東京青年 (角川文庫 か 7-3)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041371954

感想・レビュー・書評

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  • 青空文庫に片岡義男の作品の一部が収録されているのを知ったので、1冊読んでみた。Kindle版でないのは後述。

    東京の吉祥寺(?)付近に住むヨシオは、美しい女性を見ることが好きであった。ヨシオ青年と、同級生で写真家の冬彦が、複数の女性を巡って紡ぎ出すドラマ。

    青空文庫だが、短編にもかかわらず、あとがきも含めて全て1冊としてまとめられているため、電子書籍自作派にとっても非常に読みやすく、素晴らしい。

    それはさておき、本全体の前半は青いリビドーに翻弄されつつ、女性と交流を持っていくさま、後半は、優子という同級生の母親の痕跡を探す話である。一般的な小説としては、後半のほうが面白いであろう。

    金に困らない高校~大学生活を送り、じっと見つめていると、女性の方から寄ってくるというジゴロぶり。吉行淳之介や坂口安吾もだが、夢を語っているのか、私小説なのかは判然としないが、でもまあ、現実にはないよね。しかも石原裕次郎の時代じゃあるまいし、写真の腕や文章の腕はプロ顔負けという設定も、モテないウジウジしたほうが受け入れやすい1980年代以降の読者なので、ちょっと違うかな。

    と思ってたら、1996年に出た小説らしい。あとがきを見てびっくりした。その時代には受けなかったんじゃないのかな。

    で、表紙は角川の文庫からお借りしたわけだが、あとがきに作者本人から「自分で撮った写真を単行本にも文庫にもできて嬉しい」と書いているわけで、Kindle版ではそれが小さくなっているのはどうなのかと思ったわけです。

    また別のを読んでみよう。

  • 裕福な家庭、独居、家族やその知人との信頼関係(不動産の借り手を提案したり管理を任されたり)、英語に堪能で頭脳明晰な青年のお話。思ったことは口に出し実行する主人公だがけして感情的にならない。状況に実感は湧かないとしても、その世界の中だけで物語られるので楽しく読める。片岡義男の明瞭な文体は風通しがよい。
     その風通しのよさを求めて、文庫で平積みになっていた頃購入したものを盆休みに読む。5年以上たっている。10代であれば高三の頃に買った文庫を勤務し始めてから読むくらいの時間差だ。私はすでにサチりかけているので5年たっても差が無いが。自分が若かった時代よりも旧い時代に設定された青年の話を読むのは、若い頃の元気を思い出すきっかけになる。(懐古するほどの歴史があるわけでもないけれども)。

  • なんか古いなって思った。いや、そういう設定でそう言う話な分けだけれども、なんつうか感性というか流れというか。
    俺の年の年代の人が読んでも共感できないのはしょうがない部分もあるのかも知れないけれど、読んでいて引き込まれなかった。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『日本語の外へ』『万年筆インク紙』『珈琲が呼ぶ』『窓の外を見てください』『いつも来る女の人』『言葉の人生』ほか多数の著書がある。

「2022年 『これでいくほかないのよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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