戦国自衛隊 新装版 (角川文庫 は 1-2)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041375334

作品紹介・あらすじ

日本海側で大演習を展開していた自衛隊を、突如"時震"が襲った。突風が渦を巻きあげた瞬間、彼らの姿は跡形もなく消えてしまったのだ。伊庭三尉を中心とする一団は、いつの間にか群雄が割拠する戦国時代にタイムスリップし、そこでのちに上杉謙信となる武将とめぐり逢う。"歴史"は、哨戒艇、装甲車、ヘリコプターなどの最新兵器を携えた彼らに、何をさせるつもりなのか。日本SF界に衝撃を与えた傑作が新装版で登場。

感想・レビュー・書評

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  • 「新世界より」で1000年後に行き、なぜか「戦国自衛隊」で過去にも行ってみたくなった。

    遥か昔の角川映画の印象が強く、かと言って内容はほとんど残っておらず。

    最近はタイムリープなんて言葉を耳にしますが、こちらはタイムスリップのお話しでした。

    あー、ここまで歴史の事だったっけかなぁ。答え合わせは間違いだらけ。薬師丸ひろ子が強烈だったんだけど、あれ?誰役だったのかな。

  • 映画よりはるかにスケールの大きい物語だった。車両も戦闘も歴史の流れも。

    戦国時代にタイムスリップした自衛隊。隊員の一人は「我々は時という巨大な力から、すでに時代への介入を許されてしまった。しかし時間はこの自然界の何者にもまして、強い復元力を持っているのではないか」と上官の伊庭三尉に言う。この「復元力」によって、伊庭たちはこの時代の「生」を生きることになったのだ。

    タイムスリップしたのも、人数は30人、船1、ヘリコプター1、装甲車1 とこれらは同じだが、トラック20台(ある場面では17)とあった。映画だとトラックも1台くらいしか見当たらなかった。

    タイムスリップしたところが、自分達の知っている歴史とは微妙に違っていることを、最初の影虎との出会いで伊庭たちは知る。足利幕府は崩壊寸前で戦乱の世なのだが、影虎は織田信長の存在を知らず、桶狭間で信長に殺される今川義元は病死していた。東海の松平家・徳川家も存在していない。

    そこからが半村良の大風呂敷の歴史物語となり、この「微妙に違う世界」にスリップした伊庭たち自身が、この世界での人物になってゆくのだ。最初の場面での「時間の復元力」だ。影虎に信義を感じた伊庭たちは、影虎の戦闘を助け遂には、なつかしの東京~江戸をめざし、越後から江戸までを「平定」、楽市楽座を行い大いに町は賑わう。越後の影虎も経済で潤う世の中に満足し、天下は伊庭殿にまかせ、自分は越後の領分を守る、と後の歴史に少しずつすり寄っていくのだ。そして影虎の進めで伊庭は「城」を持つ。その城の場所は・・おお、これは・・   歴史は微妙に違う形で、見知った事件、見知った人物が配置されることになり、死ぬものは死ぬ。

    最後は半村良の歴史観が出ているのか、天皇に対しては、武士に職階を贈ることで自らを保全してきた。決して自らの意志では事態収拾に動かない、ひたすら保身に生きる神のごとき存在、という言葉を使っている。そして微妙に違った世界で、将軍宣下を受けたがらない強者を、人を使って排除した、これを「時間の復元力」として描いている。
     
    映画は越後の中だけで終わってしまっているので、原作の地理的、歴史的なダイナミックな展開がなかったのだ。一番おもしろいと思う、歴史のずれ、も映画ではあまり描かれなかったので、映画はおもしろみが半減していた。戦闘場面も本の方が大規模。

