ときには星の下で眠る―オートバイの詩・秋 (角川文庫 緑 371-15)

著者 :
  • KADOKAWA
3.68
  • (4)
  • (5)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 61
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041371152

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  •  我々の世代のライダーにとってはバイブル的存在。 片岡義男。
     彼の小説の世界に憧れて、オートバイの世界に踏み込んだライダーは多いはず。


     読み返すと、最初のページから、懐かしい硬い調子の文体。
     シャープな映像が伴ってくるような。


     バブル。ハードボイルド。映画。角川文庫。赤い背表紙。
     あの頃のあれこれが蘇る。




     ストーリーが気取りすぎのような気がして、それほどはまり込んで読むことはなかったが、読み返してみると、そこにはライダーだけが楽しめるような世界が確実に、存在する。
     
     泡でも、気取りでもない。


     バイクとともに時を過ごした者でなければ、描けもしない、理解もできない世界がそこにある。




     黄ばんでしまった文庫本の巻末に書かれたメモによると、
     初めて読んだのは18の頃。
     原付バイクを手に入れたばかりの頃。
     大学受験に失敗し、受験勉強の日々の自分には憧れでしかなかった世界だったか。
     次に読んだのは、26の頃。
     今も乗り続ける大型バイクを手に入れて、登場人物たちの世界に入り込めたと思った頃か。
     そして今。50歳も近づいてきた今。
     青臭い憧れを抱いて手に入れたバイクとのつきあいも26年となった。
     描かれた青春群像に対しては、同感も反発も強くは感じず、
     ただただ細密画のように書き起こされているバイクとの対話の描写を味わう。


     膝の間に抱えていた車体を、サイドスタンドを出して傾ける時。
     地面にそっとその重さを、大事なものを預けるような感覚が伝わってくる文。


     真っ暗な山中のワインディングを、ヘッドライトが照らし出す空間から、
     左に右にコーナーを曲がるたびに、繰り返しはみ出しながら走る感覚。


     ライダーでなければわからない、興味すらない描写を散りばめる。
     さて、現代の若いライダーたちにはどう映るのか。

  • -----
    これは長編だ。一九八〇年に文庫で出た。解説のなかで室謙二さんが次のように書いている。
     「秋という季節の中をオートバイが走っていく物語で、そのスタイルは仲間たちが再会する“再会物語”で、すべての再会物語がそうであるようにこの小説の重要なテーマは過去と現在を結ぶはずの時間だ。秋とオートバイ仲間たちと時間が、この小説の主人公たちなのだ」
     そして彼は、さらに次のようにも書いている。
     「片岡義男の小説は、読み手聞き手の方の条件と送り手の方の条件が合わなかったら、全く意味がないし楽しめない。書き手と物語と読み手が一つの気分の中に入らないとだめなのだ。そういう意味で、片岡義男の小説は普遍的なものではなく、もっとローカルなものなのだが、それが彼の小説の良さなのだ」
     解説は僕が本体を書いてしまったあとから、誰かほかの人が書いてくれる。僕自身が書くまえからこれほどまでにきちんとわかっていたなら、生まれてくるものはもうすこし違っているはずだと思う。書く当人は、書いているときはまったく無自覚であることが多い。
    -----

  • 2012/01/06読了

    父オススメのバイク小説。少年らがバイクに乗り、風になる。
    ただそれだけでも、とてもすがすがしい空気を感じることの出来る、そんな小説だ。
    「青春」この言葉が一番似合うだろうなあ
    ただ走るだけで、大きな出来事はほとんど無い。でも
    風は吹いていて、景色は流れて。
    バイクへの憧れ、また一段と強くなった。

  • 「たまには星の下で眠るんだっ。」といって野宿して、途中から雨に打たれた事が数回ある。この小説のせいだ。

  • 82024.255

    これといった感想はなし。個々のエピソードは特に悪くないが。

  • これもバイクが登場する片岡さんの小説。大谷勲さんの写真と合わせて、大好きな作品です。話の内容はちょっと照れくさくなるような恋愛小説。でもバイクで走る描写がいい。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1939年生まれ。74年「白い波の荒野へ」で作家デビュー。75年「スローなブギにしてくれ」で野性時代新人文学賞を受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍。著書、多数。

「2018年 『くわえ煙草とカレーライス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ときには星の下で眠る―オートバイの詩・秋 (角川文庫 緑 371-15)のその他の作品

ときには星の下で眠る Kindle版 ときには星の下で眠る 片岡義男

片岡義男の作品

ツイートする