観はいいなと思わされた一作。
著者プロフィール
夢野久作の作品






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