    初出:SFマガジン1971年9・10月号

    1979.10.30初版 図書館 

  • 有名どころ……?聞き覚えのあるタイトルと、当時映画化された作品の原案本だとのことから手に取った一冊。

    当たり前だけど……感想を一言で表すと、「SFだ(笑)」となる。

    1970年代の刊行であることを考えると、かなり“斬新”な設定だったのだろう。歴史の解釈も十分生かされつつの落としどころにもきちんと納得がいき、楽しく読めた。

    ★3つ、7ポイント。
    2006年頃の読了。
    2014.08.06.書。

    映画「戦国自衛隊1549」と、同じく映画「戦国自衛隊」(1979年作品)を観比べたのを機に、思い出してレビュー。

  • 演習中の伊庭三尉ら自衛隊が突如戦国時代にタイムスリップし、戦国時代を近代武装で駆け抜ける。なぜか映画は見たのだが原作は読んでいなかった。映画とは別物でSF色の強い原作の方が好みです。キャラ個人の掘り下げはほとんど無く、ほとんど名前だけの羅列。細かな感情描写や状況描写もスパッと切り捨てたようなシンプルすぎる短編でここまで想像力たくましく面白く読ませてくれるのはさすがの名作。単なるタイムスリップではなく捻り方が絶妙で、史実に絡んだ事柄もニヤリとさせてくれる。歴史が彼らに何をさせたのか、オチも良い。

  • 「日本海側で大演習を展開していた自衛隊を、突如“時震”が襲った。突風が渦を巻きあげた瞬間、彼らの姿は跡形もなく消えてしまったのだ。伊庭三尉を中心とする一団は、いつの間にか群雄が割拠する戦国時代にタイムスリップし、そこでのちに上杉謙信となる武将とめぐり逢う。“歴史”は、哨戒艇、装甲車、ヘリコプターなどの最新兵器を携えた彼らに、何をさせるつもりなのか。日本SF界に衝撃を与えた傑作が新装版で登場。」

    「重油や弾薬まで同時にスリップさせないと、自衛隊といえど威力が半減するんですね。作者の設定は少々無理気味でしたが、SFとして大変おもしろく読みました。」(『SFはこれを読め!』谷岡一郎著 より)

    半村/良
    昭和8年、東京都生まれ。昭和37年「収穫」が第二回SFコンテストに入賞。昭和48年『産霊山秘録』で第一回泉鏡花文学賞、昭和49年『雨やどり』で第七二回直木賞を受賞した。昭和63年に第九回日本SF大賞を受賞した『岬一郎の抵抗』など、伝奇SFの旗手として数々の名作を発表する一方、平成5年には『かかし長屋』で第六回柴田錬三郎賞を受賞するなど、時代小説の分野でも活躍した。平成14年、六十八歳で死去

  • 久しぶりに読み返してみた。シンプルな描写でストーリー展開も面白く楽しめた。

  • 戦国時代にタイムスリップした自衛隊の物語。近代兵器だけでなく、歴史や現代の知識も、過去では大きな”力”になるのがわかる作品で、その無双っぷりがおもしろい!

    九州大学
    ニックネーム:Seasons

  • やたらめったら面白い。インタレスティングじゃなくてファニーの方。笑い転げながら読んだ。

  • 数10年前の読了、最後のオチは驚いた。
    時間遡行モノにありがちなのかもしれないけど、そういうモノを知った作品だっとと思う。

  • 戦国時代へ近代兵器と共にタイムスリップするという設定は決して独特でない。こういうラストに面白さを感じるかどうかで評価は分かれそう。ラストを読むための小説。

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著者プロフィール

1933年東京都生まれ。都立高校卒業後、紙問屋の店員、板前見習、バーテンダーなど様々な職業を経験した後、広告代理店に勤務。62年「SFマガジン」第2回SFコンテストに「収穫」が入選。71年初の単行本『およね平吉時穴道行』刊行。73年『産霊山秘録』で泉鏡花文学賞、75年「雨やどり」で直木賞、88年『岬一郎の抵抗』で日本SF大賞受賞。『石の血脈』『戦国自衛隊』『妖星伝』など著書多数。2002年逝去。

「2023年 『半村良“21世紀”セレクション1 不可触領域/軍靴の響き 【陰謀と政治】編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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