- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041372050
作品紹介・あらすじ
六十の齢に達し、病床の身にあった桓武帝は、いよいよ安殿に譲位した。平城帝が誕生し、ひとつの時代が終りを告げた。新帝は、一度は遠ざけられた藤原薬子を近任させ、薬子は宮廷での権力を強めた。出世に背を向けた冬嗣は、鷹揚な皇子・賀美能に仕えるが、計らずも平城は、賀美能を皇太子に指名し、冬嗣もまた、政治抗争の中央へ引き出されていく…。桓武から平城、そして嵯峨へ。権力と愛欲の葛藤がくりかえされ、平和がくる。野望と挫折、長編歴史大河小説の力作。
感想・レビュー・書評
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大体この手の本は、途中四苦八苦して読むけれど、これはわかりやすかった。
奈良時代末期〜平安時代へ。教科書で読んだみたいに、
奈良の平城京から長岡京へ、そして京都の平安京へ、すぱっと引っ越しして遷都、平和な平安時代になりました。というわけは全くなくて、紆余曲折、愛憎や権力闘争、色々あった、奈良時代末期から平安時代への、つまり、桓武➞平城➞嵯峨天皇の時代の話。
このあと、京の都(王朝)は、鎌倉幕府が開かれるまでの400年間は平安王朝として政治の中心であり続け、また幕末までと考えると約1100年続いた。
感想というよりメモ…
平城太上天皇と薬子は、嵯峨天皇のいる平安京を捨てて、平城京があった奈良に再び遷都すると宣言。藤原冬嗣と坂上田村麻呂に阻止されて、太上天皇は出家、薬子は自死。
源氏物語にも出てくる蔵人頭という役職(ざっくりいうと天皇の秘書みたいな役職)は、810年、平城太上天皇と薬子に対抗するために、嵯峨天皇のもとに作られた律令外の役職……知らなかったー。
(この頃太上天皇は、天皇と同じ権力を持っていた。)
その蔵人頭という役職を作って、就いたのは、主人公の藤原冬嗣(藤原北家の藤原内麻呂の次男)。
このあと、蔵人頭は伝奏として力のあるポストとなり、太上天皇の権限は縮小される。(白河院の院政まで)また、太上天皇が勝手に遷都することを防ぐためにその住まいは常に用意された。
嵯峨天皇は、前2代の天皇が怨霊に怯えて生きたのを見ていて、怨霊を怖がって死刑を嫌った。この発想がもとで、その後保元の乱が起こるまでの350年間、日本では死刑が執行されなかった。
また、嵯峨天皇は、薬子の変のあと、政治を藤原冬嗣に任せて子供を作りまくった。で、増えすぎて経済的にも後継争い的にも大変、ということで臣下に降として源さんがいっぱい誕生。➞嵯峨源氏。
奈良時代の律令制やその根幹の班田収授も崩壊しまくり902年廃絶したが、その前から藤原冬嗣らによって実質的な新しい税収体系が作られつつあった。また、お金かかるし平安京造営や蝦夷との戦もやめた。(桓武天皇の蝦夷との戦いについては「火怨」高橋克彦著が面白かった。)
ちなみに816年に、空海に高野山を与えたのは嵯峨天皇。
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「この世をば」「望みしは何ぞ」と合わせて王朝三部作と呼ばれているこの作品、読む順番が前後してしまったけれど、タイトルの通り、まさに王朝時代の幕開け「序曲」。
さすが永井路子さん、とても面白く読めた。
初めは冬嗣と聞いてもピンと来なかった。
冬嗣って誰よ、良房の父と知って、やっと時代が見えてくる程度の知識だった。
下巻は桓武の譲位から平城天皇、嵯峨天皇へと時代が変わって行く様子が描かれる。
奈良から平安へとすんなりと変わったわけではない。
怨霊に怯え、遷都を繰り返す。
桓武は他戸、井上、早良の祟りに苦しみ、父桓武を嫌っていた平城は結局父と同じ道を辿り伊代、その母吉子の祟りに苦しむ。
