恋愛小説〈3〉 (角川文庫)

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著者 : 片岡義男
  • 角川書店 (1993年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041371855

恋愛小説〈3〉 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 彼は結婚したくなった
    彼女、三十五歳、独身
    幸福な女性の謎
    エスケープという名の香水
    基本を学ぶ幸せ
    似合う口紅

    -----
    「彼女、三十五歳、独身」キャッチボールをめぐる女性ふたりの物語。「私とキャッチボールをしてください」が思い出された。

    「基本を学ぶ幸せ」めずらしく劇的なストーリー展開だが、そこで描かれる人物たちの振る舞いがよい。

  • 短編集。
    それぞれの話で、男と女、女と女、男と男が時に男女の境界を行き来しながら物語がつづられる。
    彼らみたいな人は稀だと思う。本当にいるようで、実はかなり理想的。
    だけどそんな批評が来ることをもとから分かっていたかのように、裏表紙はこう言う。
    「現実を先取りするような物語を生きるという至難事は、しかし、言葉で描かれた恋愛関係のなかでは、すっきりと美しく可能なのです。」

    「彼は結婚したくなった」
    彼、川村直樹が結婚を思い立ち、付き合っているうちの3人の女性をいろいろ比較し検討する話。
    片岡作品に出てくる男はたいていスマートなモテる男だけど、この作品はいつもより顕著だったと思う。
    それぞれの女性との対話が面白い。
    読み始めは主人公にちょっとむかついたけど、読後はすっきり。
    ざまぁみろ〜。

    「彼女、三十五歳、独身」
    フリーライターの玲子と、舞台女優の秋子の話。
    玲子は逞しさの中に美しさを内包した女性。それとは対照的に、秋子は女優としてたおやかな女性らしさを体現する。
    この2人だけの物語。そこに男性は要らない。

    「幸福な女性の謎」
    片岡作品には「静的かつ性的で知的な女」が数多く登場する。
    この話の主人公夏子もそう。
    彼女が、自分とよく似ているというデリヘル嬢エリカを呼び、ただ観察(観賞?)する話。
    ホテルの部屋の中で、エリカはデリヘル嬢らしく空気を性のほうに持っていこうとするが、夏子はそれを許さない。(「花までの距離」の逆ヴァージョン?)
    あくまでも彼女にとってエリカは自分の分身なのよね。
    エリカを観察することで、自分のカタチを確認してるっていう…
    作品全体からちょいレズな感じを受けるけどもともとの感情はナルシズムなんだろうな。
    わりとこの話好きかも。

    「エスケープという名の香水」
    真っ暗な部屋の中、ベッドの中の男女の会話で物語は進む。
    最初、舞台はホテルかと思ったけど読み進めるとどうやら今は海外にいる彼女の兄の家らしい。
    よって生活感のない、でも極めて私的な部屋となる。
    この話はかなり気に入った。いろいろ書きたいけど書かないでおく。

    「基本を学ぶ幸せ」
    主人公の直子は、一見胸の手術と化粧によって完璧に女性に見えるが声も性器も男性という「男であり女でもある」女性(?)。
    彼女が、恋人を事故で失い立ち直るまでの話。
    「時間」がテーマになっている。
    主人公が性転換(?)した人である必要はあるのか? とは思ったけど、これは作者の趣味かな。
    直子はいかにも「女らしい」性格。
    この話を読んで松本侑子「性遍歴」に収録の「女装夢変化」って話を思い出した。
    女装癖のある男性の話で、女装しているときはやはり「女らしい」態度をとる。 それを同僚の女性にこれは女に対する勝手な思い込みだと指摘されるシーンがある。
    この話はそれとはちょっと違うけど、なんか引っかかる感じ。
    あと終わり方がちょい救われないかなぁ…

    「似合う口紅」
    珍しく10代の女の子が主人公!! だと思ったら男だった。
    ネタ的に「基本を〜」とかぶるなぁ…
    母親と姉に女の子として扱われたせいでちょっと性的倒錯を起こしちゃった男の子の話?
    う〜ん…どうも女になりたい願望ってのが理解できないんだよなぁ。
    上にもあるとおり、それは女に対する思い込みが強いのではないかと。
    マイノリティに対して心が広いうちでもどうやらダメなのがあるみたいね。
    ちなみに片岡作品に頻出の「姉のことを愛しちゃってる弟」ネタ。
    一応もう一度言うけど、うちはマイノリティに優しいよ。
    だけど女にいわゆる女らしさを期待する意見は聞けないね。

  • 進化した恋愛小説と呼びたい一冊。

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