去りなんいざ狂人の国を (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041407264

感想・レビュー・書評

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  • 1977年から1978年にかけて小学館の若い男性向けの雑誌『GORO』に連載された西村寿行作品。
    『GORO』に連載された作品ではありますが、特に若者向けの内容ということもない、いつもの西村寿行作品になっています。
    毒ガスを使ったテロを発生させ、日本政府から五十億円を強請る犯人グループと、それに対する警察庁公安課の戦いを描く物語。
    全8章の内、第1~3章が、毒ガステロと、それによってパニックに陥る人々の様子を描いていますが、これが西村寿行作品の中でもトップクラスの凄絶さ。
    第4章からは、犯人グループの一人と公安課の追っかけっこ。特捜部のエースが、犯人を追ってSMクラブに潜入したり、と、過激な描写さえも西村寿行作品をいくつか読んでいれば想定内、という展開に。続きを読みたい、という熱い気持ちは冷めていきます。
    最終章の第8章では、犯人グループアジトの乱痴気騒ぎと、特捜部対犯人グループの最終戦が描かれますが、このあたりは想定内を通り越して既視感さえも覚える程。まあ、発表された年を考えると、この作品のほうが早いので、この作品と同じ様なパターンを後の作品で使っている、ということですけどね。

    序盤のテンションを保ち続けていれば、と自分にはちょっと残念な作品でしたね。

  • 祖母の家にあった古い本。
    読み終わって、はて、自分の中でどういう位置におけばいいんだ?と思ったけど、誰もレビューしてないのね。
    前半は、次々起こる大量殺人の脅威、パニックになる群集に焦点があたり、矜持をかけて挑む警察物といった感じ。丸の内線霞ヶ関駅で青酸ガスによる事件も起きて、もしや約20年後のサリン事件を予期していたとは、鋭い!?と思ったが。。。
    だんだんサドマゾの館だとか、そこへの潜入操作だとか、最後には犯人の目的は美女を集めた楽園を作ることだったとか、でまるっきりスポーツ新聞連載のようになり、最後は機関銃を手に刑事達が楽園に突入してエンド。
    混乱しつつも、一気に最後まで読めてしまう勢いと筆力、初めて読んだけどこの著者ただ者じゃないね…

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著者プロフィール

1930年11月3日年香川県出身。ハードロマンと呼ばれる作風で人気を得る。1969年にデビュー後、動物小説、社会派ミステリ、アクション小説(バイオレンス小説)、パニック小説など幅広い作品でベストセラー作家となる。代表作に、映画化もされて大ヒットした『君よ憤怒の河を渉れ』『犬笛』など。

「2020年 『癌病船応答セズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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