因果応報。
そんな時代を乗り越え、嵯峨の時代となる。
人を殺して怨霊を背負い込むことはしたくないと言う姿は、父のような王者たる風格はないが、その平凡で正直な嵯峨が新たな時代を作り出したのも必然だったのかもしれない。
嵯峨を支えた冬嗣もまた、兄真夏ほどの欲があったわけでもない。
目立たず、したたかに。そんな男だったからこそ嵯峨とともに新たな幕開けとなる礎を気付けたのかもしれない。
藤原冬嗣、北家を揺るぎないものにした人物。
決して強欲だったわけではない。したたかという言葉がよく似合うかもしれない。
彼の息子良房の妻は嵯峨天皇の臣籍降下した皇女。そこから、北家の帝に絡みつく時代が始まり、道長、そして摂関政治を終わらせた能信へと繋がる。
三部作と呼ばれる本を通して読んで、王朝の幕開けとなった冬嗣も、終わらせた能信も、時代は違えど時の流れを変えるのは、自分の欲だけでなく一歩引いてしたたかさがあった人物かもしれない。
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平安時代は桓武天皇が都を平安京に定めてから、と思いがちだけど、そんなにすぐには時代は変わらない。帝王の独裁から、嵯峨天皇と藤原冬嗣のコンビによってゆるやかに、「権威と権力が分割されながらも密着していく」、我々のイメージする「平安時代」に移行していくさまが描かれていておもしろかった。
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上巻に記載
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桓武天皇の頃の時代の愛憎劇。ドロドロ、爽やかの組み合わせが堪らない。平安時代って面白いんだ。(この時代の小説なんて読んだことなかった)もっと読みたい。
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2016/03/07完讀
桓武天皇雙手沾血腥,經濟及政策破慘,又發生天災,這個最後的獨裁天皇,也一身背負起所有的責任,希望最澄的淨化可以讓他擺脫怨霊的詛咒。駕崩之後,兒子即位,是為平城天皇。
故事中的藤原北家兄弟,藤原真夏與冬嗣,真夏因為對百川子緒嗣受桓武寵愛高升的心結,忠心耿耿投報安殿親王,親王也順利即位並且提拔他。平城天皇違背父親的意旨,不將之前的王位競爭者、弟弟也就是藤原南家吉子所生的伊予親王封為東宮,反而立了個性柔弱喜好文藝的弟弟賀美能當皇太弟。處在父親的陰影下,平城天皇事事對父親反發,推動觀察使改革,然後寵愛在太子時代的愛人薬子,薬子為了父親種繼的歷史定位,再度修改歷史把早良親王改回去,其兄藤原仲成也受到重用。然後發生相同的悲劇,又是莫須有的謀反事件,讓伊予親王和吉子雙雙殞命,於是怨霊又開始襲擊新的京城。平城天皇和父親一樣被怨霊纏上日漸憔悴,不得已讓位給弟弟,是為嵯峨天皇(因為日後成為太上天皇後在嵯峨蓋離宮,才被這樣稱呼)。
嵯峨天皇繼位,跟隨在其身邊的冬嗣和異父弟安世(其實是桓武天皇的兒子降臣籍)有了出頭的機會,無奈這次換他被怨霊纏上生怪病了,反而搬到奈良去的太上天皇平城天皇漸漸又恢復,然其亦有統治權,就造成兩個朝廷的狀況,薬子的聲勢又日漸高漲,身為尚侍,具有傳達一切給天皇並傳達天皇旨意的大權,此時平城決定再把都城遷回奈良。冬嗣打出了一場無聲政變,創立便宜行事的藏人頭,後來也造成律令制度開始解體,並且和坂上田村麻呂合作,將對方全數繳械,仲成兄妹自盡以外,因為嵯峨天皇不願再見到任何流血與怨霊,除此之外沒有人遭難,日本自此據說到保元之亂為止保持了三百五十年的廢死刑時期。平城繼續留在奈良度過餘生,真夏也待在那裏陪伴天皇。作者認為,真正的平安時代的序幕應該是從薬子之變結束後開始。
