日本語の外へ (角川文庫)

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感想 : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (619ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041371947

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  • 徒手空拳、という言葉が似合う。誰の理論を箔をつけるために使うこともせず(それは一歩間違えれば独りよがりに終わることを意味するだろう)、ひとりの日本人である「片岡義男」の立場/視点から日本をフェアに見つめようとする。故に危険な議論の展開も見られ、例えば展開される言語論をソシュールやウィトゲンシュタインを踏まえた立場から読めばどうなるだろうか、とヒヤヒヤしてしまいもする(当然だが、私にそんな能力はない)。とまあ腐すようなことを書いてしまったが、それを踏まえても力作の評論である。私もまた日本語使いとして反省する

  • <blockquote>外国語を知らない人は母国語も知らない、という有名な言葉がある。誰だったか忘れたが、昔のヨーロッパの文豪のような人が残した言葉だ。世界を知るとは、いくつもある外国となにごとかをめざして関係を作り、その関係を発展的に持続させていくことだ。そのためには人は母国語の外へ出なければならない、と昔の文豪は言っている。

    外国の人を相手に外国語を使うとは、母国語によって自分の頭のなかに精緻に構築された世界、つまり発想や思考そして表現のしかたすべての、外に出ることだ。(P.337)</blockquote>

    <blockquote>動詞とは個人の責任のことだ(P.371)</blockquote>

    <blockquote>言いかたとは、自分の意図するところをいかに言えば相手に間違いなく察してもらえるかにかかわる。利己的な目的のための定型的な言葉づかいの工夫の数々のことだ。(P.375)</blockquote>

    <blockquote>いつもどのような言葉をどんなふうに使っているかによって、その人の思考能力つまり頭の程度の上下は大きく影響を受ける。(P.379)</blockquote>

    <blockquote>日本の人たちが学んで使うべきなのは、アメリカというひとつの国の文脈から完全に独立した英語だ。(P.383)</blockquote>

  • 湾岸戦争から始まる本書。アメリカで暮らしている筆者が感じたことを綴っている。日本語の外、英語ということばの性格、そして、アメリカ人の考え方などにも及ぶ。とても刺激的な本。

  • おそらく英語を母国語(本書ではほぼアメリカ人)とする人と、日本人と日本語についての、完璧な分析なのだろう。但し、題名を忠実に取るならば、「日本語の外へ」なので、アメリカのみならず、文字通り、世界の中の日本を論じるべきだろう。その点では物足りなさが残る。

    今の多様な世界観の中では、物事の位置付けを間違うと一様にしか物が見えなくなるので、本当に注意が必要である。意識しないと、あたかも日本がアメリカの一部であり運命共同体のように感じる人が多くなるのではないだろうか。

    途中から繰り返しも多くなり。最後は斜め読みになってしまったが、貴重なうなづける主張も多く、勉強にはなったが、前述の点がものすごく残念である。

  • これは参った。眠かった。なんだろうか、いや、もうちょっと面白く書けないのか。なんか同じような事を念仏のように何度も唱えられて、心はブッダガヤまでトリップ。とはいえ時々ふむふむと思うところもあり。

  • 「まだごく幼い僕がふと気づいたら、日本つまり自分の国は勝つはずのない戦争をしていた。勝つはずのない戦争をしていた国、それが僕にとっての自分の国だ。ただ単に戦争をしていた国ではなく、勝つはずのまったくない戦争をしていた国だ。僕にとって自分の国とはそういう国であり、僕が自分の国をめぐって持っている国家観はすべてこの認識の上に立っている。どうごまかすことも出来ない、見ないでいたり考えることを避けたりすることも不可能な、否も応もなくとにかく正面から受けとめて引き受けるほかない、僕という人にとっての日本国家観だ。」素晴らしい名著。

  • 片岡義男という作家のイメージは、「アメリカナイズされた軽薄な若者文化を描いたもの」だった。その後まったく読むこともなかったが、このような言語のありようを掘り下げた評論は奥が深く、難解でもある。もやっとしたままの読後感だけれども、何度か読まないと分からない事もあるのだろう。

  • 2008.05.01-

  • 日本語の外には、とんでもない世界が広がっている。良書。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『日本語の外へ』『万年筆インク紙』『珈琲が呼ぶ』『窓の外を見てください』『いつも来る女の人』『言葉の人生』ほか多数の著書がある。

「2022年 『これでいくほかないのよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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