缶ビールのロマンス (角川文庫 (5722))

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 56
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041371336

感想・レビュー・書評

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  • うーん…。世間の人たちが片岡作品に抱く「軽い」感じの作品ばかり。

    「粉雪のつらく降るわけ」
    婚約者を実家に紹介するために帰郷した男だが、かつてつき合っていた故郷の恋人には結婚のことを話していない。恋人がとってくれたホテルの部屋にふとした偶然から婚約者がやってきてしまう…。片岡作品にはめずらしく、「あちゃー」という幕切れ。

    「缶ビールのロマンス」
    休暇を恋人と高原の別荘で過ごす前にバイクのツーリングを楽しむ男。だがなぜか先へ進むのをやめて温泉町にもう一泊してしまう…。文庫の紹介文の作品。温泉町の描写がしみじみとすっきりしていて、これはなんとなくよかった。

    「ある日の真夜中」
    模様替えをした部屋で恋人と過ごしていた男は別の女性からの店で待っているという電話で恋人とともに近くの店へ。うまく抜け出して約束の店に向かうと彼女は出てしまったあと。もとの店に戻ると恋人もいなくなっている。そこでさらに別の女性を呼び出して部屋に戻ると、最初の恋人が。さらにそこへ電話をかけてきた女性が訪ねてくる…。これまた鉢合せのシチュエーションだが、こうなるとなんだかなー…。

    「男友だち」
    結婚してしまったかつての恋人から絵葉書が届く。それをきっかけとして「人妻と浮気してしまった」「第一回目ね」「これから何回目まであるんだろう」「一回も100回も、おなじよ」(中略)「浮気ではないわ」「なんだい」「やっとほんとうの男友だちが、できたのよ」 うーん…。

    「エクストラ・ドライ」
    結婚届を出したまま新居も見ないで仕事で沖縄に行っていた妻がタクシーで新居のマンションに着くと、海外出張から帰った夫が待っていた。洒落たマンションでふたりの新しい生活が始まる、その最初の夜…。これまたなんだかなーという作品(笑)。

    「さようならの言いかた」
    バイクで事故死した恋人のために彼女は限定解除の免許を取った。私が預かっていた彼のバイクにまたがり彼女は自分なりのさようならを告げに事故現場に向かった…。以前にも読んだことがある。前半の文章がなんとなく片岡作品らしからぬ印象を受ける。

    「僕と寝よう」
    久しぶりに再会した恋人と焼き鳥屋で食事をしながら、しきりと「僕と寝よう」とせまる男。「あなたはハンサムだし、持ち味に生活の臭いがないから、そういうことを言ってもいやらしくないのね」…。実際にこんな会話をしているところを想像するとなんだかバカバカしくなってくるような気も…。でも女性を口説く時っていうのは多かれ少なかれこうした滑稽さがあるのかも。


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    一九八四年の短編集。七つの短編が収録されている。いま見ると、ぜんたいにわたってほどよく統一感がゆきわたっていて、心地良い。そうしようと思ってそうなったのではないはずだ。主人公の女性がなにかアクションを起こし、それに対して男性のほうが反応し、というふうにアクションとリアクションを重ねていくと、いつのまにかふたりともある種のカタルシスを体験している、というかたちのショート・ストーリーを、この時期からしばらく、僕はたくさん書いたようだ。
     解説を書いてくれた真崎守さんの次のような言葉は、著者である僕に対してよりも、これから読む読者に対して、たいへんいいプレゼントになっている。たとえば、次のような言葉だ。
    「片岡義男の小説世界に触れた時に体験するエモーショナルの性質をひと言でいってしまうと、“リーディング・ハイ”といったふうなものになるのだと思われる」
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  • 乾いているよね。カラカラ
    素敵です。

  • 夏の瀬戸内海、旅館、バイク、缶ビール。
    そっくりなのにまったく別のここではない世界。
    隣の多元宇宙に迷い込める。
    片岡義男の代わりは片岡義男しかいない。

  • さて、11月の最初の読了本は。

    イギリスのNewcastle空港からづっとちびちびと読み続けてきた片岡義男の『缶ビールのロマンス』

    わぁぁぁ! これわ、かぁなりエッチな本である。
    18歳未満禁止!にすべきである。

    こういう本を、こういう気楽な装丁と題名で出版してはいけない。
    とわ言っても、表紙の写真はこの感想には載らないから、まあ興味のある方は読んでみるのも良いかもしれない。

    注意。
    大変に軽い本なのでスグに読み終わってしまう。ご注意を。

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著者プロフィール

1939年生まれ。74年「白い波の荒野へ」で作家デビュー。75年「スローなブギにしてくれ」で野性時代新人文学賞を受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍。著書、多数。

「2018年 『くわえ煙草とカレーライス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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