嵯峨天皇本來就對政治沒興趣,因而所有政治重心來到冬嗣等人手上,這是權威與權力的分離,獨裁制天皇不再登場,在這種狀態下無意間形成後世的天皇制。除了藏人頭的改革以外,公有土地租庸調制度也面臨解體。面對嵯峨天皇風流結果的大量皇子,冬嗣建議將皇子入臣籍,避免掉親王的大量封地消耗財政,也可以任實官領俸祿,在此天皇兒子下臣籍也產生了「源」氏,並且間接杜絕皇子的皇位之爭。
嵯峨天皇性喜文藝及風流,結束慘殺與死刑,平安京終於走出怨霊的腥風血雨,開出新的花朵。天皇熱愛漢詩,愛讀白氏文集,並且編輯漢詩漢文集,好文藝之臣小野篁也身在這個時代。天皇還建造河陽離宮(仿中國文人河陽縣令故事)。政治完全交給冬嗣主導,他也寵信漢學素養(空海當然不用說,他的字看過好幾次真的很棒。這裡提到嵯峨天皇本人的墨寶至今也是國寶)和書法素養高超的空海。空海告訴天皇現在唐朝最流行是密教(天皇很哈唐立刻相信),將密教引進朝廷,也為了專心修行開拓高野山。至於最澄在未被允許受戒權(南都專有)的狀況下過世,但之後比叡山就被賦予這個權利。嵯峨天皇退位後在嵯峨營造離宮,冬嗣最終也位極人臣,兒子良房甚至破例娶了皇女,開啟藤原北家飛黃騰達的歷史。
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雖然內容寫得很中規中矩,但是切出這個時代本身就很有意義。來到麵包之都居住後,一直想要了解這個城市的過去和現在,無奈古代史是有些令人愛睏的部分,一直都令人卻步。不過現在比較有地理感覺,雖然跟上一本痞痞的但很好笑的不良少年比起來,很像數學課總是坐在前兩排無味嚴謹戴眼鏡都會寫作業的高中同學,看到別人寫說這本真的是要マニアック的歷史迷才讀得下去,不禁發笑。但了解這一段故事還是覺得非常有趣!題外話,也不禁想起曹老師(當時好像八九十歲了),當時在課堂上說出薬子3P這句話讓我們震撼無比,現在終於知道薬子之變是怎麼回事了。此外,在這部書裡也深深感覺到什麼是怨霊信仰,原來在平安京的誕生之際有那麼多重複的血腥。早良親王後來還被桓武追封崇道天皇,之前去參觀的上御霊神社就是建來祭祀他的(後來仁明天皇(嵯峨天皇子)兩朝又增加井上内親王、他戸親王等人合祀)。之前只知道白峯神宮的崇徳上皇(保元之亂)悽慘的故事和怨霊之說,但這次覺得總算是知道源頭了。
見到這個城市的每一塊拼圖,都會讓我更喜愛這個城市。以前只知道794這個關鍵字,但這次讀到有血有肉的它的誕生,是一種很活靈活現的雀躍感。阿京,神泉苑,上御霊神社,比叡山,大覺寺,大山崎的河陽離宮,高野山。這些曾經踏過的足跡,都在這個王朝序曲的故事裡組合起來。之前去光明寺和善峰寺賞花還不知道這段故事,以後,去到長岡京,一定會想起這部小說,和桓武天皇雄大而未竟的夢吧。 -
桓武天皇にかわり、平城天皇が即位し、
さらに嵯峨天皇の御代となるまでが舞台。
天皇主導の政治、謀殺の多かった奈良時代が終わり、
天皇が象徴的な存在となり、
文化に花開く平安時代への移り変わりの時期です。
この時代の影の立役者・藤原冬嗣の視点で描かれます。
冬嗣の兄・真夏は平城天皇に近侍しているのですが、
最後の方のシーンで、真夏が、平城天皇の苦悩を理解し、
平城が政治の表舞台から退き上皇となってからも、
傍らにいることを、冬嗣に表明するところが印象的でした。
小説の最後は、物語を語り終え一区切りし、
藤原冬嗣、嵯峨天皇、良岑安世などのエピソードを交えながら、
時代の移り変わりについての筆者の解釈が盛り込まれてあり、
この時代への興味がそそられました。 -
下巻
すざましい怨念の世界、身内の骨肉の争い
平安朝初期のドロドロしい時代を経て、平安朝200年の世界実現
とはいっても、摂関政治、荘園制度とこれまでの律令制度からの脱却
著者プロフィール
永井路子の作品






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